NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2 第6節
2024年2月17日(土)14:30 大和なでしこスタジアム (神奈川県)
浦安D-Rocks 85-5 日本製鉄釜石シーウェイブス
大量85得点。浦安DRがつかんだようやくの手ごたえ
今季最多の85得点を奪った浦安D-Rocks(以下、浦安DR)が日本製鉄釜石シーウェイブスを一蹴した。石井魁の3トライなど前半だけで6トライを奪えば、後半も攻撃の手を緩めず6トライと圧倒的な破壊力を発揮。連勝を『5』に伸ばし、首位に浮上した。
開幕から6試合目にして初めて充実の表情が見られた。開幕戦こそ落としたものの、それ以降は連勝街道を突き進み、常に上位に位置してきた浦安DRであったが、毎試合、会見場に姿を見せる飯沼蓮キャプテンの表情に笑顔はなく、反省の言葉が続くばかり。それがこの日は違った。いつも以上に口は滑らかで表情は穏やか。この試合の戦いぶりにはたしかな手ごたえをつかんだ。
「もちろん相手も大切ですけど、準備の段階から相手に合わせず、自分たちが目指すべきところにフォーカスして、準備の質を変えないことをすごく意識していました。難しいことではなく、シンプルに当たり前のことにこだわって1週間かけてみんなで準備をしてきました。それが結果につながったので、ここから少し自信になると思います」
自分たちで自分たちのスタンダードを上げることは、まさに開幕前から若きキャプテンが口酸っぱく言い続けてきたこと。リーグ戦では圧倒的な力を見せつけながら、D1/D2入替戦で勝てず、ディビジョン1昇格を逃した昨季の反省から、浦安DRが今季のスタートから掲げるスタンダードは高い。常に基準を“上”に置き、日常から取り組んでいる。
「全員が速くセットして、全員がオプションになって速いテンポでアタックし続けて、それがスコアにつながったシーンが何個かありました。今日の点数とアタックを見てもらえれば、少し前の浦安DRとは違うと思ってもらえると思います」
悲願のD1昇格へ。まだまだ道のりは長い。大事なのは目の前の一戦であることに変わりはない。それでも、自分たちが納得できるゲームをようやく一つ披露できた。浦安DRが大きな一歩を踏み出したのはたしかである。
(須賀大輔)
浦安D-Rocks
浦安D-Rocks
栗原徹コーチングコーディネーター
「本日はこのような素晴らしい環境の中でゲームをできましたことを感謝申し上げます。内容としましても浦安D-Rocks(以下、浦安DR)が求めている試合ができました。前半だけでなく後半もしっかりとしたプレーができたので良かったと思っています。ただ、日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)さんにも意地があり、1本(トライを)取られたところで課題をもらいましたので、次節に向けて練習していきたいと思います。ありがとうございました」
──前回対戦よりも大差がつきました。一番の違いを感じているところはどこでしょうか?
「前回も今回のようなゲームをしたかったのですが、相手もありますので、何とも言えないところもあります。(飯沼)蓮も言いましたように、相手どうこうの前に自分たちのスタイル、自分たちのやりたいラグビーにかなりフォーカスしました。もちろん、相手の分析はしていますけど、それ以上に自分たちのことだけをしっかりと考えてやってきた結果、力がそこに集結したかなと思っています」
──釜石SWは「ブレイクダウンでやられた」と話していたが、そこはフォーカスしてきたポイントですか?
「そうですね。ブレイクダウン担当のローリー・ダンカン アシスタントコーチがかなり熱をもったミーティングと練習をしてくれていたので、彼の熱が選手に伝播したかなと思います」
──試合のなかった3週間をどんな時間にしようとチームで位置付けていましたか?
「もう一度基礎からやり直すところにフォーカスしました。選手もそれに賛同してくれて、本当に基礎的な2対1とか、ハンドリングも含めて見つめ直して、作戦で勝つというよりも局面の状況判断で勝っていくことにフォーカスして、選手がそれを体現してくれたと思っています」
浦安D-Rocks
飯沼蓮キャプテン
「今日はありがとうございました。クリさん(栗原徹コーチングコーディネーター)も言ったように、今日はシンプルで当たり前のことを突き詰めて、自分たちのスタンダードにフォーカスして試合をしようとやってきて、前半の入りから自分たちの求めているスタンダードでラグビーができていました。ただ、後半はちょっと失速したり、キツい場面で精度が落ちてしまったりと課題が見つかったので、次節に向けてそこはしっかりと修正して成長していきたいと思います」
──今季初めて納得できるゲームができたと思いますが、これまでの5試合と異なる点はどのように感じていますか?
