NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2 第7節
2024年3月2日(土)14:30 東平尾公園博多の森陸上競技場 (福岡県)
九州電力キューデンヴォルテクス vs 豊田自動織機シャトルズ愛知

九州電力キューデンヴォルテクス(D2)

兄と同じ舞台に立つために。
シオネ・リクアタが心血を注ぐ理由

新加入ながらここまでリーグ戦全試合出場、九州電力キューデンヴォルテクスのシオネ・リクアタ
選手。クボタスピアーズ船橋・東京ベイのテアウパ シオネ選手は兄

今季2勝目を目指す九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)は3月2日、東平尾公園博多の森陸上競技場にて2位につける豊田自動織機シャトルズ愛知と対戦。キックオフは14時半だ。

今季新加入でここまでリーグ戦全試合に出場するのがシオネ・リクアタだ。トンガ出身でトンガU18代表の経験もある彼が日本にやってきた背景には兄の存在があった。その兄というのが現在、クボタスピアーズ船橋・東京ベイでプレーするテアウパ シオネだ。流通経済大学でプレーしていたテアウパはあるとき、内山達二監督から「兄弟はいないのか?」と尋ねられた。そんな縁もあってシオネ・リクアタは来日し、兄と同じ流通経済大学へ通うことになった。プロのラグビー選手になりたいという夢は持っていたが、高校卒業のタイミングでは「あきらめかけていた」というシオネ・リクアタにとっては、兄の存在が与えてくれたチャンスだった。

流通経済大学での4年間が評価され、シオネ・リクアタは九州KVからのオファーを勝ち取り、夢だったプロのラグビー選手としての一歩を九州の地で踏み出すことになった。プロとして過ごす日々について「幸せ」と笑顔を見せるシオネ・リクアタ。九州KVのチーム環境は「外国籍選手も多く在籍していますし、彼らもさまざまなチームでのプレーを経験しています。彼らから学べることは多いですし、楽しみながらやれています」と成長をうながしてくれているようだ。

チームは勝利まであと一歩という試合が多く、5位という状況にある。シオネ・リクアタも終盤戦に向けて、「まずは自分のできることを全力でやりたいという気持ち。ディビジョン1にいくことが目標ですが、それがかなわなくてもディビジョン2に残れるように自分のすべてを捧げていきたいです」と意気込みを語る。

兄であるテアウパと「いつか対戦してみたいし、一緒にプレーもしてみたい」と、プロになったことで新たな夢も生まれた。兄がプレーするD1の舞台に立つために。シオネ・リクアタはチームのために全力を注ぐ。

(杉山文宣)

豊田自動織機シャトルズ愛知(D2)

新風を追い風に変えて。
いま始まる勝負の1カ月

豊田自動織機シャトルズ愛知の山口知貴選手。「試合間隔が3週間空いたが、チームとして落ち着いてしまわないように、高みを目指して準備をしてきた」

豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)にとって、勝負の1カ月となる。そんな3月最初の試合は福岡県の東平尾公園博多の森陸上競技場に乗り込み、九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)と対戦する。

3週間前に行われた前節、レッドハリケーンズ大阪戦は苦しみながらも逆転勝利を収め、今季5勝目を挙げた。順位表に目を向けると、浦安D-RocksとNECグリーンロケッツ東葛と勝敗数は同じ。勝ち点では差がありS愛知は2位につけるものの、この3チームが“がっぷり四つ”に組み合っている。これらのチームとの直接対決を制するためにも、今節でどれほどのラグビーを表現できるかはとても重要だ。

「フラストレーションのたまる試合展開だった」と前節を総括した徳野洋一ヘッドコーチ。「簡単な決断が多過ぎた」と、チャンス時のパス選択やフィジカルバトルのところで妥協があったことを悔やむ。九州KVには前回対戦で52対19と完勝しているだけに、前節のような心持ちで試合に臨むのは禁物。今節、今季初先発の山口知貴が「試合間隔が3週間空いたが、チームとして落ち着いてしまわないように、高みを目指して準備をしてきた」と語るように、慢心は一切ない。試合開始からフルスロットルで臨みたい。

今節出場予定の選手には、山口をはじめとして、けがからの復帰戦となるティアン・トーマスウィーラーや初のメンバー入りをつかんだアピサロメ・ボギドラウなど、チームに新しい風を吹かせることができる選手がそろう。徳野ヘッドコーチは「彼らが良い準備をしてきたからチャンスを与えた。試合に出ないバックアップメンバーにも、変化を加えている」と勝負の3月に向けてさらなる競争を促す。

ここまで勝ち星を積み上げてきたのも、準備段階で生まれている「良い競争」を白星に変えてきたから。この流れを継続し、選手全員が各々の役割を全うすることで、ディビジョン2の頂が見えてくる。

(齋藤弦)

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