NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1(リーグ戦) 第3節 カンファレンスA
2023年1月7日(土) 14:30 等々力陸上競技場 (神奈川県)
東芝ブレイブルーパス東京 29-16 静岡ブルーレヴズ
さわやかと強気の兼備。濱田将暉が念入りな心の準備で結果を出す
東芝ブレイブルーパス東京は7日、等々力陸上競技場で静岡ブルーレヴズを29対16で破り、2連勝を飾った。
前半6分に先制トライを奪ったのは濱田将暉。26歳のウイングは、スクラムからのサインプレーで鮮やかに抜け出し、ゴールラインに飛び込んだ。
身長174cm、体重80kgと決して大柄ではないが「(体格差がある相手にも)気持ちの部分では負けたくない。気持ちをしっかり作って試合に入っています」と強気なランで何度もチャンスを生み出した。
今季は開幕から3試合連続フル出場で、ボールをもらうパターンが増え、チームへの貢献度が高まっている。
「今季のチームは展開がすごく多くて、外側にいる僕もボールタッチが増えますし、見ていて楽しいラグビーになっていると思います」
また、チームの戦い方だけでなく、自身の変化も今季の躍進につながっているようだ。
「準備の部分を大きく変えてみました。以前は簡単なストレッチだけで終わっていましたが、今季はグラウンドに早めに来て、ストレッチや心の準備をしっかりやっています。その結果がシーズンで出せているのかなと思います」
後半3分には自陣22mから快走。相手の最後尾を守っていたサム・グリーンを抜いた……と思った瞬間に、後ろから戻ってきた南アフリカ代表クワッガ・スミスの強烈なタックルに倒された。
濱田はその瞬間について「フォワードがあそこまで走ってきているのがすごいと思いました」と笑顔で振り返りつつも、「僕もそこを把握して、次は違う形で抜いていきたいと思います」と言い切った。
さわやかでいて強気。普段は穏やかに話す端正な顔立ちのウイングが、東芝ブレイブルーパス東京をさらに進化させそうだ。
(安実剛士)
東芝ブレイブルーパス東京
東芝ブレイブルーパス東京
トッド・ブラックアダー ヘッドコーチ
「今日のパフォーマンスに満足しています。すごくタフな試合でしたが、なんとか勝利をつかむことができました。ラインアウトなど、ところどころでプレッシャーを掛けられましたが、そのプレッシャーの中でも勝利をものにすることができました。ジョネ・ナイカブラがハットトリックをして、しっかりと任務を遂行してくれたのを見ることができて良かったです。流れがスムーズになり切れておらず、ポジティブな部分もネガティブな部分もありますが、毎日しっかり取り組んでいけば来週も良いいプレーができると思います」
──フォワードはモールも押していますし、東芝ブレイブルーパス東京らしい試合ができていると思いますが、手ごたえはいかがですか?
「良い質問をありがとうございます。まずはラインアウトを向上させないといけません。ボールが上に行き過ぎてしまったりしてチャンスを失ってしまいました。ラインアウトからのサインプレーでライン際にリーチ マイケルが来て、ラインの外に出てしまったこともありました。リコーブラックラムズ東京戦ではラインアウトから、クリーンに攻めてうまくつながったのが30%だけだったのですが、今日も同じぐらいだと思います。ラインアウトからうまく結果につながっていないので、そこは大事なフォーカスするポイントだと思います」
──好調なリーチ マイケルをどう見ていますか?
「本当に彼のキャリアの中でもベストなプレーをしてくれています。自分の中では彼は3試合連続で最高のパフォーマンスをしてくれていると思います。素晴らしいプレーです」
──リーチをナンバーエイトで起用する意図は?
「理由としてはチームのシステムで6番(左フランカー)、7番(右フランカー)がエッジ(グラウンドの端)でプレーするのですが、8番(ナンバーエイト)は真ん中でプレーするのでボールタッチが増えます。6番よりもプレーに絡む機会が増えるという理由で彼を8番で使っています。彼自身もボールタッチが多いのを喜んでいると思います」
──来季から加入するリッチー・モウンガに期待することは?
「期待は高くもっています。クルセイダーズでもリーダーをしていますし、6、7回タイトルを獲っています。勝利に何が必要かということを熟知している選手です。実際に会って素晴らしいチームマンであると感じました。すでにチームにいる選手と同じように素晴らしい人間性をもっていて、文化的にも良いフィットだと思います」
──ラインアウトで30%しかうまくつながらなかった理由は自分たちのミスでしょうか? 相手がうまかったのでしょうか?
