2024.03.23NTTリーグワン2023-24 第11節 神戸S vs 花園L-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(交流戦)第11節
2024年3月24日(日)14:30 神戸総合運動公園ユニバー記念競技場 (兵庫県)
コベルコ神戸スティーラーズ vs 花園近鉄ライナーズ

コベルコ神戸スティーラーズ(D1 カンファレンスA)

お互いのために──。今季初先発のオールラウンダーが、華麗さとハードワークで魅せる

久しぶりの先発出場となるコベルコ神戸スティーラーズのラファエレ ティモシー選手

神戸総合運動公園ユニバー記念競技場を舞台にしたホストゲーム3連戦を戦っているコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)。その2戦目となる今節は、花園近鉄ライナーズを迎える。前節は首位を走る埼玉パナソニックワイルドナイツに苦杯を喫したが、プレーオフトーナメント出場権の獲得へ向けて上昇モードに陰りはない。キックオフは3月24日14時30分。激闘必至の“関西ダービー”を制し、神戸Sはなお高く飛ぶ。

「いいチャンスですね。ひさしぶりなので、とにかく自分がやるべきことをしっかりやりたい」

そう語ったのは今節、12番でスターティングメンバーに入ったラファエレ ティモシー。今季ここまで7試合に出場してきたが、先発出場は昨季第14節以来となる。ただ、今季初先発にも、そのメンタリティーは落ち着いている。

「しっかりとフィールドでコミュニケーションを取りたい。アタックになったら、しっかりと周りともしゃべって、10番の手伝いをしたい」

彼の持ち味はまさにそのコミュニケーションワーク。司令塔と呼ばれる10番同様に12番は的確なアタックを選択するスキルが求められる。パス、キック、そして、ラン。オールラウンドに仕事をこなせる32歳の卓越したセンスは、チームにとって不可欠の武器となる。

さらに、タックルを受けながら味方にボールをつなぐオフロードパスも代名詞。華麗だが、激しい当たりにも動じず、アタックを継続させる、ハードワークが凝縮したような瞬間。ラグビーワールドカップ2019日本大会で印象づけた彼の姿はいまなお鮮明だ。ラファエレという選手を表現するのにこれ以上最適なプレーはないかもしれない。

今季の神戸Sは持ち前の攻撃力に加え、ディフェンス面の粘り強さも出せている。その理由を12番はこう捉えた。

「お互いのためにディフェンスをしっかりとすること。お互いのためにハードワークできているからこそだと思っています。タックルをして、次の人たちが困らないようにまたラインに戻る。お互いのハードワークの賜物だと思います」

お互いのために──。

彼の言葉から浮かんだのは、約4年前の歓喜であり、その根底にあった『ONE TEAM』という不屈の精神。華麗さとハードワークの両輪を転がすラファエレは今節、味方との共闘に全力を尽くす。その先には必ず、ファンの最高の笑顔が待っている。

(小野慶太)

花園近鉄ライナーズ(D1 カンファレンスB)

近鉄一筋の鉄人が、勇ましく体を張り、
チームに初勝利をもたらす

花園近鉄ライナーズの松岡勇選手、39歳。「僕がボールを持って、バンバン前に出るのは難しいところもありますけど、ディフェンスでタックルをし続けることはできる」

前節、三重ホンダヒートに1点差で敗れ、最下位に転落。ディビジョン1で唯一の未勝利という苦しい状況にある花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)が3月24日、神戸総合運動公園ユニバー記念競技場でコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)に挑む。

「エナジーをくれる選手」と向井昭吾ヘッドコーチが絶大な信頼を置くチーム最年長の39歳、松岡勇が今季3度目のスタメンに名を連ねた。大阪体育大学を卒業後、2007年に近鉄ライナーズ(当時)に加入。それ以来、”近鉄一筋”のラグビー人生を送ってきた松岡は190cm、107kgの巨躯を生かしたプレーが持ち味だ。

後半、一時逆転に成功した第8節・東芝ブレイブルーパス東京戦でも鋭いタックルでチームを勢い付けた松岡だが、過去二度の昇格を含め、花園Lの浮き沈みを長いキャリアで経験してきた。そんな松岡の価値を語るのは現役時代ともにピッチに立ち、現在は花園Lで普及活動を担当し、今季からデベロップメントコーチも務める元日本代表のタウファ統悦さんである。

「ベテランですけど、あの人は僕と一緒にプレーしたときもひたむきにやるタイプでした。花園Lに必要な選手です」。

ツボにハマった際のアタックの鋭さは花園Lの強みだが、松岡は神戸S戦のカギをこう話す。

「一つひとつのコリジョンでコンタクトバトルに勝つこと。そこをまずベースとして出さないといけませんし、まずはフォワード陣のバトルで僕たちが勝ちたい」。

元スコットランド代表のベン・トゥーリスも負傷が癒え、第2節以来の戦線復帰。フォワードの陣容も本来の姿に戻りつつある花園Lだが、松岡はその姿勢でチームにメッセージを送るつもりでいる。

昨季、入替戦を除けば、花園Lが唯一勝利を手にした相手が神戸Sだった。この試合では昨季限りで引退した、当時35歳の樫本敦さんが勝利につながる劇的なトライをゲットした。

ただ、39歳の鉄人は自らにスポットライトが当たることを望もうとしない。

「僕がボールを持って、バンバン前に出るのは難しいところもありますけど、ディフェンスでタックルをし続けることはできる。僕は一番年上ですけど、『あのオッサンがやっているのなら』と思ってくれるチームメートがいるのなら、体を張るところを見せるべきですからね」

名は体を表す。松岡勇というラガーマンは“勇ましく”体を張り、そして未勝利のチームに“勇気”を与えてくれるはずだ。

(下薗昌記)

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