2024.03.18NTTリーグワン2023-24 D2 第8節レポート(S愛知 14-19 浦安DR)

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2 第8節
2024年3月17日(日)14:30 パロマ瑞穂ラグビー場 (愛知県)
豊田自動織機シャトルズ愛知 14-19 浦安D-Rocks

ケレビ兄弟の愛にあふれた初対決。
そして次は“3人”で

人生で初の兄弟対決。浦安D-Rocksのサム・ケレビ選手(左・弟)、豊田自動織機シャトルズ愛知のケレビ ジョシュア選手(右・兄)

「良いマッチアップだったね」。そう振り返ったのは浦安D-Rocks(以下、浦安DR)のサム・ケレビ。この日は、豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)に所属する1歳上の兄・ケレビ ジョシュアと、人生で初の兄弟対決だった。

試合としては、第4節の前回対戦同様、インテンシティの高い展開となった。前半は浦安DRが攻め込む時間が長かったが、S愛知も連動した守備で対抗し、ペナルティキックで差を縮めていく。後半はフレディー・バーンズのキックを軸にS愛知が逆転の空気を漂わせたが、「自分たちにフォーカスし、拮抗した試合の中でも冷静にプレーできました」(飯沼蓮)という浦安DRが押し切り、5点差で勝利した。

ノーサイドのあと、晴れやかな表情で会話を交わしたケレビ兄弟。試合前にはメッセージでやりとりをしていたと言い、「ラグビーの話は普段からほとんどしないです。試合前は家族の話をしていて、試合後は彼の家族と会いたいという話をしました」(サム・ケレビ)。

昨年に誕生した兄・ジョシュアのお子さんは、弟のサムが名付け親だという。同じくS愛知に所属する三男のジョネ・ケレビも含め、兄弟同士の絆は固い。また、S愛知には彼らの出身地であるフィジー出身の選手も多く在籍しており、試合後には彼らと長い間談笑していた。「日本とフィジーはカルチャーが似ているところがあって、そんな日本でフィジー人が多く活躍しているのはとてもうれしいことです」(サム・ケレビ)。

「今週ずっと楽しみにしていた」と語ったのは、惜しくも敗れた兄のジョシュア。「弟もアタックの持ち味を出してきた。勝ちたかったけど、良い試合ができて良かった」と続けた。

そして、3兄弟を育てた両親に向けても、二人は感謝の言葉を述べた。「両親はフィジーにいて、毎試合ハイライト動画を送っている。今日の試合は特に楽しんでくれると思う(笑)」と兄が笑えば、「今日の出来事を誇りに思う。今後、ジョネも試合に出て3兄弟がそろえば、家族はもっと喜んでくれると思う」と弟も孝心を忘れない。

次回の対戦は4月以降に行われる順位決定戦となる。3兄弟がそろう姿が見られるか、S愛知の長男と三男がリベンジを果たせるか、浦安DRの次男が意地を見せるか。いまから楽しみでならない。

(齋藤弦)


豊田自動織機シャトルズ愛知

豊田自動織機シャトルズ愛知の徳野洋一ヘッドコーチ(左)、ジェームズ・ガスケル共同キャプテン

豊田自動織機シャトルズ愛知
徳野洋一ヘッドコーチ

「本日はありがとうございました。試合前は少し雨が降ったので、また雷が鳴って今回も中断になるのでは…(※前回対戦が雷雨により中断。その後、後半途中で試合成立)というのはありましたが(笑)、なんとか80分間試合ができたことはうれしく思っていますし、たくさんのファンの方々にご来場いただいたという点につきましても、本当にうれしく思っております。ありがとうございます。また、浦安D-Rocks(以下、浦安DR)さんが勝ち点4を獲得したということにつきましては、『おめでとうございます』という言葉を送りたいと思っています。

試合を振り返って話すと、勝つことができなかったことは非常に残念に思っていますが、われわれとしては準備してきた部分、今季から強化してきた部分を十分に発揮できる場面はありました。また、市川(敬太)、小笠原(寛人)、岡本(泰斉)といったキャリアの少ない若い選手たちをこのビッグゲームに出場させたということについても、チームとしては非常に喜ばしいことだと思っています。本日はありがとうございました」

──得られた手ごたえについてお聞かせください。

「浦安DRさんは非常にいいキャラクターがそろっていて、よりフィジカルを押し出してくるチームだと受け止めています。そういった相手に対して、コリジョンの部分で互角以上に戦えたことは、われわれにとっては大きな変化だと思います。ただ、ゲームを振り返ると、やはり自分たちのミスとペナルティに首を絞められたと思います。大きなところに問題があるとは思っていないので、これを自分たちの学びとして、また来週に成長した強い姿を見せたいと思います」

──苦しんだ前節、前々節と比べて良くなったところはどこでしょうか?

