無念の開催中止も
降雪のピッチに結集した“ラグビー愛”
岩手県の釜石鵜住居復興スタジアムで行われる予定だった第7節、日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)とNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)の試合は、降雪によるグラウンドのコンディション不良のため中止となった。それでも、早朝から中止決定直前まで、ボランティアスタッフや両チームのサポーター、そしてノンメンバーらが雪かきを行った。チームの垣根を越えて、試合に出場する選手たちのために結束する、多くの人の「熱く」「温かい」思いでピッチは包まれた。
ここ数日、釜石市では20cm近い雪が降り積もった。釜石SWも体育館や、積雪がない陸前高田市のグラウンドにバスで1時間ほどかけて向かい練習を行うなど、連日、雪国ならではの厳しさに直面していた。試合会場のピッチも雪がガチガチに凍りついている状況。試合開催を願ったチームのSNSでの呼びかけにより、試合当日の朝7時から、最終的には200人ほどが集まり、グラウンドの雪かき作業を行った。釜石SWを長年応援してきた地元サポーターの中には、朝5時から雪かきをしていた男性もいた。「今季の釜石SWは自分が見てきた中で過去最高に強いと感じているが、リーグワンのレベルがかなり高くて勝利できないのがもどかしい。とにかく選手たちにもっと強くなってもらうには、試合を積み重ねてもらうことが大事だと思った」と話し、試合中の拍手や声援にとどまらない熱烈な後押しでチームを鼓舞した。
結局、試合開催には至らなかったが、ピッチ全面が真っ白に覆われていた景色から一変、午前11時には芝生が見える状態まで改善された。釜石SWの小野航大キャプテンは「たくさんの人たちが力を結集させて協力してくれたことに感謝しかないです」と話し、GR東葛の瀧澤直選手も、「ものすごく寒い中、開催に向けて尽力してくれたみなさんに感謝し切れません」と、試合会場に足を運んでくれたファンとの写真撮影に丁寧に応じるなどして感謝の思いを伝えた。
多くの人のラグビー愛やチームを思う温かい気持ちが見られたぶん、今後の両チームの躍進に期待したい。
(佐々木成美)