NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(リーグ戦) 第2節 カンファレンスB
2023年12月16日(土)13:00 駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場 (東京都)
リコーブラックラムズ東京 vs 三菱重工相模原ダイナボアーズ
リコーブラックラムズ東京(D1 カンファレンスB)
昨季開幕戦の借りを返すとき。
ブラックラムズのDNAで立ち向かう
ホスト開幕戦を迎える、リコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)。先週のトヨタヴェルブリッツ戦では、多くのスーパースター相手に果敢に立ち向かう泥臭いラグビーが、多くのラグビーファンの目を捉えた。
その泥臭さに憧れてBR東京を目指した選手が、先週リーグワンデビューを果たした。フランカー、ナンバーエイトでプレーする木原音弥。東福岡高校から同志社大学、九州電力キューデンヴォルテクスを経て、BR東京のDNAに惹かれ、今季加入した23歳の新戦力だ。ピーター・ヒューワット ヘッドコーチの評価も高く「センスがあって賢い」と信頼を得て、開幕戦のメンバー入りを果たした。
だが、実際に出場したのは後半37分。「正直、何もできませんでした」。チームの敗戦と合わせ、悔しさが募った。
それから3日後。砧のグラウンドでは、自らが加わらないラインアウトの練習中でも、その横でコールに合わせまったく同じ動きをする木原がいた。
「どのポジションで出ても、自分のやるべきことを100%実行できるように。第3列の動きはマスターできるよう、意識して練習しています」
その努力が、2戦続けてのジャージー獲得へとつながる。「インパクトプレーヤーとして、チームに良い影響を与えられる選手に」と今節の目標を置いた。
来週対戦する埼玉パナソニックワイルドナイツには、東福岡高校時代の同級生・福井翔大がいる。互いの親が同じ会社に勤めており、中学時代には近くの公園で放課後、2人で自主練を重ねた仲だ。日本代表としてラグビーワールドカップ2023フランス大会を戦った友の姿を見て「すごい。だけど、先を越されて悔しい」と思わず本音を漏らす。
だが、焦らず一歩ずつ。『乾坤一擲』。伸るか反るかの大勝負が多いラグビーだからこそ、自分の力を発揮し続ければ、その先に拓ける道はある。
先のラグビーワールドカップ2023フランス大会で合計3トライを決めたアマト・ファカタヴァは、今節も先発。日本代表活動を終え、BR東京に合流し、「ここが僕のチームだ」と感じたという。「僕のチームメートを助けなければいけない、という気持ちがラグビーワールドカップ前よりも強くなりました」。
今節の相手は、昨季開幕戦で衝撃的な敗戦を喫した三菱重工相模原ダイナボアーズ。絶対に勝たなければならない相手に、『ブラックラムズのDNA』で立ち向かう。
(原田友莉子)
三菱重工相模原ダイナボアーズ(D1 カンファレンスB)
相模原DBが新たに手にした“プラス1”
愛されキャラが全身全霊をチームに捧ぐ
昨季に続いて開幕戦白星でいいスタートを切った三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)。チーム最初のトライゲッターは、カーティス・ロナのオフロードパスを受けたタウモハパイ ホネティだった。
「アシスタントコーチのジョー・マドックが新しいアイデアを教えてくれます。昨季よりも素早くボールを回せるようになり、攻撃面はレベルアップしていると思います」
昨季のチーム最多トライ数を記録したことは「知りませんでした」とタウモハパイ。「トライが取れたのは仲間がお膳立てしてくれたおかげ。私はフィニッシュしただけです。ただ、チームのためにチャンスがくれば狙います」と付け加える。
相模原DBはバックス陣を中心に海外出身選手を先発起用することが多い。いわゆる外国人選手枠の制限を受けないカテゴリAに着目すると、開幕戦のメンバー23人中の海外出身選手はタウモハパイ、トニシオ・バイフ、リンディ 真ダニエルの3人。対戦相手の花園近鉄ライナーズは6人で、同カンファレンスの他チームも同程度だった。
昨季からの出場停止処分により開幕戦でメンバー外だったエピネリ・ウルイヴァイティは今季からカテゴリA登録で出場できるようになった。ロックが本職だが昨季はナンバーエイトでも出場。身長196cm、体重122kgの巨体を生かしたパワー満点のプレーを見せる「暴れん坊」はフィジーのラグビー強豪校を卒業後、2018年に相模原DBに加入。5年間の継続居住要件を満たしてカテゴリBから移行した。
オフ・ザ・ピッチでは穏やかな物腰で愛されキャラのエピネリ・ウルイヴァイティ。子どもに絵本の読み聞かせをするような優しい口調で「感謝の気持ちでいっぱいです。自分が試合のメンバーに入っても、入らなくてもチームのためにサポートしていきたい。結果としてチームがトップ4に入れたら本当にうれしいです」と話す。
昨季1勝1敗のリコーブラックラムズ東京に対して、相模原DBは外国人選手枠プラス1のカードをどんな形で切るだろうか。D1に爪痕を残し続けるために、ネクストステージの幕が開けようとしている。
(宮本隆介)