「選手たちは自分たちがやるべき仕事を明確にして、1週間、リーダー陣を中心に準備してくれました。今日の試合も勝負どころでスコアできない非常に苦しい展開ではありましたが、前の2試合よりも選手の迷いのないプレーというのは見ていただけたのかなと思います」

豊田自動織機シャトルズ愛知
ジェームズ・ガスケル共同キャプテン

「選手たちが今日の試合でやるべきことをやろうとした姿勢や、インテンシティーのところに関しては、本当に誇りに思います。今日はホストゲームで勝てなかったこと、勝ち点1にとどまったことはとても残念です。素晴らしいゲームの中で、ラインアウトからチャンスを逃してしまったり、22mラインの内側に入ったところでターンオーバーをされてしまったことは残念でしたが、とてもたくさんのポジティブなところもあったかなと感じているので、このいいところをしっかりとまた来週の試合に生かしていきたいなと思っております」

──セットピースの攻防を振り返っていただけますか。

「プレッシャーは受けていたと思いますが、自分たちも浦安DRさんに対してプレッシャーを掛けられたのかなと感じています。例えば、モールで2、3回危ないシーンがありましたが、そこもしっかりと防ぎ切れていました。ただ、自分たちのラインアウトでマイボールにできなかったところなどは、課題として修正して、今後につなげていく必要があるのかなと思います」

──次節や順位決定戦での再戦に向けて一言お願いします。

「結果に関しては誠に残念でしたが、『この気持ちを忘れないようにしよう』、『ポジティブに受け入れられる良いところもたくさんあったので、しっかり次につなげよう』という話をチーム内でしました。そして、『次節・NECグリーンロケッツ東葛戦はとても重要な試合になる』ということ、『まずはリカバリーをしっかりして、週末の試合に勝って、(レギュラーシーズンをよりいい順位で終えることで)順位決定戦をホストスタジアムでやれるように、来週を良い1週間にしよう』ということを話しました」

浦安D-Rocks

浦安D-Rocksのヨハン・アッカーマン ヘッドコーチ(右)、飯沼蓮キャプテン

浦安D-Rocks
ヨハン・アッカーマン ヘッドコーチ

「本日はお越しいただきありがとうございます。まずは勝利したということに誇りを持っていますし、豊田自動織機シャトルズ愛知さんもすごく良いプレーをしていたので、試合は拮抗していましたが、その中でも選手たちが冷静にプレーして勝てたことを評価したいと思います。試合内容に関してですが、規律の乱れから自陣にクギ付けにされることが多かったです。しかし、その中でも冷静に、大事な瞬間は良いプレーをすることができたので、勝利を収めることができたと思います。もちろん改善点もたくさんあります。例えば、チャンスの場面で決め切れていないところなどは、しっかり改善して、この先の準備につなげていきたいと思います」

──セットピースで優位を作る場面が多くありました。

「もちろん引き続き改善していくところはありますが、今日のフォワード陣の働きにはとても満足しています。スクラムのところでうまく攻めることができたと思いますし、ラインアウトのところも、全体的にはうまくいっていたと思います。もう少しスクラムのところで押せた場面だとか、ラインアウトのミスなどももちろんあったのですが、全体的には圧倒することができていたと思います。特に、ハーフタイムでプランに変更を加えたところで、そこで遂行力を下げることなく実行してくれたところにとても満足しています。これから先も、今日見つけた改善点を引き続き練習していきたいです」

浦安D-Rocks
飯沼蓮キャプテン

「今日はありがとうございました。前半は良い形で入れましたが、その後は自分たちのペナルティで相手に詰め寄られました。もちろん、自分たちにはたくさんのチャンスがありましたが、そこで決め切れなかったので、敵陣に入ったら攻め切って、得点を取って帰るということをしていかないと、競ったゲームを制することができないと思います。そこが一番の課題です。それでも、冷静に自分たちのやるべきことにフォーカスして、相手に影響されずにプレーしたところは良かったと思います」

──今後の再戦に向けて一言お願いします。

「先ほども言ったように、敵陣に入ったところでしっかり仕留め切るところは課題としています。でも、別に自分たちがそれに向けて大きく変わることはないので、あとは当たり前のところにフォーカスして、精度を高めていきたいです」

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