「自分たちのミスである部分もあると思いますし、ミスがあるということは相手がプレッシャーを掛けているということです。ただ、自分たちはそこに対応するべきです。来週の三菱重工相模原ダイナボアーズ戦に向けてコーチ陣、選手たちと話して修正していきたいと思います。(静岡ブルーレヴズは)ラインアウトにおいて通常のチームより動きが多いと思います。自分たちはリーグでも良いラインアウトディフェンスができるチームですが、そこに対応するためにしっかり準備をなさってきたのだと思います。
今日は素晴らしい一日でした。足を運んでいただいて、自分たちの試合を取り上げてくれてありがとうございます。またお会いできるときは自分たちのプレーがさらに良くなっていることを願っています」
東芝ブレイブルーパス東京
小川高廣 共同キャプテン
「今日は自分たちの仕事をしっかりしようというマインドで試合に入っていきました。先週からの修正でブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)をしっかりやっていこうと言っていて、最初は良いテンポでトライも取れましたが、前半途中からリズムが作れなくなりました。流れができていないうちにぽんぽんとボールを離してしまったのが、良くなかった理由だと思っています。ただ、後半に入るときに、ディフェンスには自信をもっていましたし、アタックも機能しているので、自分たちの戦術を遂行していこうと話し合って、後半は良い感じでできました。それを1試合通じてできるように修正していきたいと思います」
──トップリーグ、リーグワンでは等々力陸上競技場で試合をするのが初めてでしたが、いかがでしたか?
「ここでラグビーが初めてプレーされたことをいま初めて知りました。芝がはがれることもなく、まったく違和感なくやれました」
静岡ブルーレヴズ
静岡ブルーレヴズ
堀川隆延ヘッドコーチ
「今日、自分たちがこのゲームをするにあたって大切にしたところは、セットピース(スクラム、ラインアウトなど)で相手を上回ることと、自分たちの強みを最大限に出してプレッシャーを掛ける、ここが一番大事だろうと思っていました。接点における攻防で自分たちが前に行くのか、下がるのか。そういう戦いになるだろうと思い、2週間の準備をしてきました。
前半の戦い方は自分たちのスタイルを発揮できたシーンもたくさんありました。セットピースにおいてはわれわれが優勢に戦える局面があったと思います。ただ、フォワードが良いボールを出してもチャンスにつなげられなかったところは次への課題かなと思っております。開幕3連敗で厳しい状況ですが、チームは成長していると思うので、ホームに戻る次の試合は良い準備を、勝利につながる準備をしていきたいと思います」
──伊東力選手のケガの影響と、相手の背の高いロック二人に対する工夫は?
「前半に伊東力がケガで退場しました。本来のプランは途中から清原祥を10番(スタンドオフ)に入れてスピードあるバックスにしたいと考えていました。前半はゲームの流れが良かったので、先発のサム・グリーンをそのまま10番で清原をウイングに入れました。後半はプランどおり、外側のスペースを突きたかったので10番を清原に代えて臨みました。うちのフォワードは大きくないですけど、しっかり分析をして、セットピースは健闘してくれたと思います。ただ、セットピースからの攻撃でゲインを切れなかったのが課題だと思います」
──後半6分、14分と続けてトライを取られたことについては?
「今日のターニングポイントだったと思います。(後半4分に)本来ならマイボールラインアウトにできるチャンスだったのですが、ノータッチになって、そこから相手のチャンスになってしまいました。その踏ん張りがひとつ足りなかったのがわれわれの弱さだと思います。(後半6分のトライでラストパスをした)相手の13番、セタ・タマニバル選手は素晴らしい選手だったと思いますし、キープレイヤーに勢いを与えてしまったことで、最後にわれわれが力尽きることになったと思います」
──奥村翔 共同キャプテンの欠場についてと、キーガン・ファリアをフルバックに入れた編成の狙いは?
「奥村は開幕戦でケガをしていて、それによる離脱となります。自分たちのスタイルを遂行する中で、どうやって相手陣に入っていくかと考えて、バックスリーの選手たちに求めているのはキックでチームを前に出すこと。キッキング能力の高い選手を優先的にメンバーにしています。キックがゲームを左右する重要なファクターになっていると思うので、今日もケガ人が出ましたが、スタイルを大きく変えずにメンバー選考を含めて考えていきます」
──後半33分に攻め込んだ際に、ペナルティーゴールを狙ったのはベンチの判断ですか?
「キャプテンの判断です。まずは点差を詰めておいて、その後にトライを取って勝ち点が得られる7点差以内にすることを狙ったのは正しい判断だと思います」
静岡ブルーレヴズ
クワッガ・スミス共同キャプテン
「今日の結果については残念に思います。しっかりと相手にプレッシャーを掛けて勢いを作っていくことにフォーカスしていましたが、自分たちでチャンスを失う形になってしまいました。チャンスを作ったところで遂行し切れなかった部分がありました。ただ、チームとしては良い学びがありましたし、成長を続けていくだけだと考えています」
──ノットリリース・ザ・ボールなどブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)のペナルティが増えましたが、東芝ブレイブルーパス東京のプレッシャーはいかがでしたか?
「ワールドクラスの選手であるリーチ マイケルはすごく良いプレーをしました。私たちは相手にチャンスを与えてしまい、ジャッカルをされてしまいました。次の試合に向けて修正していきたいと思っています」
──後半33分に攻め込んだ際に、ペナルティーゴールを狙った判断について。
「あの時点で16点差でした。2トライを取ったとしても勝利に十分ではなかったので、まずは3点を重ねて、次のチャンスを作っていこうと思っていました」