2024.12.30NTTリーグワン2024-25 D2 第2節レポート(釜石SW 17-59 GR東葛)

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第2節
2024年12月28日(土)13:00 釜石鵜住居復興スタジアム (岩手県)
日本製鉄釜石シーウェイブス 17-59 NECグリーンロケッツ東葛

今季初勝利は会心の一戦。GR東葛が取り戻したパッション

NECグリーンロケッツ東葛に新加入の髙井良成選手

日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)、NECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)。ともに黒星スタートとなったチーム同士の対戦だったが、自分たちのスタイルを示し続けたのはビジターチームだった。

GR東葛は前半6分に先制トライを奪うと、14点リードで折り返す。後半はさらに28得点を奪った一方、失点を許さなかった。9トライを挙げたGR東葛はボーナスポイントも含めた勝ち点5を獲得した。

「相手のフィジカルに対して受けてしまった」という村上陽平の反省の言葉が物語るとおり、接点でのアグレッシブなプレーで流れをモノにし、スコアを積み上げていったGR東葛。開幕戦の課題に「エナジーの不足」を挙げたウェイン・ピヴァック ヘッドコーチの下、チームは1週間、エナジーの原動力となるパッションにフォーカスして、釜石SW戦への準備を進めた。取り戻したパッションがエナジーを生み、GR東葛の特長でもあるフィジカリティーが前面に押し出される。相手を受けに回らせたことが今季初勝利をつかんだポイントでもあった。

このパッションの面では今季リーグデビューを飾った選手たちの押し上げも少なからず影響した。開幕戦では5人がファーストキャップを飾ったものの、敗戦の悔しさを噛みしめた。そして、今節は2人がファーストキャップを記録し、勝利の美酒を味わった。今節、先発メンバーとして初出場し、80分間を戦い抜いた髙井良成は「まだまだ足りないところも多いですが、ピッチに立てば若いかどうか、経験があるかどうかは関係ない。次こそチームに貢献する結果を残したい」と力強くコメントしたが、髙井以外の6人も、それぞれの思いを表出させているはずだ。若手のこういったハングリーな姿勢はチームにより強いパッションを発現させるトリガーであり、チーム力アップに大きな意味を持ってくる。

今節は若手を起用しながら、内容と結果も両立させたGR東葛。開幕戦では消化不良となったが、今節の戦いぶりは好調だったプレシーズンのいい感触を取り戻し、さらにジャンプアップさせていくような今後を予兆させる会心の一戦となった。

(髙橋拓磨)

日本製鉄釜石シーウェイブス

日本製鉄釜石シーウェイブスの須田康夫ヘッドコーチ(左)、村上陽平キャプテン

日本製鉄釜石シーウェイブス
須田康夫ヘッドコーチ

「開幕戦で敗れてから1週間準備してきましたが、前半、なかなか風上の優位性を生かせず、自分たちのリズムに乗っていけないところがありました。後半も風下の中でしっかりゲームコントロールできなかった部分が今日の敗因かなと思います。ただ、チョップタックルやファイトするところは、フィジカリティーなチームであるNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)さんを相手にしながらも十分にやれたとポジティブに捉えています。次はバイウィークを挟みますが、清水建設江東ブルーシャークス戦に向けて自分たちの成長にフォーカスしてトレーニングしていきたいと思います。本日はありがとうございました」

──開幕戦ではキックによる陣地獲得ができていたことで特に後半は相手陣内でプレーする時間を増やすことができていました。今日はそういった展開を作れませんでしたが、どういったところが影響していると感じていますか?

「ホストゲームなので、この風をうまく扱えないというのはわれわれとしては難しい部分ではあるのですが、上空(の風)が強過ぎてキックがオーバーしてしまったり、横風でコントロールできなかったりといったところが多かったと思っています。キックを主体にエリアを取るというのは狙いとしてあるのですが、それができないときにやるべきことを持っておかなければいけないのでそこが出せればもっと良かったかなと思います。もちろん、ペナルティが多かったこともキックでエリアを取れなかったことにつながっていると思っています」

──スクラムでもコラプシングを取られるなど、なかなか優位に持ち込めませんでした。このあたりはどう捉えていますか?

