2024.05.04NTTリーグワン2023-24 第16節 静岡BR vs BL東京-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(リーグ戦)第16節 カンファレンスA
2024年5月5日(日)14:00 ヤマハスタジアム (静岡県)
静岡ブルーレヴズ vs 東芝ブレイブルーパス東京

静岡ブルーレヴズ(D1 カンファレンスA)

最多トライゲッターの称号はチームの成長の証明。
マロ・ツイタマが、スピード豊かに駆け抜ける

最多トライゲッターの称号を手にすることができるか、静岡ブルーレヴズのマロ・ツイタマ バイスキャプテン。この試合ではゲームキャプテンも務める

すでに3年連続の8位が決まっている静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)だが、ヤマハスタジアムで迎える最終節には、二つの大きな意味がある。

一つ目は、5月2日に今季限りでの現役引退を発表したレジェンド・矢富勇毅のラストゲームになること。二つ目は、現在、トライ数ランキングでトップに立つマロ・ツイタマが、ジャパンラグビー リーグワンになって自身初の最多トライゲッターになれるかどうかということである。

今季限りで引退する矢富勇毅選手のラストゲームを勝利で飾れるか

サモア出身で28歳のマロ・ツイタマは、高校を卒業してからニュージーランドのウェリントンでプレーし、2019年にヤマハ発動機ジュビロ(当時)に加入。スピード抜群のウイングとして日本でも成長を重ね、2021年のトップリーグでは最多トライゲッターに輝き、今季からは日本代表の有資格者であるカテゴリAの選手となった。さらには、バイスキャプテンにも就任。例年以上にコンスタントにトライを重ね、最終節を前にしてここまで積み上げたトライ数は『15』。2位に2トライ差をつけている。また、トライ数だけでなく、ゲインメーターは1位、ラインブレイクは3位、ディフェンス突破は4位タイ、ボールキャリーは7位と、個人スタッツで軒並み上位に入っている。

これほどの数字を残せている理由について、本人は次のように語る。

「フィールド上で仲間のサポートがすごくあるおかげだと思います。ほかの選手たちがしっかりゲインを取ってくれて、そこから自分に良い形でボールが回ってくる。ゲインやトライにつなげられる場面を仲間が作ってくれています」

その詳細について、藤井雄一郎監督はこう解説する。

「オフロードパスを使って外で(マロ・ツイタマが)余る状況をフォワードが作れているのと、チャールズ(ピウタウ)や(シルビアン)マフーザといった内側の選手が彼の立っているスペースにしっかりとボールを運べていると思います。チームとしてそういうプランで(攻撃の形を)作っているので、ウイングやフルバックのトライが量産できるのはうれしいですし、積み上げを出せていると思います」

今季は藤井監督の下で、伝統的な強みであるセットピースだけでなく、オフロードを含む多彩なパスをつなぐ攻撃にも力を入れてきた。マロ・ツイタマの活躍は、その成果の象徴でもある。

もちろんマロ・ツイタマ自身の成長も、今季の大活躍につながっている。

「常に日々成長したいと思ってプレーしていますが、いまは特にボールを持ってないときの動きを意識しています。いまの静岡BRは、そこがうまく機能するシステムになっているので、自分自身も昨季より成長できていると感じています。ただ、もっともっとレベルを上げていけると思うので、来季はより強くなれると信じています」

今季は大黒柱のクワッガ・スミスが長期離脱した中で、順位こそ上がらなかったが、今まで以上に選手もスタッフもチームの成長を実感できている。最終節で2位の東芝ブレイブルーパス東京に自分たちのラグビーで勝てれば、さらに自信を増して来季に臨むことができる。

「やっつ(矢富勇毅の愛称)を良い形で送り出すためにも、しっかりと勝ってシーズンを締めくくりたい」と語るマロ・ツイタマ。彼のトライで勝利とタイトルをつかみ、有終の美を飾ることができれば、彼のもう一つの夢でもある日本代表入りも、かなり現実味を帯びてくることだろう。

(前島芳雄)

東芝ブレイブルーパス東京(D1 カンファレンスA)

“東芝のフッカー”の伝統を知るからこそ。
その重みを知る男は、目の前の一瞬に没頭する

プレーオフトーナメントに進むことが決まっているなか、東芝ブレイブルーパス東京はこの試合もベストメンバー。橋本大吾選手は「もう一回、自分たちが成長するための機会として考えています」と説明する

東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)は5月5日、ヤマハスタジアムで静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)と対戦する。

ジャパンラグビー トップリーグ時代から“東芝のフッカー”は特別なポジションである。薫田真広GMから、塚越賢氏、松尾大樹氏、猪口拓氏、湯原祐希氏ら日本代表経験者がズラリと並び、現在も日本代表2キャップの森太志、3キャップの橋本大吾、バイスキャプテンで2月の『男子15人制トレーニングスコッド福岡合宿」に参加した原田衛と23歳の林琉輝がポジションを争う。そんな中、今季ここまで14試合に出場している橋本も、伝統のフッカーの重みを感じている。

「2番のジャージーを着るのは特別なことです。このチームのフッカーは周りから見られる目も違うと思いますし、プライドをもってプレーしています」

30歳の橋本は、自身が「調子のアップダウンは激しいほうではありません」と語るように、安定感のあるプレーで強力フォワード陣の要となってきた。

16番を着けてベンチスタートとなる静岡BR戦に向けては「ディフェンスが好きなので、タックルやブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)で相手にプレッシャーを掛けるところを見てもらいたいです」と意気込む。

前節にリーグ戦2位通過を確定させたBL東京は、スタンドオフのリッチー・モウンガが第12節以来の復帰。リーチ マイケルらベテランもメンバーに名を連ねた。プレーオフトーナメントに向けて、選手を温存する選択肢もあったはずだが、現時点のベストメンバーで戦うことを選んでいる。橋本は明快に答えた。

「もう一回、自分たちが成長するための機会として考えています。ここでどれだけ良い内容でできるのかが、これからの僕らにとって大事になります。チームのみんなとは『プレーオフトーナメントを見るのではなくて、この試合で自分たちのラグビーをしっかりやろう』と話しています」

好成績を残した今季も、最後の一戦までどん欲に成長を求める猛勇狼士。チーム一丸となって、目の前の一瞬に没頭するBL東京はきっと、もっと強くなる。

(安実剛士)

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