2024.03.15NTTリーグワン2023-24 第10節 BR東京 vs 静岡BR-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(交流戦)第10節
2024年3月16日(土)13:00 秩父宮ラグビー場 (東京都)
リコーブラックラムズ東京 vs 静岡ブルーレヴズ

リコーブラックラムズ東京(D1 カンファレンスB)

過酷な運命に打ち勝った強靭な精神力。
どんな苦境も乗り越えてみせる

リコーブラックラムズ東京の大山祥平選手。両足のアキレス腱を続けて断裂、2年に及ぶリハビリを経て今シーズンは全試合に出場し続けている

前節・三重ホンダヒート(以下、三重H)戦で2カ月ぶりの勝利を挙げ、勝ち点を11に伸ばしたリコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)。2連勝を目指す第10節・静岡ブルーレヴズ戦は、秩父宮ラグビー場でのホストゲーム。3月16日(土)に行われる。

フォワード第1列の選手として今季全試合に出場しているのは、ただ一人。右プロップの大山祥平だ。だが、ここに辿り着くまでに大きな試練を乗り越えてきた。

2022年、左のアキレス腱を断裂した。当時、三重Hに所属していた大山は、リハビリの期間中にBR東京へと移籍。およそ1年間のリハビリを経て復帰すると、今度は右のアキレス腱を断裂した。練習復帰当日のことだった。

「絶望でした」

言葉少なに当時の心境を語る。

ただでさえ、けが人として移籍をしてきた。ようやくBR東京での練習に参加できると喜んだその日に、どんな運命の悪戯か、再び故障者リスト入りとなってしまった。

「正直、僕の中では『ラグビーを辞めてしまおうか』と思うくらいの挫折でした」

その苦しさは筆舌に尽くし難いものがあっただろう。

だが、経験が物を言うポジションだと自らを奮い立たせる。

「慶應義塾大学の同期の中で、ディビジョン1でプレーを続けているのは自分だけ。みんな応援してくれていますし、せっかくラグビーができるのならばもう少し続けたい」と2年間にわたる長期リハビリにも耐えた。

2度目のアキレス腱断裂から復帰したのは2023年8月。BR東京での初めての練習試合出場は、9月23日。静岡BRとの一戦だった。

「『できないことはない』、という感触でした。コーチからも『復帰戦にしては良かった』と言ってもらえたことを覚えています」

そこからプレシーズンマッチをこなし、試合勘を戻しながら経験値を積むと、チームからの信頼を勝ち取った。

今節の相手は、BR東京で初めて対戦した相手の静岡BR。

「今季で一番重要と言っても過言ではないゲームです。こんなにフォワードが重要な試合もないと思います。スクラムで勝てたら明確に勝ちが見えてくるからこそ、責任を持って、自分たちのやるべきことをやり切りたいなと思います。いま、試合に出してもらえていることが幸せです」

たとえ試合中に苦しい時間が訪れようとも、リハビリに費やした2年間を思えば、いつだって何だって、必ずや乗り越えられる。

(原田友莉子)

静岡ブルーレヴズ(D1 カンファレンスA)

コントロールを覚えたパワフルマンが
必勝を期す一戦で攻守両面での貢献を果たす

静岡ブルーレヴズのマルジーン・イラウア選手。「アグレッシブになるときと冷静にプレーするときのスイッチの切り替えというのはすごく意識しています」

静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)は、3月16日に秩父宮ラグビー場でリコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)とのビジターゲームに挑む。

「いまはディフェンスがうまくいってないので、トライをたくさん取られています。その原因は自分自身にもあると思っているので、ディフェンスの面にもっとフォーカスして改善していかなければいけないと思っています」

2月のリーグ戦中断期間明けから3連敗中の静岡BR。それでも、中軸としてチームを支え続けているマルジーン・イラウアはこう語った。

彼自身は、今季の開幕から全試合に先発し、パワフルで推進力のある8番としてチームに欠かせない存在となっている。それでも、現状に満足するのではなく、さらに上を目指そうとする姿勢が変わることはない。

「フィジカルやボールキャリーのところでは自分の良さを出せていると思いますが、ディフェンスでもっとドミネートする(支配する、優位に立つ)ことやハードワークすることは、もっともっとやらないといけないと思っています」

昨季まではペナルティの多さが最大の課題だった。その点に関しても今季は「ペナルティが多いと試合に出られなくなるというのは、本人もしっかり理解してやってくれています。あのスピードとパワー。そして、彼にしかできないプレーもたくさんあるので。いなくなると困る選手です」(藤井雄一郎監督)と指揮官の信頼もつかんでいる。

マルジーン・イラウア本人も「アグレッシブになり過ぎてしまうと制御が利かなくなってペナルティにつながってしまう。アグレッシブになるときと冷静にプレーするときのスイッチの切り替えというのはすごく意識しています。そういう意味では、自分自身をコントロールできるようになってきたと思います」と精神面の成熟を実感している。

片言の日本語で「チョット成長しました。オトナになった」と笑顔をはじけさせる茶目っ気も、彼の大きな魅力だ。

チームとしても、一時の5位から9位に落ち、プレーオフトーナメント出場圏内よりも入替戦圏内のほうが近づいてきた。もちろん順位が一つ下(10位)のBR東京との対戦には、絶対に勝たなければならない。

そんな大事な一戦に向けて、どん欲に成長を続けるナンバーエイトが攻守両面での貢献を果たすことが、チーム全体にとっても大きな力となるはずだ。

(前島芳雄)

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