NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1
第1節 カンファレンスA (D1-M3)
12.09 Sat 14:30 味の素スタジアム (東京都)
東芝ブレイブルーパス東京 vs 静岡ブルーレヴズ
東芝ブレイブルーパス東京(D1 カンファレンスA)
より低く、鋭く。
強くて速い勇敢な狼が、世界的な名手に挑む
3年目を迎えるジャパンラグビー リーグワンが12月9日に開幕。昨季5位の東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)は、味の素スタジアムで昨季8位の静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)と対戦する。
BL東京には、ニュージーランド代表でラグビーワールドカップ2023準優勝に貢献したシャノン・フリゼル、リッチー・モウンガが加入。キャプテンにはリーチ マイケルが復帰し、「ただただ勝ちたい。とにかく優勝したい」と気合い十分で今季に臨む。
大物選手に注目が集まる中で、静かに牙を研いでいるのが佐々木剛だ。26歳の佐々木は身長180cmとフォワードとしては小柄ながらも、持ち味の体の強さと、昨季に85m独走トライを決めたスピードでチームの新たな武器となっている。
「(昨季は15試合に出場したことで)自分に対しての自信を持てるようになりましたし、相手に対してチャレンジしていく気持ちがさらに増しています。今季は、昨季に積み重ねたぶんにさらに上積みできる年にしたい。プレシーズンでも、積み重ねてきた部分をしっかり自分の中でモノにできている感覚があります」
今年、フランスで行われたラグビーワールドカップ2023では身長に左右されないフォワード第3列の奮闘が光った。ウェールズ代表のジャック・モーガンは180cm、イングランド代表のベン・アールは183cm、南アフリカ代表のクワッガ・スミスは180cmという身長で、それぞれがグラウンドの中ではっきりとインパクトを残した。彼らが世界の舞台で奮闘したことは、佐々木の未来を広げている。
「ワールドカップを見ていて、背が高い選手でも低いプレーをするのがスタンダードになっています。これから上背のない選手は、より低く戦うためのスキルが必要だと感じました。クワッガ・スミス選手のようにブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)の仕事量を増やし、ボールを取り返したり、プレッシャーをかけたり……という部分は自分でもフォーカスしています。世界の舞台では身長がなくても戦えるスキルが必要です」
開幕戦では、そのクワッガ・スミスがキャプテンを務める静岡BRと対戦する。
「楽しみです。肌で感じるものがあると思います。僕は相手に仕事をさせない、自分のトイメン(対面の相手)に負けない、ということを大事にしたいと思っています」
強さと速さを兼ね備えた勇敢なる狼が、低く、鋭く、世界的な名手に勝負を挑む。
(安実剛士)
静岡ブルーレヴズ(D1 カンファレンスA)
オフロードパス数No.1のFBが降臨。
チャールズ・ピウタウがデビューへ
今季こそプレーオフトーナメントに進出できる4強入りを果たしたい静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)。その目標に向けて、本当に頼もしいフルバックを獲得した。トンガ代表として今年のラグビーワールドカップ2023フランス大会に出場し、オフロードパス数でNo.1となったチャールズ・ピウタウだ。
186cm・95kgとフォワードもできそうな体格を持ちながらスピードもステップのキレも抜群。スクラムハーフの矢富勇毅は「同じ人間とは思えないステップを切っていて、人を抜くときのキレは今までにないレベル」と称える。
チャールズ・ピウタウ本人も自らの持ち味について「アタックの部分が大きいと思っています。素早い動きで相手を抜き去ること、ゲインラインを越えていくこと、そこからオフロードパスをとおして味方にスペースを与えたり、トライにつなげたりというプレーが特徴だと思っています」と言う。
また彼自身も、ラグビーワールドカップをとおして多くの経験をつかみ、自らの糧にしてきた。
「アタックのときに、ランなのか、キャッチなのか、パスなのかと、戦う相手によって自分たちがしっかりと判断して、臨機応変に対応していくことは今大会で学べました」
得意のオフロードだけでなく、ラグビーワールドカップでの経験を生かしながらチームをリードしていこうとする意識も強い。
「スペースがあればそこにアタックするし、仲間のサポートがいればそこにパスしたりオフロードしたり……。静岡BRにもかなり馴染んで良い形ができてきているので、柔軟にやっていきたいです」
そして待望の開幕戦に向けては、次のように意気込む。
「すごく強い相手とやれることにエキサイティングしていますし、良い緊張感があります。ここまで仲間とたくさんハードワークしてきたので、みんなと一緒にリーグワンの試合ができることが本当に楽しみです。ディフェンスでもアタックでも、誇りを持って自分のすべてを出し切りたいと思います」
昨季はフルバックに負傷者が続出して軸が定まらず、オフロードパスの成功率も高いとは言えなかった静岡BRにとって、願ってもない補強である。ワールドクラスのフルバックがチームに何をもたらすのか、観る側にとっても非常にエキサイティングな今季の戦いがいよいよ始まる。
(前島芳雄)