2024.03.01NTTリーグワン2023-24 第8節 神戸S vs トヨタV-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(交流戦)第8節
2024年3月3日(日)14:30 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)
コベルコ神戸スティーラーズ vs トヨタヴェルブリッツ

コベルコ神戸スティーラーズ(D1 カンファレンスA)

勝利のために振るう超速のタクト。
それは、対峙するアーロン・スミスにも劣らず

コベルコ神戸スティーラーズの日和佐篤選手。相手の同ポジション、アーロン・スミス選手とは初対戦となる

2連勝と波に乗ってきた6位・コベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)の今節は、東大阪市花園ラグビー場にトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)を迎えるホストゲーム。キックオフは3月3日午後2時30分。勝ち点で並ぶ目先のライバルを打ち破り、上位追走の勢いを加速させたい。

前節はリコーブラックラムズ東京と対戦した神戸S。「クロスボーダーラグビー2024」による中断期間明けの大事な初戦を勝利で飾ったが、その立役者の一人は日和佐篤だった。今季初先発だった36歳のスクラムハーフは、持ち前の素早いパス供給を武器に、チームに確かな勢いをもたらした。

その彼の1歳年下にあたるのが今節の相手・トヨタVのスクラムハーフ、アーロン・スミス。日和佐は自身初対戦となるニュージーランド代表で125キャップを誇る世界的プレーヤーをこう評した。

「イヤなことをしてくる感じですね。自分でもしかけてきますし、スキあらばキックもしてきますし、もちろんパスは上手ですし、ディフェンスもすごくガツガツ行きますし。負けず嫌いな選手なんだろうなというのは感じますね」

そう語ったトヨタVの9番の特徴は、そのまま日和佐の特徴でもある。

「僕も相手がイヤなことをやりたいと思ってプレーしています」

アーロン・スミスを知ったのはニュージーランド代表に入った2012年ころという。当時といま、違いを感じるか問うと「変わってないんじゃないですか。普通なら歳をとるともうちょっと丸くなると思いますけど、丸くなっている感じもしないし、いい意味でね。変わってないかな」とその印象を語り、そのまま日和佐本人にも投げかけると「僕はもうつるつるのまんまるです(笑)」とすっとぼけ。柔和な笑みを湛えたが、漂ったのはキャリアが裏打ちする勝負師の気配だ。

日和佐がスクラムハーフを本格的に始めたのは報徳学園高校1年のころ。同校の先輩で現在、東京サントリーサンゴリアスの監督を務める田中澄憲氏に憧れた。

「最初は真似するところから始めましたけど……。気づけばこの歳に(笑)」。

当時からずっと意識し続けているのは日和佐の代名詞とも呼べる“テンポ”。世界的プレーヤーにも負けない自負がある。

「そこは僕のほうが速いと思っているので、頑張っていきたいと思っていますね」

神戸Sが誇る百戦錬磨のスクラムハーフ、そのマインドは変わらない。今節も、チームの勝利へ超速のタクトを振る。

(小野慶太)

トヨタヴェルブリッツ(D1 カンファレンスB)

日本で抱いた大きな夢。古巣戦に臨む男の覚悟

日本代表が目標の一つ。トヨタヴェルブリッツのチャーリー・ローレンス選手は先月の男子15人制トレーニングスコッド福岡合宿に呼ばれた

きれいに勝ち負けが交互に並んでいるトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)。今節は初の連勝をかけて、勝ち点で並ぶコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)とのサバイバルマッチに臨む。

トヨタVは前節の勝利で順位を5位に上げた。今月は現在6位の神戸Sを皮切りに、4位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ、3位の東京サントリーサンゴリアスと、順位の近いチームとの連戦が待ち構えている。プレーオフトーナメント進出のためには絶対に負けられない、運命を決める3月だ。

先週は試合がなく、選手たちはリフレッシュして神戸Sとの決戦に備えた。今節、背番号12を託されたチャーリー・ローレンスも「スコットランドから友人が来ていたので東京を案内した。非常に充実した休養期間になった」と、コンディションもメンタルもしっかりと整えられたようだ。

香港で生まれたチャーリー・ローレンスは、プロラグビー選手を目指してニュージーランドに居を移した。高校卒業時にプロチームと契約することはできなかったが、翌年、名指導者として世界的に名高いウェイン・スミス(当時・神戸製鋼コベルコスティーラーズ総監督)に「来ないか」と誘われたことで、海を越えて遠い日本に来ることを決断。チャーリー・ローレンスにとって神戸Sは、プロになる夢を叶えさせてくれた思い出深いチームである。

「神戸Sでは勝つために何が求められるのか、アスリートとしてどうあるべきか、そういった姿勢を学びました。それはトヨタVでも同じで、同じような学びをアーロン・スミスやボーデン・バレットからも受けています。日本という国に来ても、彼らはひたむきにハードワークしている。そういう姿勢から多くを学んでいます」

日本で多くの経験を積み、指導者や仲間にも恵まれたチャーリー・ローレンスは、先月に福岡のJAPAN BASEで行われた男子15人制トレーニングスコッド福岡合宿に招集された。それは彼にとってもう一つの夢のスタートでもあった。

「神戸Sに入ったときに、日本代表になることが自分自身の目標の一つになっていました。それから5年が経ち、ある意味、夢を達成することができたと言えるのかもしれませんが、究極の夢はラグビーワールドカップでプレーして優勝すること。もちろん日本代表で優勝したいです」

海外に飛び出し、努力を重ねてつかんだ夢をさらに大きなものにするためにも、所属するクラブを上位に導くプレーをすることは重要だ。チャーリー・ローレンスは強い覚悟でこの一戦に臨む。

(斎藤孝一)

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