2023.12.17NTTリーグワン2023-24 D1 第2節レポート(BR東京 17-25 相模原DB)

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(リーグ戦) 第2節 カンファレンスB
2023年12月16日(土)13:00 駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場 (東京都)
リコーブラックラムズ東京 17-25 三菱重工相模原ダイナボアーズ

苦しいときだからこそ、一緒に乗り越える。
開幕2連敗にもBR東京は信じることを止めない

リコーブラックラムズ東京の武井日向キャプテンは試合後「たった1回の負けで、自分たちのラグビーを信じなくなってしまうことがチームとして一番良くない」と語った

苦しいホスト開幕戦となったリコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)。ネイサン・ヒューズが最初のトライを決めたものの、後半は三菱重工相模原ダイナボアーズのワイドアタックに翻ろうされた。スコアは17-25。悔しい開幕2連敗となった。

ノーサイドの笛が鳴ると、5人、6人。次々にグラウンドにひざから崩れ落ちる。悔しそうに地面を叩いたのは、マット・マッガーンにマイケル・ストーバーグ。感情をあらわにした。

この日4番で先発した柳川大樹も、ひざをついた一人。「勝たなければいけなかった試合。出し切った、という感情と、これからのチームのことも考えて、複雑な気持ちでした」。公式戦通算出場試合数はこれが99試合目。100キャップの大台を目前にしたホストゲームで、80分間戦い続けた。

たとえ負けたって、BR東京は試合後、いつもどおり円陣を組む。ファミリーだから、苦しいときこそ全員が一緒に乗り越える。「たった1回の負けで、自分たちのラグビーを信じなくなってしまうことがチームとして一番良くない」。武井日向キャプテンは仲間に伝えた。「こういう負け方をすると、何かを変えようとしたり、自信をなくしてしまったりすることもある。だけど僕たちは良いラグビーも、良いDNAも持っている。それを出すべき日に出せるよう、チームと話し合っていきたい」と力強く誓った。

今季、共同バイスキャプテンを務める松橋周平はこの日、自身のラグビーの原点である長野市少年少女ラグビースクールの選手たちを招待した。同スクール出身生のうち、リーグワンで活躍する選手は松橋のみ。だから「背中で見せて、憧れを持ってくれたらうれしい」と語る。

また、この日ファーストキャップを飾ったのは、三菱重工相模原ダイナボアーズのシンクル寛造。前半22分、右プロップのシンビンにより一時交替で出場を果たすと、ラインアウトモールからトライを奪った。「チームでしっかり押し込んだ結果、たまたま自分にボールが回ってきました」。

初出場で初トライを決めた次なる目標は「毎週良い準備をして、試合に出続けること」。自己評価は50点。伸びシロ十分だ。

(原田友莉子)

リコーブラックラムズ東京

リコーブラックラムズ東京のピーター・ヒューワット ヘッドコーチ(右)、武井日向キャプテン

リコーブラックラムズ東京
ピーター・ヒューワット ヘッドコーチ

「すごく残念。先週、良いパフォーマンスを見せた中、今日のパフォーマンスはスタンダードに達していませんでした。一番がっかりしたのは、インテンシティー(強度)が欠けていたこと。試合開始の時点でそれは見えていました。キックチェイスにエナジー、セットスピード。先週、良いところを見せられていたが、三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)のようなタフなチームと戦うときは、しっかりと『タフな試合になるんだ』というマインドセットで挑まないとこういう結果になってしまう」

──ハーフタイムにどんな指示を出したのでしょうか?

「シンビンがあったので、ディテールよりもマインドセットの話をしました。相模原DBとの試合は、いつも腕相撲のようなゲームになる。一番必要だったのは努力。もっと見せて欲しかった。最後の1%のところで負けていたのかな、と思います。スコアボードのことはあまり気にしておらず、インテンシティーとマインドセット。先週良いところがたくさん見えていたが、今日はそれが見られなかった。選手たちにはリコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)としてのDNAの話を主にしました」

──後半終盤から入った選手がエナジーを与えたように見えましたが、いかがでしょうか?

「良かったと思います。それが彼らの今日の役割だったので、よくやってくれました」

──昨季の開幕戦で敗れた相手でしたが、相手のアタックについて、どんな対策を考えていたのでしょうか?

「(相模原DBは)昨季よりも幅を使ってプレーする印象がありました。とはいえ、自分たちのタックルのインテンシティーが低く、相手のアタックをスローにできませんでした。また、自陣深くでの相手モールには苦しめられました」

──8,213人の観客が集まりました。地元・世田谷での盛り上がりは感じていますか?

「たくさんの方が足を運んでくださって感謝しています。そこもがっかりしたポイントの一つです。たくさんの方が来てくれたのに、見せたいプレーを見せられませんでした。

ローカルコミュニティのエナジーを感じるようになって、たくさんのサポートを日々感じます。そういった方々を代表していると認識しているので、パフォーマンスで恩返しを、感謝を伝えられたらと思います」

リコーブラックラムズ東京
武井日向キャプテン

「結果には残念な気持ち。自分たちの力を発揮できなかったし、先週からレベルアップしていくはずが、レベルが下がってしまったことは課題。すごく残念な試合でした」

──強度の面で持っているものを出せなかった理由は何でしょうか?

「受けてしまった、パッシブ(受け身)になってしまったことがすべて。試合の入りからパッシブになってしまったし、プレッシャーを受けたときに自分勝手になってしまいました。コネクションが崩れ、一人ひとりになってしまったことが次への課題です」

──スクラムではペナルティを取れていたが、感触はいかがでしたか?

