NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(交流戦)第8節
2024年3月2日(土)14:05 秩父宮ラグビー場 (東京都)
東京サントリーサンゴリアス vs リコーブラックラムズ東京
東京サントリーサンゴリアス(D1 カンファレンスA)
前節に節目の50キャップを達成!
江見翔太、波乱万丈のラグビー人生はまだ続く
前節、埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)との大一番を落としてしまった東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)。仕切り直しの第8節はリコーブラックラムズ東京を秩父宮ラグビー場に迎えてのホストゲームだ。
ここから連戦が続き、まさにチームの総合力が問われるリーグ中盤戦。そんな中、ひときわ元気な32歳がいる。埼玉WK戦で節目のチーム通算50キャップを達成した江見翔太だ。
「THE CROSS-BORDER RUGBY 2024」のブルーズ戦はフル出場。埼玉WK戦では切れ味鋭い突破を何度も見せてファンを沸かせた。また、本来はウイングが主戦場だが、試合展開によってはセンターで出場するなど、チーム戦略の幅を広げる役目も果たしている。
「32歳ですけど、調子はこれまでで一番いいですね。ウチのウイングには才能豊かな選手がそろっているだけに、何か持ち味を出さなきゃいけない。スピードでは若い選手に敵わなくても、フィジカルの強さでは絶対に負けないように心掛けています」
そんな江見のラグビー人生は波瀾万丈そのもの。リーグワンでは唯一の学習院大学出身で、大学時代には7人制日本代表でもプレー。サントリーサンゴリアス(当時)に入団後、トップリーグ時代の2015-2016シーズンには最多トライゲッターのタイトルを獲得し、2017年にはスーパーラグビー・サンウルブズでもプレーした。
これだけ実績のある32歳ならば、もっと早く50キャップに到達していてもおかしくない。本人も「10年目で50(キャップ)は遅いほう」と語るように、到達が遅れたのはトップリーグ最終年(21年)のプレーオフトーナメント決勝戦で、左膝の前十字靭帯を断裂する大けがを負ってしまったからだ。
リハビリのため、リーグワン元年は全休。2季目も出場はわずか1試合。社員選手である江見にとって「引退」の二文字が浮かんでもおかしくない。それでも腐ることなくトレーニングを続け、万全の状態で迎えた今季、再びチームに欠かせない存在に。その原動力は「サンゴリアスに恩返しがしたい」という思いだ。
「決して強豪ではない学習院大学出身の自分がいまもこうしてプレーできているのは、サンゴリアスのおかげです。同期入団は早稲田大学で主将だった垣永真之介、帝京大学で主将だった中村亮土。超名門出身の二人と比べれば、『江見、誰それ?』というレベルだったはず。そんな状況からサンゴリアスに成長させてもらいましたし、ラグビー選手としても人としても学びの大きい場所です。その感謝の気持ちは、グラウンドで表現しないといけませんから」
感謝の気持ちで臨む51キャップ目。「えみちゃん」の愛称で親しまれる男のプレーは、見るものを笑顔にさせるはずだ。
(オグマナオト)
リコーブラックラムズ東京(D1 カンファレンスB)
福岡合宿で授かった金言を胸に。チームのためなら
変わることを恐れない男が勝利へのトライを決める
リコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)は3月2日、秩父宮ラグビー場で東京サントリーサンゴリアスと相対する。
第2期エディー・ジョーンズ体制となり初めて行われた「男子15人制トレーニングスコッド福岡合宿」に、BR東京から合計4名が選出された。そのうちの一人が、フィジー出身の快足ウイング、ネタニ・ヴァカヤリアだ。
「とてもうれしかったです。僕の夢でした。インターナショナルレベルで戦えるチャンスをもらえることに、感謝しています」
多くの学びを得た、福岡合宿。日本代表キャップ数84を誇るリーチ マイケルからは「全部100%。毎日に意味がある。大事な1日だからこそ、100%で取り組みなさい」との助言を受けた。
またBR東京でのチームメート、アマト・ファカタヴァとは福岡合宿でルームメートになった。「身近な先輩」からも、同様の言葉を掛けられた。
「まだまだ学び途中の僕にとって、そういった高いレベルの選手たちと一緒にプレーすること自体が自信につながりました」
エディー・ジョーンズ ヘッドコーチから課された宿題がある。それはボールキャリーでハードワークすること。そのためにも、フットワークや強いブレイクダウンを可能とする練習に取り組むこと。
チームに戻ったネタニ・ヴァカヤリアは、個人練習でハンドリング練習に打ち込む。「ノックオンしてしまうことがあるので、ハンドリングを強化したい。ハイボールもしっかりキャッチできる練習をしたい」。
強いボールキャリーには、確実なボールキャッチがマスト。基礎の基礎を固めるところから、日本代表入りへ向けたスタートを切った。
この先、どんな未来が待ち受けるかは分からない。だからこそいまのチームが自分に求めることをすべてクリアして、チームを助けるプレーヤーになりたい。自らのルーティンを変えることがチームの助けになるならば、そのことだっていとわない。
「ここ2試合は、エッジで待っていても自分のところにボールが回ってこない時間帯もありました。だからいまは、自分からボールを探しに行くトレーニングをしています」
自分は、BR東京のトライゲッター。必ずや、チームを助けるトライを決める。
「きっと、そういうタイミングはやってくると思います」
(原田友莉子)