NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1 第3節 カンファレンスA
2023年12月24日(日)15:00 ノエビアスタジアム神戸 (兵庫県)
コベルコ神戸スティーラーズ 39-46 東芝ブレイブルーパス東京
日々、世界最高峰を間近に感じる新進気鋭の23歳、敗戦も飛躍の糧に
ともに開幕連勝を飾ったコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)と東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)による第3節。ホストチームの神戸Sは序盤からアグレッシブな猛攻を仕掛ける。だが、劣勢を盛り返したBL東京は徐々にスコアを広げ、神戸Sも終盤に粘りを見せて追いすがったが及ばず。46対39で勝利したBL東京が連勝を3に伸ばし、神戸Sは今季初黒星となった。
この日、最もスポットライトを浴びたのはBL東京のシャノン・フリゼル。神戸Sのブロディ・レタリックやアーディ・サベア、BL東京のリッチー・モウンガらニュージーランド代表の実力者をはじめ豪華タレントがせめぎ合ったビッグマッチで、最も活躍した選手に贈られるプレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いている。
そのBL東京の6番が挙げたトライ数は圧巻の『4』。それを伝え聞いたニュージーランド育ちの23歳は率直につぶやいた。
「4トライ? すごいな……」
IPU・環太平洋大学から神戸Sに加わったルーキー、ティエナン・コストリー。昨季すでにアーリーエントリーで5試合に出場し、今季は開幕戦から先発出場する注目株は、「あの大きい体でゲインラインも取れて、ディフェンスも強いし、すごいインパクトがあった」と6歳上のフランカーをリスペクトした。
世界最高峰のプレーを間近で目撃することは若きプレーヤーにとって最高の時間だ。「世界最優秀選手賞という賞をもらっている選手と隣で試合ができている。学ぶために聞いたり、一緒に個人練習をしたりしている」と今季新加入のアーディ・サベアの良さを日々の練習から吸収するナンバーエイト。今節のビッグマッチもまた、「すごくいい経験。ちょっとずつ学んでいくことで自分の成長できるところにつなげていければ」と受け止める。
足の速さで観衆の度肝を抜き、パワフルなボールキャリーや献身的なディフェンスを含めて成長への野心を存分に見せた新進気鋭。「絶対に勝てた試合だったと思います。俺らがトライを取ったあとに、簡単に相手に7点を与えてしまい、負けるという結果につながってしまった」。期待の23歳は敗戦に唇をかんだが、この経験もまた、飛躍への大きな糧となる。
(小野慶太)
コベルコ神戸スティーラーズ
コベルコ神戸スティーラーズ
デイブ・レニー ヘッドコーチ
「うれしくはないですね。フラストレーションが溜まる試合でした。いいラグビーをたくさんしましたけど、簡単なトライを相手に与え過ぎた。本当に自分たちにとってはソフトなトライを与え過ぎて、そこが最後、自分たちとの結果の差につながってしまった。残念です」
──もったいない失点が多かった印象だが、その原因を教えてください。また、それは簡単に改善できる内容だったのでしょうか?
