花園近鉄ライナーズ(D1カンファレンスB)

「いつも全力でお手本」。苦境でも戦うラガーマンが観る者を熱くする

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1 第11節の交流戦で花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)は東大阪市花園ラグビー場でトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)とのホストゲームに挑む。

前節は、三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)との昇格組対決に29対38で競り負け、未だ勝利から見放されている花園L。だが、チームの苦境でも常に戦う姿勢を忘れないラガーマンが存在感を放っている。ジョシュア・ノーラのことだ。

相模原DB相手に後半7分、華麗なステップで4人をごぼう抜き。後半に崩れがちなチームを勇気づける今季5トライ目で反撃の狼煙を上げ、一時は逆転に成功する追撃ムードを作り出した。

低迷するチームの中で、孤軍奮闘してきたジョシュア・ノーラの持ち味は抜群の推進力と強気のランを生かしたラインブレイク。リコーブラックラムズ東京のネタニ・ヴァカヤリアの21に次ぐ、19という数字はリーグ2位の好成績だ。

もっとも、ジョシュア・ノーラの貢献度はその姿勢に表れる。相模原DB戦の前半40分、タウモハパイ ホネティがトライを決めた際にも、懸命に最後まで追いすがり、トライを封じようとしたあきらめない泥臭さこそが、ジョシュア・ノーラの真骨頂なのだ。

「お手本ですよね。いつでも全力で、観ている人たちにも感動を与えてくれる選手です」と水間良武ヘッドコーチも目を細める。

観客に感動を与えたいというチームスローガン『近鉄漢-KINTETSU MAN-』という言葉を体現するジョシュア・ノーラだが、端正な顔立ちを持つウイングは、チームに特別な思いを持っている。

花園L入団前にホンダヒート(現在の三重ホンダヒート)で2シーズンプレー。その後、ジョシュア・ノーラに誘いをかけたチームが花園Lだったという。「ほかのチームが僕にチャンスをくれなかったときに、手を差し伸べてくれました。だから僕はこの身を捧げたいと思っています」

前節からウイングで起用されたシオサイア・フィフィタとの両翼は、シーズン終盤に向けた花園Lのストロングポイントである。

剛のシオサイア・フィフィタと柔のジョシュア・ノーラ。チーム内では「ジョシュ」の愛称で呼ばれる快速ウイングは、「常に100%を出すことを考えています。メンバー外の選手やスタッフを代表して僕はピッチに立っているのだから」。

華麗なステップワークはもちろんだが、そのプレーが観る者を熱くする。

(下薗昌記)

花園近鉄ライナーズのジョシュア・ノーラ選手。「常に100%を出すことを考えています。メンバー外の選手やスタッフを代表して僕はピッチに立っているのだから」


トヨタヴェルブリッツ(D1カンファレンスA)

企画・司会・普及・選手の一人4役。歴史と伝統を紡いできた苦労人が、日の目を浴びる

3勝6敗と苦戦が続いていたトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)だったが、前節は昨季の準優勝チームで、8連勝中の東京サントリーサンゴリアスに勝利。今節はその勢いに乗って今季初の連勝を狙う。

大きな勝利をつかみ、表情も明るくなったトヨタVの選手たち。しかし、これまでチームが厳しい状況の中にあっても、務めて明るくチームを盛り上げようと奮闘していた男がいる。加入6年目の竹井勇二である。

日本代表の姫野和樹と同期で、同じ帝京大学から加入した竹井。実は一人で4役をこなす選手だ。

一つ目はチームを結束させるための企画を立てたり、仕切ったりするグループの一員。二つ目は、週の最初に行うミーティングのMC(司会)。これは前節の反省といったラグビーの話だけではなく、選手がそれぞれの来歴や趣味、目標などを話すことで、お互いを密に知り、より強固なチームワークを作ろうというミーティングで、竹井がチームメートにうまく話を振り、盛り上げている。

三つ目はトヨタ自動車の社員であること。現在はスポーツ地域・強化貢献部の普及育成活動担当として愛知県のラグビースクールや地域のイベントを行っているが、昨年までは本社工場の工務部で部品の発注などを手掛けていた。

そして四つ目はもちろん選手としての顔である。だが、竹井は昨季までの5年間、ジャパンラグビー トップリーグでの出場がなく、今季の第4節・埼玉パナソニックワイルドナイツ戦でようやく初出場を果たした。

「なかなか試合に出られなくて苦しかったですけど、今までの先輩たちの中にもそういう人がいて、その中でも自分のできることや、やるべきこと、例えば相手の分析をするとか、そういう姿を見てきたので、なんとかモチベーションを保てました」

初キャップが決まったときは素直にガッツポーズし、心の底から喜んだ。その一方で、試合に出られるようになったことで、選手としての自覚が芽生え、一つひとつのプレーにより責任を感じるようになった。

「今まで偉大な先輩方から学んできましたし、自分も中堅どころになってきたので、いいタックルをしてチームの雰囲気をガラッと変えるとか、1本のスクラムで流れを変えるとか、そういう姿を後輩や応援してくれるスクールの子どもたちや職場の人たちに見せたいです」

陰になり日向になり、常にチームのためを考えてさまざまな役回りをこなしている竹井。確かに出場時間は短いかもしれないが、間違いなくクラブの歴史と伝統を紡ぐ選手の一人である。

(斎藤孝一)

トヨタヴェルブリッツの竹井勇二選手は加入6年目となった今季1月15日、ようやく初出場を果たした。この試合でもリザーブでメンバー入り


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