2024.03.26NTTリーグワン2023-24 D3 第10節レポート(日野RD 45-18 江東BS)

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン3 第10節
2024年3月24日(日)13:00 太田市運動公園陸上競技場 (群馬県)
日野レッドドルフィンズ 45-18 清水建設江東ブルーシャークス

D2昇格は通過点。これからも
『ファンがワクワクするラグビー』の追求を

日野レッドドルフィンズはこの試合で、来季からのディビジョン2昇格を決めた

日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)が太田市でのホストゲームで清水建設江東ブルーシャークス(以下、江東BS)を45対18で破り、ボーナスポイントを含めた勝ち点5を獲得。この結果、日野RDは4試合を残してディビジョン3の2位以上を確定させ、無傷の8連勝で来季のD2昇格を勝ち取った。

3点を先制された前半10分過ぎから怒濤のアタックは始まった。同14分にはマイボールのラインアウトから密集の左に駆け込んだ小島昂にタイミング良くボールを渡してファーストトライを奪うと、そのあとはスクラム、ラインアウトなど、ほぼすべてのセットピースでフォワードが相手を圧倒。ラインアウトからのモールでも、バックスの展開でもトライを重ねて前半だけで5トライを記録。積極的にトライを奪いに行く気持ちが猛攻を呼んだ。

この日のファーストトライを記録した日野レッドドルフィンズの小島昂選手

谷口永遠は「後ろからも前からもどんどん声を掛けてもらえて非常に良いコミュニケーションが取れている。今季掲げている、『ファンがワクワクするラグビー』を見せようと取り組む中で、フォワードもパスをさばくなど連係を磨いていった結果、今日の試合で挙げたトライのようにきれいなアタックで得点できている。そこをさらに磨いていってもっと面白いラグビーを今後も見せていきたい」と胸を張る。

バックスからフランカーに戻って今季はプレーする朝長駿も「グラウンドをワイドに使ってパスをつなぎ、フィニッシャーにボールを送ることができている。一方で、近場でも中鹿駿選手や井島彰英選手など、前に突進できるプレーヤーがいるので、バランスの取れたアタックができている」とチームの充実度を語ってくれた。

「今日の試合も最高のスターターと最強のフィニッシャーがいてそれぞれ役割が遂行できた」と苑田右二ヘッドコーチが試合を振り返ったように、スタメン、控え問わず誰が出場してもチーム力が落ちないことが強さの理由。2月に新人が加入するまでは約40人で活動するなど、ラグビーチームとしては少人数であるがゆえに磨かれた堅い結束力もそれを後押しする。

次節で勝利すれば、2位・江東BSの結果次第ではD3の優勝を手にすることとなる。「D1で常にトップ8を争えるチームが目標。そのためには昇格してからではなく、いまからマインドも含めて準備することが非常に重要。選手からも『いまから取り組もう』という声が上がっていて、成長する意欲がわれわれスタッフにも伝わってきている。選手の頑張りを心から誇りに思う」との苑田ヘッドコーチの言葉どおり、選手たちはこれからも成長をファンに見せてくれるはずだ。

(関谷智紀)

