2024.01.12NTTリーグワン2023-24 第5節 花園L vs トヨタV-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(リーグ戦)第5節 カンファレンスB
2024年1月14日(日)14:30 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)
花園近鉄ライナーズ vs トヨタヴェルブリッツ

花園近鉄ライナーズ(D1 カンファレンスB)

負けられない同期と崇拝する先輩を切り裂いて、
初勝利に導く初トライを

花園近鉄ライナーズの木村朋也選手。トヨタヴェルブリッツとの対戦にひときわ気持ちがたかぶるその理由とは

花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)が、1月14日のNTTジャパンラグビー リーグワン2023-24ディビジョン1カンファレンスB第5節でトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)をホストゲームで迎え撃つ。

就任後、初勝利に燃える向井昭吾ヘッドコーチはこの一戦の見どころをこう評した。

「楽しみなのは(ニュージーランド代表の)オールブラックス対(オーストラリア代表の)ワラビーズのハーフ団がどうタクトを振るかでしょうね」

トヨタVに加入したニュージーランド代表のアーロン・スミス、ボーデン・バレットが話題を集めるが、花園Lのクウェイド・クーパーとウィル・ゲニアもオーストラリア代表での実績では引けをとらない。そんな世界的スターたちが東大阪市花園ラグビー場に集うことになるが、花園Lにはこの一戦に向けて特別なモチベーションを抱く日本人選手がいる。チームのディビジョン1昇格1年目の昨季は負傷に泣き、リーグ戦でわずか1試合の出場にとどまった快速ウイングの木村朋也である。

トヨタVに今季加入したシオサイア・フィフィタは花園Lに同期で入団。大学時代はライバルとして対戦してきた二人は、花園Lで僚友としてピッチに立ってきた。「社会人になってから、トヨタVと対戦するのは初めてだし、同期のサイア(シオサイア・フィフィタの愛称)がいるので楽しみ。ただ、高校時代から何度も対戦していますけど、通算では負け越しているので、次は勝ちたいです」と木村は目を輝かせる。

今季すでに2トライを決めているシオサイア・フィフィタに対して、木村はまだトライがない。それでも『フェラーリ』の異名どおり、抜群のスピードはリーグ屈指である。向井ヘッドコーチも言う。「トライを取れる選手がウチにはいる。そこにうまくボールが回るかどうかです」。

シオサイア・フィフィタの存在に加えて、木村を燃え上がらせるのはトヨタVのシンボルでもある姫野和樹の存在だ。ラグビーワールドカップ2023フランス大会で日本代表のキャプテンを務めた姫野は木村にとって帝京大学ラグビー部の先輩にあたる。姫野の卒業直後に入学したため、いわば入れ違いの格好になったが伏見工業高校時代に練習参加し、間近で接した経験も持つという。「すごい先輩なので崇めています」と姫野へのリスペクトを口にする木村だが、ピッチ内では気後れも遠慮も一切なしだ。

「先週の試合はほとんどボールを持てなかったので、今回はボールを持っていいランで貢献したいです」

同期のシオサイア・フィフィタと先輩の姫野を前に、木村がエンジン全開でひた走る。

(下薗昌記)

トヨタヴェルブリッツ(D1 カンファレンスB)

自分は自分。福田健太はスーパースターにも臆しない

久しぶりの公式戦出場に備えるトヨタヴェルブリッツの福田健太選手。今節も9番(スクラムハーフ)のスタートはアーロン・スミス選手だが、福田選手もリザーブから出場をうかがう

前節は埼玉パナソニックワイルドナイツに悔しい逆転負けを喫したトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)。気持ちを切り替えて花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)とのビジターゲームに臨む。

ここまで2勝2敗。波に乗り切れずにいるトヨタVに頼もしい男が帰ってくる。ラグビーワールドカップ2023フランス大会にも出場した日本代表の福田健太だ。同大会で代表ファーストキャップを獲得した福田は、その勢いのままNTTジャパンラグビー リーグワン2023-24に臨みたかったが、コンディション不良でここまでベンチ入りさえできなかった。

「トヨタVの試合をスタンドで観るのはひさしぶりでした。あらためて僕たちの強みがどこにあるのか気付けたし、アーロン(・スミス)と僕のプレースタイルは少し違いますけど、『自分だったらこうしかけたいな』というところもありました」

ようやく桜のジャージーを身にまとうことができた福田にとって、アーロン・スミスの加入は寝耳に水だったのかもしれない。世界屈指のスクラムハーフの加入で彼の出番が減ることは間違いなく、今後の代表の選考にも影響が出かねない。ネガティブになっても不思議ではない状況だが、福田の思考は違った。

「アーロン(・スミス)をどんどん利用していきたいと思っています。その経験をしっかり聞いて自分のプレーの幅を広げること。逆にアーロン(・スミス)も簡単に9番で出られるようだと、彼自身の成長につながらないだろうし、トヨタVの9番としてスクラムハーフ全員がレベルアップできるように、僕もプレッシャーを掛けたいと思います」

相手がビッグネームだからといっても臆しない。チームメートとして良きところは学びつつも自分は自分のスタイルを貫き、それを勝利に還元していくだけ。昨年の流行語で「憧れるのをやめましょう」という言葉があったが、福田はスタンダードにそれを実践しているどころか、スーパースターをもっと成長させたいと考えていることに驚いた。

花園Lとの試合で福田は21番を背負う。出場するならほぼ9番のアーロン・スミスとの交代だろう。そのときにどんなプレーで違いを見せられるのか。それがチームを強くさせる一つのポイントになる。

(斎藤孝一)


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