「精度のところに尽きます。自分たちのプレーをしていく上でのマインドセットについては、今日は間違いなく良かったです。ただ、状況判断が良くなくて、ミスにつながりました。前半に関しては特に相手に対してどんどん仕掛けていって、しっかりといいキャリーをして、プレッシャーを相手に与えて、その上でチャンスを作れていたんですけど、状況によっては早く外に振り過ぎてしまい、本来であればもう一個当ててから外に振ったらもっと簡単に(トライを)取れるところを自分たちが焦り過ぎて簡単に外に振ってしまって、そこでミスにつながってしまったことが多かったです。なので、修正することは簡単だと思います。
自分たちとしては勝つために必要なことをすべてやって、最終的に負けてしまうということならいいが、東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)さんのような強いチームにこういった形のソフトなトライをこんな簡単に与えてしまっていては勝てないです。そこの部分は本当に残念です」
──3節を終えてNTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1のレベルをどのように考えているか。また、チームとして改善したいところを教えてください。
「大会自体、本当に素晴らしいものになっていると思います。下位2チームは大量失点してしまっているかもしれませんが、正直、トップ8のチームを見たらどこのチームがどこに勝ってもおかしくない状況です。本当に面白い大会になっていると思います。
その上で自分たちチームのところですけど、やろうとしていることは間違ってないと思います。今日の敗戦を終えて今季がおしまいと思っていませんし、もちろんチャンスはまだまだあると思っています。自分たちの成長できる部分としては、大事な部分のラインアウトで2、3回ミスをしてしまったのもそうですし、トライを取れる状況のところで、自分たちがフィニッシュをし切れずに最終的に逆にトライを与えてしまったところを修正していかないといけないと思います。そういうところを修正した上で、自分たちはさらにレベルアップしていけるところがあると思うので、取り組んでいきたいと思います」
コベルコ神戸スティーラーズ
ブロディ・レタリック 共同キャプテン
「自分もデイブ・レニー ヘッドコーチと一緒です。フィールド上でもすごくフラストレーションが溜まる内容でした。自分たちとしてはチャンスをたくさん作れているのが分かっているのに、その中で今日は自分たちがミスをしてしまって、最終的には相手にすべてを与えてしまい、試合が終わったときに自分たちが負けている側になってしまった。すごくフラストレーションの溜まる展開でした」
──BL東京では、シャノン・フリゼル選手、リッチー・モウンガ選手が今日は活躍していたが、あらためて彼らをどう見ていたか?
「二人とも本当に素晴らしい選手だと思います。リッチー・モウンガ選手に関しては、本当にチームをうまくコントロールしていたと思いますし、シャノン・フリゼル選手に関しては、ワイドチャンネルでボールキャリーをしてきたら、なかなか止めるのは簡単ではないと思います」
──スコアしたあとにすぐにスコアされることがあったが、原因はどのように捉えていますか?
「自分たちが得点したあとに簡単に点を取られているのは本当にフラストレーションが溜まる内容でした。先ほども触れたところにつながりますが、自分たちの精度のところが一番の原因だったと思います。パスミスもありましたし、パスが本来であればもう少し前じゃないといけないところで後ろに行き過ぎてしまうことや、ノックオンで相手に点を与えたところもあったと思います。本来であれば、自分たちが30点以上、こうやってスコアできれば普通に勝っていると思います。ただ、自分たちが得点したあとにすぐに得点を与えてしまっていると、試合には勝てないので、今日の試合に関しては本当にフラストレーションの溜まる内容でした」
東芝ブレイブルーパス東京
東芝ブレイブルーパス東京
トッド・ブラックアダー ヘッドコーチ
「まずは本当に勝ててよかったです。メリークリスマス。リーチ(マイケル)はじめ選手全員のことを本当に誇りに思います。本当に素晴らしかったです。序盤はコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)さんからすごいプレッシャーを掛けられたんですけど、そこからチームを立て直す力を示してくれたかなと思います。チームの今季を表す、そういう立て直す力を見せられたのがすごく良かったと思います。アタック、ディフェンスどちらも大きな瞬間がいくつもあった試合だと思います。もちろんプレッシャーも掛かりましたし、ストレスも感じましたし、いくつかの局面ではやられてしまったなと感じるところもあります。ただ、結果としてこういうふうに勝てたこと、本当にシンプルな単純なことを継続してしっかりやっていくことができた。プレッシャーが掛かる試合を制してくれた選手のことを、これ以上誇りに思うことはありません」
──リッチー・モウンガ選手やシャノン・フリゼル選手はもともとポテンシャルの高い選手。リッチー・モウンガ選手のディフェンス面の貢献も見られるが、アジャストしてきていると感じるのか、元々持っているものを出していると感じているのか?