日野レッドドルフィンズ

日野レッドドルフィンズの(写真左から)苑田右二ヘッドコーチ、橋本法史バイスキャプテン、朝長駿選手、谷口永遠選手

日野レッドドルフィンズ
苑田右二ヘッドコーチ

「太田市でのホストゲーム開催ということで、素晴らしい環境を整えていただいた関係各所のみなさまに感謝申し上げます。清水建設江東ブルーシャークス(以下、江東BS)さんにはプレシーズンの最終戦で敗れていますが、そこでさまざまな学びを得て、開幕まで選手が中心となってそこで学んだことを改善してシーズンに入り、開幕戦で勝てたことがよりチームが加速してここまでの連勝が続いている理由の一つだと思っています。(プレシーズンマッチも含めて)今季、江東BSさんとは1勝1敗だったのでわれわれとしては勝ち越したいと思っていました。勝ち越すために前節からのこの2週間は、選手たちがリーダーを中心に良い準備を進めてくれたのでこの結果につながったと思います。今日の試合も最高のスターターと最強のフィニッシャーがいて、それぞれ役割が遂行できたことによって勝ち点5が取れたと思っています。今日は勝ったこととディビジョン2への昇格を決めたことをチームのみんなで喜び合って、明日はしっかりリフレッシュして、次の火曜日からは中国レッドレグリオンズ戦に向けてさらにわれわれが成長できるように準備を進めていきたいと思います。ありがとうございました」

──全勝でD2昇格が決まりました。

「シーズンの初めに『全勝でD3を優勝して、D2に上がること』を目標にスタートしました。7月3日のチーム始動から選手たちが献身的にハードワークして、改善するべき部分は素直に受け止めて改善して、チームがどんどん加速して成長していくところがありました。今季はどのメンバーが試合に出場しても遜色なくプレーできるというところが、みんなも成長しているし、チームとしても成長できているという証拠だと思います。努力は裏切らないというか、自分たちがやるべきことに取り組めば、やればやるほどチームは成長していく。本当に選手たちのことを誇らしく思っています」

──『将来的にはD1でトップ8を目指すチームに』ともおっしゃっていました。今後の目標を教えていただけますか?また、どんなチーム作りを行っていきたいですか?

「D1で常にトップ8に入れるようなチーム作りを進めていかなければいけないのですが、ディビジョンが上がってからその準備をするのではなく、いまからマインドも含めて準備していくことが非常に重要になっていくと思っています。その点では選手からもそういった声が聞こえてくるシーンがあります。そういった選手の意識面の高さが現在の連勝につながっているとも思います」

日野レッドドルフィンズ
橋本法史バイスキャプテン

「今日は2位の江東BSさんとの試合で、もちろん相手のプレッシャーが掛かってくるというのは分かっていましたし、前半はすごくプレッシャーを感じました。そのような圧力を掛けられている中でも試合が良い形で進んで、まずは良かったと思っています。この試合に向けての準備段階で、試合に出ないメンバーからの激しいプレッシャーがあって、試合に出場するメンバーにフラストレーションが溜まり、試合メンバーがうまくプレーできない状況を練習段階から作れました。そういったチーム内での競争があったからこそ成長できた1週間でした。準備段階での彼らからのプレッシャーがあったからこそ、今日の試合では落ち着いた試合運びができたので良かったと思います」

──ディビジョン2への昇格が決まりました。

「試合前に宿舎で笠原雄太キャプテンから『昇格のチャンスはそう簡単には来ないし、今日決めないといけない』という言葉があり、メンバーの23人全員が奮い立ちました。今日の試合で昇格を決められたことはとても良かったと思います。でも、チームとしてそこが目標ではないですし、今日の試合前にも『勝てば上がれるよね』といった声は選手からは一切出ていなかったので、全勝で優勝してD2に上がるという目標に、選手たちはしっかりフォーカスできていると思います。その目標を達成するためにこれからの試合でも全員で頑張っていきます」

日野レッドドルフィンズ
谷口永遠選手

「前節・クリタウォーターガッシュ昭島戦からフォワードが自信をつけていて、今日も『セットピースで圧倒しよう』とフォーカスして準備してきました。スクラムでも最初はあまりうまくいかない部分がありましたが、試合の中でフロントローだけでなくバックスともしっかり話し合って修正できた結果、良いスクラムが組めたし、モールも自信をもって進められたと思います。(江東BSとの)プレシーズンマッチ、開幕戦の反省を踏まえて、『フォワードが絶対に負けたらダメだ』ということで、練習から強度を上げて相手にプレッシャーを与えられるように取り組んできた成果が出た試合だと思います」

