2024.03.21NTTリーグワン2023-24 第11節 静岡BR vs トヨタV-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(交流戦)第11節
2024年3月23日(土)14:00 エコパスタジアム (静岡県)
静岡ブルーレヴズ vs トヨタヴェルブリッツ

静岡ブルーレヴズ(D1 カンファレンスA)

未勝利が続く宿敵との一戦。
悔しさを知る男たちが勝利へけん引する

「ホストゲームですし、リーグワンでトヨタVには勝てていないので、しっかりと結果で見せたいと思います」と語る静岡ブルーレヴズの大戸裕矢選手(中央)

前節でようやく連敗を3で止めた静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)。プレーオフトーナメント出場争いに食い込んでいくためにも何としても連勝が欲しい今節は、今季初のエコパスタジアム開催で宿敵トヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)を迎える。

トヨタVとの対戦では接戦になることが多いが、なぜか勝ち切ることができず、リーグワンでの対戦は4戦全敗(うち一つは不戦敗)。昨季は開幕戦(5点差)と最終節(10点差)で敗れて非常に悔しい思いをしている。過去3試合すべてに先発している大戸裕矢は、トヨタVとの戦いについて次のように語る。

「毎回フィジカルなゲームになりますし、お互いセットピースに自信を持っているので、フォワード同士のやり合いが激しくなりますね。特にトヨタVの4番から8番は大きくてパワフルな選手が多いので、それに対してタックルは一発でしっかり止めてゲインラインをとらせないことがポイントになると思います。そうして相手を下げることができれば、こちらのペースになると思いますし、良いディフェンスをして相手を勢いに乗せないことが、戦う上で毎回大事です」

また藤井雄一郎監督は「(トヨタVは)ディフェンスに回ると盤石ではないと思うので、どれだけこちらがアタックし続けられるかも大事」だと言う。相手の高さやパワーに対抗するには、攻守両面でイニシアチブを取り続けることが重要になると考えている。

もちろん、そのためには気持ちで負けないことも重要だ。当日は雨が予想されており、ピッチコンディションなども含めて、より難しい戦いになる可能性もある。

「雨の中で自分たちがディフェンスに回る時間もあると思いますし、そこでどれだけ粘り強くできるか。自分もタックルの強さやその回数を意識して、走り回って相手のチャンスの芽を潰していきたいですね。ホストゲームですし、リーグワンでトヨタVには勝てていないので、しっかりと結果で見せたいと思います」(大戸)

雨中でのフィジカル勝負は静岡BRにとって相当タフな戦いになるだろうが、そこは大戸を始めとしたトヨタV戦の悔しさを知る選手たちが力強く引っ張っていくだろう。今後に向けても非常に重要なこの一戦に懸ける思いの強さでは、決して負けることはないはずだ。

(前島芳雄)

トヨタヴェルブリッツ(D1 カンファレンスB)

一戦必勝の状況に必要なニューヒーロー。
名乗りを上げるは気鋭のウイング

オフにニュージーランド留学を経験し自信をつけたというトヨタヴェルブリッツの和田悠一郎選手

前節、大逆転負けを喫したがプレーオフトーナメント進出の望みはつながっている。だが、もう一つも落とせない。レギュラーシーズンの残り6戦、6連勝するという勢いとパワーが必要だ。

今季のトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)は、ニュージーランド代表として120を超えるキャップを持つ二人、アーロン・スミスとボーデン・バレットというベテラン勢に注目が集まりがちだが、チームに勢いを与えるニューパワーも台頭している。その一人が2022年から在籍する和田悠一郎。スピードがありハイボールに強いウイングで、今季の第7節・三重ホンダヒート戦でジャパンラグビー リーグワン初出場を果たすと、第9節・クボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦で初先発。前節もスターティングメンバーに名を連ねた。

和田が飛躍できた要因の一つに、昨年のオフシーズンに行ったニュージーランド留学がある。和田はグリーン・アイランドRFCに所属し、およそ2カ月間で地域のトーナメント7試合に出場した。

「これまでは、目の前に外国籍選手がいるとプレッシャーに感じるところもあったんですが、ニュージーランドに行ったら、周りの全員が外国人なので、『そんな言い訳は言っていられないな』と。接点の強さや、タックルの激しさも経験できましたし、それがいまに生きていると思います」

ニュージーランドでは強豪に競り勝つこともできたという和田。その成功体験が自信になり、層の厚いトヨタVの先発を務めることにつながった。

ただ、まだまだ課題もある。その一つがタックルだ。ウイングがタックルで失敗をすればたちまち失点のピンチに陥る。初先発した試合の直前には、自主練習で姫野和樹を相手に何度もタックルを繰り出したが、ほとんどというよりもすべての1対1で姫野に振り切られていた。

「あれはですね、姫野さんの自信を失わせてはいけないので、やられてあげました」と、和田は苦笑い。記者を相手に冗談を飛ばせるくらいに余裕も出てきた。

「ウイングなのでやっぱりトライが欲しいと思いますし、チームメートからも要求されています。チームが勝つことを優先に考えながら自分もトライを取りたい」と、次戦の目標を語る和田。ニューヒーローの出現がプレーオフトーナメント進出を目指すトヨタVのエネルギーになるはずだ。

(斎藤孝一)


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