「自分の役割というところで、ディフェンスはチームとしても大事なところです。そこに対してアグレッシブに情熱をもってできるというのは、例えばリッチーもそうですし、シャノンやリーチという選手がワールドクラスたるゆえんかなと思います。今日のディフェンスに関してはリッチー含めて容赦なく守り切るところを、リッチーは例えばフロントラインに入ったシーンでもしっかりタックルに入ってくれました。ディフェンスでは、システムの中でしっかり守りながらコネクションを保っている。これは本当に彼らを含めてチームがどれだけ選手たちが一体となっているかという一つの証明だったと思っています」
──開幕3連勝の感想を。また、今季のディビジョン1のレベルをどう感じている?
「まずシーズンのスタートに関しては、これ以上ないくらいうれしく思っています。自信をつけることもできたし、選手たちにプレッシャーが掛かったところで、どうやって切り抜けて自分たちのペースに持っていくかというところを学ぶこともできたし、どんどん力をつけることもできたと思います。プレッシャーが掛かったところでも落ち着いてプレーすることが実際の試合で出せたことは、シーズンが長く続きますけど、残りのシーズンに向けてもいい基盤になったと思っています。
リーグ全体に関しては、毎年毎年、どんどんタフな大会になっているなと感じていて、フィジカルのレベルもものすごく上がっていますし、今日の試合に関してももちろん、2節も1節も、幸運にも僕らは勝てましたけど、勝ちと負けの差はわずかだったかなと思っています。今後も良かったところは良かったとしっかり認めて、さらに成長を続けて、同時に地に足をつけてやらなきゃいけないことはやっていきたいです。ただ、今日の勝利もそうですけど、喜ぶところは喜んでシーズンを進んでいきたいと思っています」
──立ち直れる力が今季の力という話だったが、プレシーズンからどのように培ってきたのか?
「ハードなトレーニングを重ねるというところに尽きると思います。具体的に言いますと、ノンメンバーの選手たちが毎週毎週、メンバーに対していいプレッシャーを掛けてくれて、そういう準備を1週間とおしてできていることですね。良い判断ができるようないろんなシナリオを練習でも再現しながら、その中でいい判断ができるようにトレーニングしながら、その中心にはやっぱり経験のあるリーダーの選手たちがそろっているので、彼らの経験だったり、知識だったりがチームに落ち着きをもたらしてくれて、厳しい局面も乗り越えていけるというふうになっていると思います」
東芝ブレイブルーパス東京
リーチ マイケル キャプテン
「今日はありがとうございます。3試合続けて多くのファンの前でプレーできて、そして、BL東京が勝って良かったと思います。選手は東京サントリーサンゴリアス戦の反省点である、ディシプリンのところと、後半の入り、そこはよくクリアできたと思います。BL東京としても最初から最後まで大事な場面をコントロールできたと思っています。プレッシャーが掛かったときによく耐えてコントロールもできたし、相手にプレッシャーを掛けることもできて良かったと思います。もう1週間リフレッシュして、次からさらに成長したいと思います。毎試合毎試合、タフなゲームが続いている中で勝っていて、チームに自信がついていると思います。今日はありがとうございます」
──毎試合集中を切らさない思いがあると思うが、序盤戦においてトップ4争いで競ることになるだろう静岡ブルーレヴズ、神戸Sの2つに勝ったことは大きい?
「本当に強いチームに勝って自信がついています。チームとしてこの3回の勝利はすごく大きいと思います。今後に必ずつながっていくと思います」
──前半から相手のフォワードに対してBL東京側が押していた印象がある。BL東京として譲れないところだと思うが、それを実現できた要因は?
「準備と、BL東京はデカいということ。ロックは二人とも2mを超えているし、バックローには190cmを超え、約115kgの選手もいて、僕も113kgあり、オープンサイドフランカーも100kgくらいある。大きくて走れるところが相手にプレッシャーを掛けられているところだと思います」