2024.02.15NTTリーグワン2023-24 第7節 トヨタV vs 三重H-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(交流戦)第7節
2024年2月17日(土)14:00 パロマ瑞穂ラグビー場 (愛知県)
トヨタヴェルブリッツ vs 三重ホンダヒート

トヨタヴェルブリッツ(D1 カンファレンスB)

頼もしき男の帰還でついに実現。
最前線で体を張る“転向10年目コンビ”に注目を

日本代表キャップ6をもつトヨタヴェルブリッツの木津悠輔選手。ようやく今季初出場を迎える

3勝3敗で8位のトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)が、最下位の三重ホンダヒート(以下、三重H)を迎えるホストゲーム。上位進出を狙うトヨタVにとって、難しい相手との対戦だが絶対に負けられない戦いだ。

その試合に頼もしい男が帰ってきた。日本代表として6キャップを誇るプロップの木津悠輔。今季を節目の年として、「絶対にタイトルを獲りたい」と意気込んでいたが、開幕前に肉離れを発症。ようやくその傷も癒え出番が回ってきた。

「三浦(昌悟)とこの前話していたんですけど、僕も三浦も大学1年からプロップを始めて気が付けば10年目なんです。自分の中ではまだまだ始めたばかりだなって思っていますけど」と笑顔で語る木津。高校まではフランカーやナンバーエイトでプレーしていた。

「天理大学に入れたのは良かったですけど、僕は左パスも出来ないほど不器用で、周りにはうまい選手がたくさんいて、『じゃあどうしようか』と悩みました。タックルに行くとか体を張る気持ちはあったので、プロップが向いているんじゃないかって、周りの仲間やコーチにアドバイスされて転向を決意しました」

それまで「1列目は大変そうだな」と思っていた木津だが、初めてのポジションに取り組むことへの不安よりも、「チャレンジしなければいけないんだ」という切迫感が上回り、がむしゃらに練習をした。そしてその猛練習は決して嘘をつかず、木津は日本で開催されたラグビーワールドカップ2019日本大会のメンバーにも選ばれるほどに成長した。

「代表に選ばれたときには、プロップに転向して本当に良かったなと思いましたね。大学1年のときに転向していなかったらいまの自分はないと思います」

偶然にもトヨタVに同期で入団した三浦も同じ境遇で、大学1年でプロップに転向している。そして同じように秘めたる力を解放できるようになり、二人が中心になってトヨタVの1列目を支えてきた。もちろん三浦も日本代表のキャップを獲得している。

ともにプロップ転向10年目。木津悠輔選手(左)は3番で、三浦昌悟選手は1番で出場予定だ

そして今節、ようやく二人がそろう機会が巡ってきた。しかも上位進出のためには、「チャレンジしなければならない」という絶好のシチュエーション。全力を発揮する舞台は整った。

「今節、僕がやらないといけないことは、まずは3番としてスクラムの安定。そして“勝つ”というところは、絶対にやらないといけない仕事だと思っています」

最後に、プロップに転向して良かったなと思うことを木津に聞いてみた。

「プロップはみんな仲良しなんですよ。その仲の良さがスクラムの横の団結につながるし、スクラムで勝ってチームがチャンスになれば、達成感がものすごくあります。体はきついですけど、それがプロップの楽しさなのかなって思います」

見どころの多いトヨタVだが、今節はまずプロップ10年目コンビに注目してみてはいかがだろうか。

(斎藤孝一)

三重ホンダヒート(D1 カンファレンスA)

沖縄キャンプでの取り組みを初勝利という成果へ。
自らの仕事にフォーカスするミッチェル・ハント

「THE CROSS-BORDER RUGBY 2024」の間、沖縄キャンプ等で強化を図ってきたという三重ホンダヒート。対戦相手トヨタヴェルブリッツのアーロン・スミス選手とコンビを組んでいたミッチェル・ハント選手はリザーブから出場をうかがう

今節の三重ホンダヒート(以下、三重H)は、パロマ瑞穂ラグビー場でトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)とのビジターゲームに臨む。

いまだ勝ち星がない三重Hは、約1カ月の中断期間中、沖縄県名護市でのキャンプやパートナーシップ契約を締結したハーレクインズのダニー・ウィルソン ヘッドコーチらの指導を受けるなど、後半戦の巻き返しに向けて準備を重ねてきた。沖縄キャンプの手応えを聞くと、キアラン・クローリー ヘッドコーチは開口一番、「ちょっと日差しを浴びに行ってきました」と冗談を言って報道陣を笑わせたが、すぐに表情を引き締め直した。

「沖縄ではモールディフェンスをメインに取り組みました。そこから自分たちがどのように相手にプレッシャーを与えていけるかというところも確認しながらトレーニングしました。

トヨタVはフィジカルを前面に出してくるチームなので、タイトファイブ(フォワードの前5人のこと)を中心に、ほかの選手もそこをサポートする。全員が少しずつステップアップしてフィジカルに戦う必要があると思います。自分たちのシステムを、いかに一貫性を持ってやり続けられるかが重要であり、試合を重ねるごとに成長が見られる。このまま成長を続けていけばトヨタVにも勝てると思うし、勝ちたい」

この試合を心待ちにしている選手がいる。今季より加入したミッチェル・ハントだ。ニュージーランドU20代表の経験を持ち、前所属チームのスーパーリーグ・パシフィック、ハイランダーズでトヨタVのアーロン・スミスとコンビを組んでいた。ラグビーワールドカップ2023フランス大会で日本代表のキャプテンを務めた姫野和樹とも1年間一緒にプレーしている。

「姫野選手とはプレシーズンゲームのときに会ったのですが、アーロン・スミス選手はまだ来日前だったので、今回対戦できるのをとても楽しみにしています。両選手とも素晴らしい選手。二人に仕事をさせないことがキーになると思います。お互いにどういうプレーをするのかよく知っている中で、特にアーロン・スミス選手に関しては世界有数の競争心の強い選手。キックをコーナーに蹴り分けるような高いスキルを持っているので、チームとして警戒する必要があると考えています」

アーロン・スミスというニュージーランド代表オールブラックスに敬意を払いながらも、相手が誰であろうと自分の仕事を全うするだけだ。「自分は10番として、キックストラテジーの部分については責任がある。キックに加え、それに付随するプレッシャーの部分を含めて、自分たちがプレーしたいエリアでプレーできるようにコントロールしたい」。

三重HはトヨタVに対して、トップリーグ、リーグワンの公式戦でこれまで一度も勝ったことがない。今季のここまでの成長を、勝利という結果につなげたい。

(山田智子)

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