NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン3 第3節
2024年1月6日（土）13:00 Balcom BMW Stadium (広島県)
マツダスカイアクティブズ広島 vs 日野レッドドルフィンズ

マツダスカイアクティブズ広島（D3）

「今季のターニングポイント」となる一戦。キーマンは、11回の手術を乗り越えてきた男

マツダスカイアクティブズ広島の中本圭介選手。フルバックとして「チーム全体を後ろからコントロールしていきたい」

開幕戦でクリタウォーターガッシュ昭島に快勝してから3週間、マツダスカイアクティブズ広島はBalcom BMW Stadiumに2連勝して乗り込んでくる日野レッドドルフィンズを迎え打つ準備を行ってきた。

中居智昭ヘッドコーチは「日野さんは体の大きな選手とスピードのある選手が多く、シンプルかつ王道のラグビーをやっている。その相手に対して、自分たちがどういうプレーをすればいいのかはしっかりと準備できています」と自負を覗かせた。

開幕戦で躍動した、23年に加入した選手に今節も大きな期待が懸かる。開幕戦のプレーヤー・オブ・ザ・マッチ（POTM）に選出された前田翔哉はもちろん、2試合連続先発となる田中康平にも注目だ。

中居ヘッドコーチが「能力的にはもう抜群なものを持っている。日野さんはミドルエリアからどんどん蹴ってくるので、彼が活躍するとウチに流れが来る」と今節のキーマンに挙げるウイングは、「ボールを持って走ってチャンスメークできるところが自分の強み。日野さん相手にチャレンジャーの気持ちを持ってやっていきたい」と意気込んでいる。

若い選手が思い切り躍動するためには、ベテランの存在も欠かせない。開幕戦で途中出場し、今節はスターティングメンバーに名を連ねる中本圭介もキーマンの一人になるだろう。ここ2年、けがが重なったため前節がジャパンラグビー リーグワン初出場。今節が初めての先発出場になる。その中本は、「今季のターニングポイントになるような試合にスタートから出られるので、チームの勝利を第一に考えてプレーしたい。僕に期待してもらっているキックのところとエリア取りのところをしっかりとやって、チーム全体を後ろからコントロールしていきたいと思います」と静かに今節を見据えた。

これまで幾度もけがに遭ってきたが、そのたびに立ち上がってきた苦労人。「けがをしてラグビーをやりたくてもできなくなった人をたくさん見てきた。自分はまだ恵まれているなと思う。これまで11回手術をしていますけど、まだラグビーができることに感謝しています」と話す31歳がチームに安定感をもたらし、SA広島は再びホームで躍動感のあるパフォーマンスを見せる。

（寺田弘幸）

日野レッドドルフィンズ（D3）

「感謝の気持ちを込めて……叩きつぶします」。大内空が誓う古巣への“恩返し”

日野レッドドルフィンズの大内空選手「SA広島にいたからこそここまで成長できたし、広島のみなさんに4年間たくさん支えてもらった。感謝の気持ちを表せるようなプレーをしたい」

日野レッドドルフィンズ（以下、日野RD）は1月6日（土）13時からBalcom BMW Stadiumでマツダスカイアクティブズ広島（以下、SA広島）と対する。

今季初の対戦となる日野RDとSA広島。苑田右二ヘッドコーチは、「新年最初の試合で非常に大事なゲーム。SA広島は、ボールキャリーに力がある選手が4、5人いるし、どの選手も真面目にハードワークしてくる。われわれがそれ以上にハードワークできるかが重要」と試合を見据える。「ボディーコンタクトの部分に関して非常に鍛えられている相手なので、セットピースからのペナルティで相手の攻撃の起点を作らせないよう気を付けたい。その接点でどれだけ勝てるかがカギ。連勝は意識せずこの試合に集中することへフォーカスしたい」（苑田ヘッドコーチ）と、日野RDは慢心することなくビジターゲームに臨む。

激戦が予想されるこの試合だが、誰よりもこの対戦を心待ちにしているのがウイングの大内空だろう。大内は昨季までの4年間SA広島に所属していたが、2023年7月に退団となり、その後8月に日野RDへ加入。今季はさっそく開幕戦の清水建設江東ブルーシャークス戦で “ハットトリック”となる3トライを挙げてチームに勢いをもたらす立役者となった。

大内はSA広島との対戦に向けて「チームの状態はとても良いし、新年初の試合なので、全員で勝利をつかむことを意識して臨みたい。今季のテーマは『ハングリー』なので、その思いを常に持ち続けて、貪欲に、強気に、トライを奪いにいきたい」と意気込む。

苑田ヘッドコーチは「チームに合流した当初からラグビーに対するハングリーな気持ちが前面に出ていた。そういう思いを忘れずにプレーしてほしい」と大内の気持ちの強さを高く評価。ウイングのポジションはトライを取り切る決定力が重要で、誰よりもその点にはこだわってほしい、と大内に繰り返し伝えているとのこと。そして、「彼の強みは、ハードワークをアタックでもディフェンスでも続けられること。古巣相手に成長した姿を見せることが彼自身も“恩返し”になると思うので、存分に良いプレーを見せてほしい」（苑田ヘッドコーチ）と“爆発的な活躍”に期待を寄せている。

「古巣との対戦に向けての思いは？」との質問に大内は、「言葉は悪いかも知れませんが……」と前置きしながらも、「感謝の気持ちを込めて……叩きつぶします」と力強い言葉。続けて「タックルで捕まえられてもどん欲にそこから前に出ることは常に意識しています。泥臭いかもしれませんが、そういった雑草魂というか、トライを取りたいという気持ちが伝わるようなプレーを見せていきたい」と言葉をつないだ。

「SA広島にいたからこそここまで成長できたし、広島のみなさんに4年間たくさん支えてもらった。感謝の気持ちを表せるようなプレーをしたい」。広島の地で、大内空は成長した姿をグラウンドでしっかりと表現する。

（関谷智紀）