「準備の段階から相手に合わせず、もちろん相手も大切ですけど、自分たちが目指すべきところにフォーカスして、準備の質を変えないことをすごく意識してやりました。あとは、難しいことではなく、シンプルに当たり前のことをこだわって1週間かけてやってきたので、それがしっかりとみんな準備できて、結果につながった。ここから少し自信になるかなと思います」
──準備してきたことを出せた理由や手ごたえを得た部分はどこでしょうか?
「点数とアタックを見てもらえれば、全員が速くセットして全員がオプションになって速いテンポでアタックし続けて、それがスコアにつながったシーンが何個かあった。そこは少し前の浦安DRとは違うところかなと思います」
──田村煕選手と初めてハーフ団を組んだと思いますが、振り返ってみていかがでしょうか?
「煕さんは経験もありますし、煕さんが10番に入ったときに想定外のところまで準備の段階でできます。上のレベルでやっていた選手なので学ぶことも多いですし、明治大学の先輩としてすごくリスペクトしています」
──ハーフ団として手ごたえがあったシーンはありますか?
「ここ数試合の課題で外にスペースがあるときにバックスがコミュニケーションを取り切れずにチャンスを逃すことが前の試合のレビューで挙がっていましたけど、そこで煕さんがクリアなコールを出してくれたので、バックスでチャンスを作れましたし、外のスペースでアタックできました。今日は割とスムーズなゲーム展開でしたけど、これがタイトなゲームになっても落ち着いて良いゲームコントロールができると思うので、そこは楽しみにしています」
日本製鉄釜石シーウェイブス
日本製鉄釜石シーウェイブス
須田康夫ヘッドコーチ
「素晴らしい環境の中、素晴らしいゲームができて非常に光栄だと思っております。ゲームは終始、浦安DRさんのブレイクダウンのところでのプレッシャーに対して、われわれがゲームをうまく進められなかったことに尽きると思っています。そのプレッシャーの中でも選手たちは最後までファイティングポーズをとって戦い続けてくれたと思いますし、われわれとしてはすごく教訓になったゲームだと感じています。これをしっかりと次に生かして前に進んでいきたいと思いました。そういったゲームだったと思います」
──第3節での対戦に比べて、今節は大差がついてしまいました。その原因をどのように考えていますか?
「一番はブレイクダウンの精度に尽きるかなと思います。浦安DRさんもそこに懸けてきている中でわれわれは受けてしまっただけだと思います。本来、挑戦者であるわれわれがそこをきっちりとやらないといけなかったんですけど、浦安DRさんの芯のとおったプレーがこの結果になったのかなと思います。前回対戦では浦安DRさんのプレッシャーに対してわれわれができた部分があったと思いますけど、正直なところ実力差は感じています」
──前回対戦時と比べて、浦安DRが強くなっていたのか、釜石SWの調子が悪かったのか、どのように感じていますか?
「両方だと思います。浦安DRさんをしっかりと分析させてもらった中で、日に日に、毎週、毎週、レベルが上がっているチームだと思いますし、レベルアップを感じています。その中でわれわれはけが人の状況やベストなメンバーが組めないときもありますけど、差が少し出てしまったと感じています」
日本製鉄釜石シーウェイブス
サム・ヘンウッド バイスキャプテン
「まずは浦安DRさんにとって素晴らしい試合だったと言うしかありません。それが第一ですね。倒すのは大変なゲームだったと感じました。だからといって、言い訳することはできなくて、私たちのプレーは良くないところが多かったと思いますし、普段よりも良いプレーをできなかったと感じています。チームにはいろいろな日があって、どうもうまくいかない日もあると思いますけど。今日はそういう日だったと思います。とにかくやられ続けた印象ですね」