「80分をとおしてコントロールできていたと思います。『自分たちのスクラムを組もう』と話をしていたので、8人で毎スクラムをコネクトして、同じ絵を見て組めたと思います」

──試合が終わってチームメートに伝えたことは何でしょうか?

「負けは負け。結果は受け止めなきゃいけない。なぜ先週はできて、今週できなかったのか。もう1回この負けを正しく受け止めて、正しくレビューしていきたい。

たった1回の負けで、自分たちのラグビーを信じなくなってしまうことがチームとして一番良くない。こういう負け方をすると、何かを変えようとしたり、自信をなくしてしまったりすることもあると思います。ただ、自分たちがやっていることは間違っていない。僕たちは良いラグビーも、良いDNAも持っている。それを出すべき日に出せるよう、チームと話し合っていきたい」

──8,213人の観客が集まりました。地元・世田谷での盛り上がりは感じていますか?

「応援されているチームだと感じています。体を張り、BR東京らしいラグビーをしなきゃいけないとあらためて感じました」

──創部70周年のホスト開幕戦。チームの歴史、重みをどう感じていますか?

「歴史あるチームと理解しています。優勝も経験しているチーム。70周年、節目の年にこのような結果に終わってしまったことは不甲斐ない。

次のレベルにこの歴史をつないでいきたいと思っています。自分たちが次のレベルに行けるよう、今季をとおして示していけたらと思います」

三菱重工相模原ダイナボアーズ

三菱重工相模原ダイナボアーズのグレン・ディレーニー ヘッドコーチ(右)、岩村昂太キャプテン

三菱重工相模原ダイナボアーズ
グレン・ディレーニー ヘッドコーチ

「BR東京はフィジカルなチーム。BR東京と試合をするときは毎回、素晴らしい試合になる。今日の試合もどちらが勝ってもおかしくない内容だと思います。危険なプレーヤーがたくさんいるので、勝ち切れてうれしかった。良い試合ができて良かった」

──相手の詰めてくるディフェンスに対し、ハーフタイムにどのように対応を話したのでしょうか?

「ディフェンスのところでエナジーが少なかった、元気がなかったときがありました。それは両チームともに(レフリーのマイクトラブルで)試合開始が遅れた、というところに原因があったかもしれない。ハーフタイムに話をして、エナジーを上げることができました。

また、相手にはフィジカルが強い選手が多い中、真っすぐ、ダイレクトに攻めなければいけなかったが、前半はそれがあまりできずに悪い判断でオフロードパスを投げようとしたり、必要ないときにパスをしていたりというときがありました。われわれがベストなアタックをできるときは真っすぐなプレーをするときなので、そこに立ち返ろうと話をしました」

──アタックコーチが加入して、アタックのバリエーションが増えたように思います。よりいろいろなアタックが得点にも表れたと思いますがいかがでしょうか?

「今季、力を入れようとしていたところ。うれしい言葉を聞けました。

ディフェンスはいつも自信を持っているが、今日は外にボールを運んだときに(タウモハパイ)ホネティにチャンスが生まれた。強みを見せることができてうれしい。でも、まだ完成しているわけではないので、さらに良いチームになれると思います」

──ファンの声援について、いかがでしたか?

「両サイドのファンが素晴らしかった。今日の天気は、ニュージーランドやイギリスでいえば夏のような天候。12月にこんな天候でラグビーができて本当にうれしい。また、日本ラグビーの良さの一つがファン。BR東京にも素晴らしいファンが多くいる中、たくさんのダイナメイト(三菱重工相模原ダイナボアーズのファンの呼称)が力になってくれたことがうれしい。

いまのリーグワンは、みんなが見に来たいと思うようなラグビーをしているチームが多いと思います。自分が30年前に日本でラグビーをしていたころと比べたら、いろいろな意味で成長しています」

三菱重工相模原ダイナボアーズ
岩村昂太キャプテン

「タフなゲームを勝ち切ることができて良かった。ゲーム内容としては、フィジカルに行ったときにはわれわれは良いアタックと良いディフェンスができたと再認識できました。また15点リードしてからの戦い方には課題がありました。先週もリードしてから簡単な失点があったので、そこが次の成長ポイントかなと思います」

──選手としてどのような手ごたえを感じていますか?

「昨季はアタックで脅威になれていなかったので、プレシーズンからアタックで脅威になるためにいろいろなことを積み重ねてきました。実際に試合でもアタックで脅威になる時間が増えてきている。そのぶん、ディフェンスの時間は減るし、相手にプレッシャーを掛ける時間も長くなったことでこういった結果がついてきていると感じています。まだ完成はしていないので、しっかりと詳細を詰めて、一人ひとりがどんなプレッシャー下でも役割を果たし、完成形に近づけていきたいです」

──ビジターゲームでもファンの声援は負けていなかったと思います。

「ダイナボアーズサポーターは、われわれが特にしんどいときにたくさん声を掛け、エナジーを与えてくれています。いつも与えてもらっているぶん、われわれはグラウンドでしっかりプレーをして、勇気を与えるプレーを心掛けなければいけないとプレーしている。本当に力になっています」

──モールで2度オブストラクションを取られたときに、レフリーと話をしていたがどんな内容だったのでしょうか?

「詳しいことは正直あまり分からなかったが、レフリーに言われたことをフォワードの選手に伝えたら理解していたので、われわれのディテールがちょっと違っていたのかな、という認識でプレーしました」

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