日野レッドドルフィンズ
朝長駿選手

「今日も後半にトライを取らせてもらったのですが、いまのバックス陣はパス回しがとてもうまくて、相手に距離を詰められてもポンポンとボールが外側に回ってきて自分のトライシーンにつながったと思います。全体的にグラウンドを使ってワイドに攻撃できている一方で、近場でも中鹿駿選手や井島彰英選手など前に出て行ける選手がいますので、バックスでもバランスの取れたアタックができるチームになっていると思います。

フランカーに戻って(今季は開幕でセンターからフランカーにコンバート)プレーしていますが、7人制日本代表のメンバーにも選ばれてプレーさせてもらう中でハンドリングもほかのフォワードの選手と比べてうまくできると思っていますし、フランカーとしても継続して成長する機会を与えてもらったと思っています。今日の試合でもフランカーとしてプレーする中でコンタクトの強度が上がっていることを感じるシーンがあって、そこは成長できているなと感じています」

清水建設江東ブルーシャークス

清水建設江東ブルーシャークスの仁木啓裕監督兼チームディレクター(左)、白子雄太郎キャプテン

清水建設江東ブルーシャークス
仁木啓裕監督

「まず、この試合の開催にあたって多くの方にご尽力、サポートいただきましたことを、チームを代表して感謝申し上げます。本当にありがとうございます。もう完敗の一言だと思っています。前回の日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)さんとの試合でもそうでしたけど、今回も多くの課題をいただいたと思っています。ただ、残り試合もまだまだありますし、日野RDさんにリベンジする機会も最終節でありますので、ここで下を向くことなくしっかり前を向いて次の試合に臨みたいと思います」

──試合の入りは良かったように感じましたが、そこから相手ペースになってしまった要因をどう考えていますか?

「試合の入りについては、コンペティション(競争する)という言葉を常々伝えていますとおり、選手がそれを実行してくれ良かったとは思います。ただ、前半は次第に日野RDさんが力を出してきて、徐々に圧倒される部分が見えてしまったと思います。ブレイクダウンでもそうですし、ペナルティの部分でもそうですし、いろいろなところが展開に絡んでしまったゲームでした。失点につながった部分に関しては基本的にわれわれのミスからで、それに関しては本当に反省しなければいけないところです」

──5月に予定されている最終節での日野RDとの再戦に向け、修正点はありますか?

「正直、大きく直すところはないのかなと思っています。われわれも自信を持っている部分が試合内容にいくつも出ていた部分がありましたし、単純にミスの部分ですとか規律の部分ですとか、そういったところの差が出たと考えています。このまま全勝を日野RDさんに許すわけにはいかないと思っていますし、それがリーグ2位につけているわれわれの使命でもあると思います。最後に勝ってしっかり上(D2昇格)を見ていきたいと思っていますし、逆にここで勝たないと、上に上がったとしても降格した昨季のような結果となってしまうと思いますので、これからの試合も1試合1試合、しっかり、きっちり勝って、最終節で日野RDさんにまた挑戦したいと思っています」

清水建設江東ブルーシャークス
白子雄太郎キャプテン

「アタックのブレイクダウンのところで、相手からプレッシャーを掛けられてしまい自分たちの思うような形がしっかりと作れずに、次のアタックでもまたセットができていないといったような負のスパイラルに落ち始めてしまったところがあったと思います。ディフェンスでも想定していた以上に押されてしまって失点につながった部分があったので、そこは次の試合に向けて修正をしていきたいと思っています」

──後半だけ見れば同点でした。立て直せた要因をどう考えていますか?

「アタックのブレイクダウンでのボールリサイクルを早くしようという話をしていまして、そうするとディフェンスが前に上がってくるのでプレッシャーを受けずに自分たちの形ができる。そこがゴール前でできたことが得点につながった良い点だったと思います。ただ、キックチェイスでどうしてもプレッシャーが掛かってしまっていて、そこからのアタックの運びというのがうまく組み立てられなかった。しっかりそこを反省して自分たちのアタックができるように修正して、またこれからの試合に臨みたいと思います」

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