NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン3 第14節
04.28 Sun 14:00 維新みらいふスタジアム (山口県)
マツダスカイアクティブズ広島 vs 日野レッドドルフィンズ
マツダスカイアクティブズ広島(D3)
チーム内に満ちる若い選手たちのエネルギー。
一丸でつかみ取る、入替戦の切符
今季の戦いも佳境を迎えた。ディビジョン3はすでに日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)の優勝が決定。清水建設江東ブルーシャークスが2位でD2へ昇格することが決まった中、D2/D3入替戦に出場する3位の座を懸けた戦いの決着がつくのはこれからだ。
現在3位のマツダスカイアクティブズ広島は、今節に勝てば自力でD2/D3入替戦への出場を決めることができる。初めてホストゲームを行う維新みらいふスタジアムに日野RDを迎えることとなった。
重要な局面を迎え、中居智昭ヘッドコーチは自信をのぞかせた。前節の『広島ダービー』での勝利は「今まで自分たちが積み上げてきたものが間違いではなかった」と頷ける内容だったと同時に、気持ちが表れていたところに確かな手ごたえがあった。
「自分たちが何をすべきかがすごく明確になったゲームだった。みんなが体を張って前に出ていったし、ピンチも仲間が助けてくれた。全員で助け合って一つのチームで作り上げている感覚を持てたことがすごく大きな財産になった」(中居ヘッドコーチ)
いま、SA広島はチームが一つにまとまってきており、若い選手たちのエネルギーも満ちてきている。
24歳の横尾太一はいま、ラグビーが楽しくて仕方ないと言う。
「最高ですよ、ほんまに。2年間くらいけがをして試合に出られへんかったぶん、今年に入ってから試合にもずっと出ることができていて、本当に楽しいです。親にもしっかりとプレーを見せられているのはうれしい」
23歳の本山峻也は、社会人として四苦八苦してきた1年間を経て、いろいろなことに慣れて自分と向き合えるようになってきたところだ。
「仕事とラグビーの両立はしんどいです(苦笑)。いろいろ大変ですけどようやく慣れてきましたし、自分がリーグワンで通用する部分とまだまだな部分が分かってきました。自分の強みとしてディフェンスを伸ばしていきたいし、課題のところもウェイトトレーニングをしてカバーしていきたいと思っています」
これからの試合はより緊張感の高まる戦いになるが、横尾は「緊張感のある状況で試合ができるのは、ラグビーをやっている身としては幸せです」と笑みを浮かべ、「見ている人に気持ちが伝わるプレーをすることをチーム全体でやっていきたい。それができれば結果もついてくると思っています」と勢いよく語った。
(寺田弘幸)
日野レッドドルフィンズ(D3)
優勝は決まっても。日野RDにとって
残り2試合は“プレーオフトーナメント”
日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)は4月28日(日)に山口県山口市の維新みらいふスタジアムで行われるマツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)とのビジターゲームに臨む。すでにディビジョン3優勝を決めている日野RDだが、残り2試合も無敗を継続できるかが注目される。
SA広島はこの試合で日野RDに勝てば3位が確定し、D2の6位と戦うD2/D3入替戦に駒を進められるため、全力で立ち向かってくるだろう。そんな相手に対して日野RDは今季掲げてきた“ボールも人も動くエキサイティングなラグビー”を貫くことができるのか。苑田右二ヘッドコーチはウイングの先発にこれがジャパンラグビー リーグワン初キャップとなる日本大学出身の水間夢翔を起用。戦術の幅を広げる狙いだ。
苑田ヘッドコーチは水間の起用について「われわれのラグビーは、外側のスペースのゲインラインを越えることによって、(攻撃の)バリエーションが増える。その意味でも水間選手には外側のスペースでえぐってもらう、あるいはフィニッシュしてもらうという役割を遂行してもらいたいと思っています」とその意図を説明。スピードタイプのウイングが多い日野RDにあって、水間はパワーで突破していくタイプ。来季以降、さまざまなディフェンスの形を持つチームに対抗するためにも、水間の成長は欠かせないと苑田ヘッドコーチは考えているようだ。
「メンバー入りが発表されて正直、緊張感はあります。でも、コンタクトされてもそのまま走り続ける、絶対に倒れないことをいつも心掛けていますし、その力強さは自分の武器だと思っているので、最大限に生かしてチームをラクにさせるプレーを見せたい」と水間は試合に向け気合い十分だ。
そしてもう一つ、水間にはこの試合で活躍を見せたい理由がある。
「ストレングス&コンディショニングコーチの木村耕さんには個人練習でもずっと支えてもらってきました。あそこまで自分のために熱くなってくれる人は初めてと言えるくらい。フィットネスも最初はきつかったですが、自分のためだから頑張ろうと取り組ませてもらって成長できている。ぜひトライを奪って、会場を大いに沸かせたい」
苑田ヘッドコーチは「優勝は決まりました。でも、『ラスト2試合はプレーオフトーナメントだと思って臨もう』と選手たちには話しています。来季以降の準備としても、次のSA広島戦はプレーオフトーナメント準決勝、最終節の清水建設江東ブルーシャークス戦が決勝戦でどちらの試合も『負けたら終わりだ』という心構えで試合に臨みたい。その上で80分間をとおして日野RDらしい“エキサイティングなラグビー”を遂行したい」と話す。
近い将来、「D1でベスト8を常に争うチームになる」という高い目標を設定する日野RDにとって決して落とせないゲーム。山口県でもファンに素晴らしい戦いを披露する。
(関谷智紀)