2024.02.23NTTリーグワン2023-24 第7節 中国RR vs SA広島-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン3 第7節
2024年2月25日()14:00 Balcom BMW Stadium (広島県)
中国電力レッドレグリオンズ vs マツダスカイアクティブズ広島

中国電力レッドレグリオンズ(D3)

プライドを懸けた広島ダービー
森田政彰が胸に抱く責任と覚悟

「いまは出場できているけど、全然あぐらをかいていられない」という中国電力レッドレグリオンズの森田政彰選手、今季はバックスのポジション争いが激しい

中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)は2月25日にライバルのマツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)とのホストゲームに臨む。今節は今シーズン2戦目の広島ダービー。1戦目で僅差の逆転勝利を収めた中国RRがダービー連勝を狙う。

試合の前日、メンバー入りした選手たちはヘッドコーチからジャージーをそれぞれ手渡される。

「ファーストジャージーは大切なもの。高校のときに『本当に大切なものを着ているんだぞ』と監督に教わったので。そのときから大切に扱うことを守っているし、プレッシャーを感じながら責任と役割を理解して着ています」

森田政彰はジャージーの重みを知っている。試合のメンバーに選ばれたからこその責任と、ラグビーを引退した人や試合に出られない人たちの思いもジャージーに乗せてグラウンドに立つ。

32歳の森田は大きなけがなくこれまでのキャリアを過ごしてきたが、負傷でラグビーを辞めていく選手たちの姿も見てきた。兄が脳震とうの影響で20代のうちに引退。中国RRのチームメートだった幼馴染の岡本大輔はずっと負傷に悩まされ、リーグワンの舞台に立てないまま、昨季限りでスパイクを脱いだ。

「僕の周りは自分で終わりを決めるというよりけがで引退している人が多くて、そういう人たちのぶんも頑張りたいと思っている。自分はけがが少なくて手術もしたことないので、できる限り長くプレーを続けていきたい」

さらに、今季はバックスのポジション争いが激しくなった。森田も開幕2試合で新人の東将吾にセンターのスタメンを譲ったが、前々節の広島ダービーで先発に復帰して勝利に貢献。それ以降はレギュラーの座をつかんでいる。

「いまは出場できているけど、全然あぐらをかいていられない。常にいいパフォーマンスを出さないと、すぐにレギュラーから落ちてしまうという危機感を持ちながらやっている」

チームは勝利という同じ目標に向かって切磋琢磨しているが、その中から試合のメンバーに入れるのはスタメン15人とベンチ8人の23人に限られる。これまで中国RRは常に負傷者が多く、試合の戦力に余裕がなかったため、今季のような激しいポジション争いは森田も初めてだという。

だからこそ、「自分もジャージーを着られないときは落ち込むし、逆に着るからにはやってやろうと思う。メンバーに選ばれない選手もいるので、選ばれたら責任はしっかり果たさないといけない」とジャージーの重みをあらためて実感している。

広島ダービー2連勝を狙う今節も森田はスタメンに入った。試合前、戦う覚悟を決めてグラウンドに向かう。「ジャージーを着ると、やっぱり気持ちが入る。頑張らないといけないと思うし、身が引き締まります」。

森田だけではない。試合のメンバーはそれぞれの思いを胸にファーストジャージーを身にまとい、プライドを懸けた広島ダービーに挑む。

(湊昂大)

マツダスカイアクティブズ広島(D3)

「何が何でも勝つという気持ちで」
ダービーでの勝利を誓う鈴木伊織

マツダスカイアクティブズ広島の鈴木伊織選手。広島ダービーについては「やっぱりダービーはほかの相手との試合とは違う」「本当に何が何でも勝つという気持ちで戦っていきたいです」

今シーズン最初の広島ダービーは逆転負けを喫した。

1カ月前に行われた第5節の中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)戦を振り返って「メンタル面でネガティブな部分が出てしまった」と話す中居智昭ヘッドコーチは、「勝つためにしっかりと気持ちのところを準備してほしい」と選手たちに語りかけている。

気持ちが大事な一戦になることは選手たちもよく分かっている。鈴木伊織は試合終了間際の出場となった第5節を「前半はいい流れだったのに、後半は中国RRさんの『絶対に勝つ』という気持ちにかなり押されてしまっていた。そういう流れを変える強さが僕たちにはなかった」と感じていて、今節への意気込みを力強く語った。

「やっぱりダービーはほかの相手との試合とは違う。気持ちをお互いに前面に出して戦う試合になるし、今回は前回に悔しい負け方をしているので、本当に何が何でも勝つという気持ちで戦っていきたいです」

関東学院大学を卒業後にマツダスカイアクティブズ広島でプレーを続ける26歳の鈴木は、試合の日になると横浜から応援に駆け付けてくれる両親のサポートを励みにして充実した日々を過ごし、立場が若手から中堅へと変化していく今を楽しんでいる。

「このチームのフォワードは本当にアットホームな雰囲気で仲が良いんです。いい意味で上下関係がなくすごく意見も言いやすい。そういう中でこれまでは先輩に付いていって元気よくプレーしていれば良かったんですけど、自分より若い選手も増えてきたんで若い選手に良い影響を与えられるような存在にもなっていきたい」

また、風通しのいいフォワード陣に加わった新しい仲間、ジャクソン・ピューがダービーを一層盛り上げてくれるに違いない。

新加入のジャクソン・ピュー選手

中居ヘッドコーチが「ものすごく足も速いし、身長が高いけど外でもプレーできる。アタックでもディフェンスでもかなりキーになってくるし、(エドワード・)カークとしっかりやり合ってほしい」と期待を寄せるジャクソン・ピューは、「みんなが自分を受け入れてくれて、すごくフレンドリーな関係を築けている。一緒に試合ができるのがすごく楽しみだ」と、リーグワンデビューを心待ちにしている。

(寺田弘幸)


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