「スクラムで負けたら試合には勝てないという面もあると思うので、組み方も修正しないといけないと思っています」

日本製鉄釜石シーウェイブス
村上陽平キャプテン

「GR東葛さんがフィジカルの強さを自分たちに当ててくることは分かっていて、1週間準備してきました。タックルでしっかり入れた場面もありましたが、全体的に相手のフィジカルに対して引いてしまった、受けてしまったという印象が強くあります。そこでゲインラインを取られて不用意なペナルティが増えてしまって結果的にこういうスコアになってしまったと思います。そういうディシプリン(規律)のところを修正していかないと試合にならない。自分も今日、シンビンになってしまったのですが、率先してチームの規律を継続して高めていきたいと思っています」

──ペナルティが増えてしまった要因はどのようなことが考えられますか?

「多かったのがノットロールアウェイで、タックラーがブレイクダウンからすぐロールアウェイできていなかったことが多かったのですが、これは意識のところが大きいと思います。よく『RTA(Return To Action)』と言いますが、次のプレーへの意識が薄れていたところがあったと思います。それからディフェンスで受けてしまった部分があって、ゲインラインを下げられて相手はどんどんアタックしてくる。これに対してウチとしては下がり切れていなかったことでオフサイドラインを守れていなかったというところがペナルティを多く与えてしまった要因かなと思います」

NECグリーンロケッツ東葛

NECグリーンロケッツ東葛のウェイン・ピヴァック ヘッドコーチ(右)、ニック・フィップス キャプテン

NECグリーンロケッツ東葛
ウェイン・ピヴァック ヘッドコーチ

「いいスタートが切れなかった開幕戦を終えての今節は、非常に大事な試合になると分かっていました。まずは勝ち切ること、そしてボーナスポイントを取ることを目標にここに来ているので、達成できてうれしく思っています。そして後半の40分間、失点をゼロに抑えられたことも満足していまして、特に近代のラグビーでは無失点に抑えることが難しいこともあり、うれしく思っています。

今日の試合に関しては髙井良成とエドワード・アナンデールがファーストキャップということでデビューしました。彼らにこのレベルのプレーを経験させることができて良かったと思います。先週の開幕戦での(ファーストキャップを獲得した)5人に対しても同じ思いです。地元の釜石の皆さま、このピッチでプレーする環境を作ってくださったことに感謝します。非常に寒く、実際に試合が行われるのか心配していたところはあったのですが、入念に準備をしていただけてうれしく思います。昨季は延期がありまして、2回釜石に来ることになったので、そうならないように手配していただきありがとうございます」

──先週の開幕戦で敗れてから1週間、修正した部分や強化した部分はどういったところになりますか?

「1点目はパッションのところです。先週の試合ではレッドハリケーンズ大阪にそこで及ばず、ビジターゲームに臨む上でのエナジーが足りていなかったと思っています。そのエナジーやパッションはこちらでコントロールできるものなので、そこに取り組みました。今週に関してはそれを踏まえて、日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)よりもハードワークすること、それは個人としても集団としても成し遂げることをポイントにしてきました。それから勝つためにはフィジカルも必要なのでフィジカリティーを持ち込むということも話をしていました。また、シニアプレーヤーたちが、一つステップアップしてフィールドでリードしていくこともさらに良くならなければいけない部分だと思っていたのでそれについても話をしていましたが、今日は彼らがよくやってくれたと思っています」

──今日は80分間、コネクションを維持してアタック、ディフェンスに一体感が感じられました。どのような手ごたえを感じているか教えてください。

「80分間のプレー、特に後半の40分間、そして(トライを奪われそうだった)ラストプレーでディフェンスをやり切ることができたことに非常に満足しています。お互いのためにハードワークすることもできていましたし、オフフィールドでも仲の良いチームなので、そういったキャラクター性を見せられたのが今日の試合なんじゃないかと思います。プレシーズンの調子が良かった中、開幕戦がうまくいかなかったことがとても残念でしたが、それを今日はひっくり返せたので良かったと思います」

NECグリーンロケッツ東葛
ニック・フィップス キャプテン

「まずは釜石SWに感謝を述べたいと思います。非常に絆の強いチームだと思いますし、タフなラグビーを展開してくれました。先週の(敗戦という)残念な結果を受けての今週は選手のプロフェッショナリズムに感銘を受けていましたし、実際に試合で実力を発揮できたことはうれしく感じています。このディビジョンは非常にタフで、数%でもパフォーマンスが落ちると敗れてしまうこともあるリーグだと感じています。今日に関しては強度とプレーの意図、アタック、ディフェンス両面で満足しています。まだまだ完璧からは程遠いと思いますが、さらに良くなるように努力していきます」

──今節に臨むための準備で意識してきたことはどんなことですか?

「選手それぞれが、開幕戦ではビジターゲームに臨む準備ができていなかったと感じました。私からは『ホストでもビジターでも、ルーティンを作って臨まなければいけない』ということを話しました」

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