NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2
第1節 (D2-M2)
12.09 Sat 14:30 東平尾公園博多の森陸上競技場 (福岡県)
九州電力キューデンヴォルテクス vs レッドハリケーンズ大阪
九州電力キューデンヴォルテクス(D2)
ファンの想像を超える。
ラグビーワールドカップで山田章仁に芽生えた覚悟
九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)のNTTジャパンラグビー リーグワン2023-2024 ディビジョン2での戦いがいよいよ幕を開ける。12月9日14時半から、東平尾公園博多の森陸上競技場でレッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)との開幕戦に臨む。
「2015年、2019年のラグビーワールドカップが注目された。そして、今年の大会のあとに迎えるシーズン。代表選手はもちろんですが、代表選手ではなくてもリーグワンに所属する選手たちは注目度が上がっているという覚悟の下でシーズンに臨むのもいいんじゃないかなと思います」
そう話すのは自身も15年のラグビーワールドカップに出場し、忍者トライで一世を風靡した山田章仁だ。今年のフランス大会はDAZNの解説として現地を訪れ、「ファンの一部として盛り上がることができた」と振り返る。選手として、ファンとして、両方の立場でラグビーワールドカップを経験したことで山田の心には「やっぱり、見てもらってこその競技生活」という思いが強くなったという。だからこそ、「より多くのファンの前でプレーしたい。そして、勇気や感動を届けたい」。アフターワールドカップのシーズン、ラグビーへの注目度が上がる中で山田には覚悟が芽生えている。
しかし、その枠は自分だけにとどまらない。「ラグビーはプレーに気持ちを乗せるとファンの方々に伝わりやすいスポーツ。リーグワンで戦う選手たちには思う存分に自分自身を表現してほしい」。リーグワンに所属するすべての仲間たちに山田はメッセージを送った。
もちろん、世界最高峰の戦いを目の当たりにしたことで選手としての刺激も受けた。「今季はどんな自分、新しい自分に出会えるのかなという楽しみがあります。昨季、前転してのパスでトライをアシストしたシーン(昨季D3第14節対RH大阪戦68分のプレー)が思い浮かびますけど、あんなのは自分でも予想していなかったし、あんな自分に出会えたのはうれしかった。今季もそうやって『いままで見たことがない山田がどこにいるのかな?』と探しながらプレーしたい」。
ラグビーワールドカップの熱狂を日本、そして、九州に。今季も山田はファンの想像を超えていく。
(杉山文宣)
レッドハリケーンズ大阪(D2)
セットプレーの強いチームに!
島田久満が考える大事な要素
NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24シーズンをディビジョン2で迎えるレッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)。12月9日(土)に東平尾公園博多の森陸上競技場で、ともにD2昇格を果たした九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)との開幕戦に臨む。マット・コベイン ヘッドコーチは、「構築してきた戦い方のフレームをそれぞれの選手が遂行することに意識を置き、臨みたい」と語っている。
開幕戦の先発にはフッカーの島田久満が名を連ねた。昨季は多くの若手選手が成長したが、その中で最も台頭し、D3優勝とD2昇格に貢献。開幕した頃はどこか控えめな印象を与えていた顔つきは、「自信を持つようになったこと」によって、たった1年で見違えるほど精悍な面構えになった。
2022シーズン、リーグ戦での出場はなかった。当時、リーグ戦出場メンバー以外には全体練習後に走り込みなども課されていたという。大学卒業1年目で肉体的にも精神的にも苦しいシーズンだった。
ただ、そこで鍛えられたものは、島田にとって2季目となる2022-23シーズンに生きてくる。開幕戦から全12試合に出場する大躍進を遂げ、フッカー陣に負傷者が増えたリーグ戦終盤には80分の試合を交代なしで戦い抜いたことさえあった。
シーズン終了後はニュージーランドのホークス・ベイに4カ月間留学し、州代表チームにも参加。「大学生のとき、たまたま同じ地域に2カ月留学していた」こともあり、その当時指導したコーチが大学時代からの成長ぶりを高く評価したことで州代表チームへの参加につながった。
「4番手だと言われていたし、どれだけ良くても参加1年目から試合に出るのは難しいと聞いていた」が、州代表選手権では3試合に登録。うち2試合に出場を果たした。
そこで島田が感じたのは、一つひとつの経験が「めっちゃつながっているなぁ」ということ。時を経て振り返ったとき、良いことに限らず、苦しいことにも何か意味がある。
以前から自主練習もコツコツ積み重ねる落ち着いた選手ではあったが、自信を持つようになったことで視野も広がり、さらに冷静にプレーできるようになった。
「フィールドプレーでも強くなりたいが、『セットプレーの強いレッハリ(RH大阪)』と言ってもらえるよう、まずはセットプレーを大事にしたい」
そのセットプレーの一つひとつが、目標にもつながってくる。開幕戦、そしてシーズンを終えて振り返ったとき、目指す位置に辿り着くための大事な要素であったと実感できるものにしたい。
(前田カオリ)