NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(交流戦)第6節
2024年1月27日(土)13:00 駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場 (東京都)
リコーブラックラムズ東京 vs クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
リコーブラックラムズ東京(D1カンファレンスB)
「自分が一番強いと思ってラグビーをしています」
今季初先発の先に見据えるのは大志
ホストゲーム2連勝を目指す、リコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)。交流戦初戦となるNTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1第6節、1月27日(土)に駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場で対戦するのは、昨季わずか2点差で敗れたクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)だ。
「(S東京ベイが)昨季のチャンピオンチームということは意識していません。あくまでも自分たちのラグビーをしよう、と1週間準備しています」と話すのは、今季初めての先発出場を勝ち取った身長186cmの大型センター・池田悠希だ。
東海大学卒業後、NTTコミュニケーションズシャイニングアークスを経てBR東京に加入し、早くも3シーズン目となる。
1シーズン目は、チームの文化を理解し、いち早く溶け込むことが求められた。2シーズン目には11試合に出場しチームのDNAを体現すると、今季は「BR東京にフィットした選手になれているな」と感じることも増えてきた。
「例えば、となりにミルキー(アイザック・ルーカス)が立っていたら、もっとこういうポジショニングをしてあげたほうが良いということが分かってきました」
それを人は、「阿吽の呼吸」と呼ぶのだろう。わずかな気遣いが、大男たちの間をすり抜けるベストタイミングを生み出すようになった。
池田には、ラグビーをする上で大事にしていることがある。
「ラグビーはコンタクトスポーツです。ポジションもセンターなので、体を当てることも多いですし、体格の勝る外国人選手がトイメンにいることも多い。でも、相手が誰かは関係ない。僕は、自分が一番強いと思ってラグビーをしています」
自他ともに認めるポジティブな性格も好循環をもたらす。
「スポーツなので、絶対にミスは起こります。だから大事なのは、ミスをしたあとにどれだけ切り替えられるか」
すべての事象は、捉え方次第。プラスに考えるか、マイナス思考になるかは自分次第なのだ、と笑った。
今季はけがのためスタートが出遅れたが、目標は変えずに『日本代表入り』を掲げる。
「ここで自分らしいプレーをして、アピールしたい」
フィジカルの強さを生かしたボールキャリーやディフェンスでチームを前に出すことができれば、自ずと道は拓けるはずだ。
(原田友莉子)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(D1 カンファレンスA)
仲間から頼られる199cmの“兄貴分”。
背中で見せる男の献身
オレンジの歓喜に沸いた、昨年5月20日の国立競技場。それはクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)が創部45年目にして初めてリーグ制覇を成し遂げた日。しかし、この宿願の舞台に、彼の姿はなかった。
「悔しかったです。昨シーズン、私はほとんどの試合に出場しました。また、チームも時間をかけて階段を上っていき、ようやく優勝という成績を残すことができました。その輪の中に入れなかったことは、個人的にはとても悔しいことでした」
S東京ベイが誇る身長199cm体重113kgの大型ロック、デーヴィッド・ブルブリング。2022-23シーズンはディビジョン1の16試合中14試合に出場するも、最終戦である4月22日の東京サントリーサンゴリアス戦で負傷。戦線離脱を余儀なくされた。
今年で在籍6年目の34歳。チームでは若手をリードする“先輩”的な立場にある。「頼れる兄貴分」、「チームが苦しいときに体を張って闘ってくれる男」。デーヴィッド・ブルブリングを知る関係者たちは、彼の印象を一様にそう語る。客観的に見れば長男気質があるように感じるが、意外にも、実は4人兄弟の末っ子らしい。
「姉が二人、兄が一人います。末っ子の私は、甘やかされて育てられたほうかもしれません(苦笑)。だから、『兄貴分のようだ』と言われることは、とても光栄に思います」
そのリーダーシップの源流は、過去のどのフェーズに存在するのか。それは自分でも「よく分からない」とか。ただ、両親からは、人生という長い道を歩んでいく上で重要なことを教わったという。それは「他者を思いやる心を持つ」こと。「思いやり」なくして、良好でかつ円滑な人間関係は築けない。それはラグビーも同様である。
「お互いを思いやるからこそ、チームのためにハードワークができるのです。私はこのチームに、まるで家族のような環境、文化を築いていきたいと思っています。そのために大切なのは、チームメートをリスペクトすることです。相手をリスペクトしないことには、自分もリスペクトされません」
ただそれは強制的に他者に強いるものではない。日本語に「背中で見せる」という表現があることを告げると、彼は「まさにその言葉どおりです」とほほ笑んだ。
「まずは自分が行動しなければならないと、そう思っています。これは練習でも試合でもそうです。口で言うだけではなく、自ら行動して示すことが重要だと考えています」
今季は苦戦を強いられているS東京ベイ。そんなときこそ、仲間たちから頼られる男がここにいる。今節のリコーブラックラムズ東京戦。昨季の痛恨の念を胸の中の小箱に秘め、デーヴィッド・ブルブリングはあくまで献身的にチームを支えながら勝利へと向かう。
「昨シーズンは確かに悔しい思いをしました。しかし、ラグビーはチームスポーツなのです。チームの優勝はとてもハッピーなことですし、私も誇りに思います。今シーズンも連覇できるよう、取り組んでいきます」
(藤本かずまさ)