NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2 第10節
2024年3月31日(日)14:30 ヤンマースタジアム長居 (大阪府)
レッドハリケーンズ大阪 vs 九州電力キューデンヴォルテクス
レッドハリケーンズ大阪(D2)
順位決定戦の2試合もホストゲームで。
紡いできた地域との絆を力に
今季のホストゲーム平均観客数が、ディビジョン2・3で唯一5,000人を超えているレッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)。ホスト開幕戦だった第2節では8,586人を集客。ここまで3,000人を下回った試合はない。
行政と連係を取り、区民アンバサダーが中心となって地域活動に積極的に参加。小・中学校での挨拶運動やラグビー普及活動などにも数多く取り組んできた。今節に向けても、ポスターやチラシなどに頼るばかりではなく、これまで関わりを持った各所に直接足を運び、挨拶をして回っている。RH大阪は、社員選手が中心のチーム。その活動はいずれも、練習と社業の合間を縫って行っている。
“大阪になくてはならない存在”になることを目指し、観客数を一つの目安にして、小さなことからコツコツと積み上げてきた。ホストゲームに懸ける思いは、ひと際強い。3月31日(日)にヤンマースタジアム長居で行われるリーグ戦最後のホストゲームでも、D2最多入場者数の更新を目指している。
観客数が増える中、キャプテンの杉下暢が最も変化を感じているのは、「応援してくれる声が、『レッドハリケーンズがんばれー!』ではなく、『◯◯選手、がんばれー!』に変わったこと」。直接触れ合う機会を持ってきたからこそ、応援してくれる人たちとの心の距離は近くなった。
マット・コベイン ヘッドコーチは「チームスタッフが、チームとファンとの間に良いつながりを持てるよう力を注いでくれているおかげで、RH大阪には本当に素晴らしいサポーターの方たちがたくさんいる」と感じているというが、「大阪を代表し、ホストタウン・大阪で良いプレーをお見せしたい。応援してくださる方たちが作ってくれる雰囲気の力も借りて、試合当日、準備したものを出し切りたい」と思っているのは、ヘッドコーチだけではないだろう。
今節ホストスタジアムに迎える相手は、九州キューデンヴォルテクス。昨季D3で優勝を争い、ともにD2昇格を果たした良きライバルだ。簡単に勝たせてくれる相手でないことは、重々承知している。だからこそ、ホストゲームでの声援は、グラウンド上の選手たちの背中を押すだろう。
リーグ戦は今節が最終戦だが、D2のレギュラーシーズンはリーグ戦後にまだ順位決定戦の2試合がある。今節で勝ち点1以上を取ることができれば、順位決定戦の2試合をホストゲームで行える。応援してくれる大阪の人たちに今節の勝利と残す2試合のホストゲームの権利を届けたい。
(前田カオリ)
九州電力キューデンヴォルテクス(D2)
「日本でプレーできるのは素晴らしい」。
異国の地での挑戦を楽しむ23歳の存在感は増すばかり
九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)は3月31日、レッドハリケーンズ大阪とのビジターゲームに臨む。リーグ戦の最終節となる今節は勝ち点差4で迎える直接対決。勝利した上でボーナスポイントを得ることができれば4位に浮上できる一方、引き分け以下に終われば最下位転落の可能性もある。順位決定戦をホストスタジアムで迎えられるかどうかの分かれ目となる重要な一戦だ。
前節、1点差で敗れた九州KVだが、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれたのが2月末に加入し、この試合がファーストキャップとなったスペンサー・ジーンズだった。「正直、びっくりしました」と本人も驚いたように敗れたチームからPOTMに選出されるのは異例。ただ、この試合でスペンサー・ジーンズが見せたパフォーマンスはそれに値するだけのものがあった。「キックの質、雨の中でのゲームコントロールはさすがだなと感じました」と今村友基ヘッドコーチ代行もそのパフォーマンスを高く評価した。
九州KVからのオファーが届いた際、「すぐに『YES』と答えました」と来日に迷いはなかった。その背景にはある経験があった。2022年に開催された『グローバルラグビーフェスタ2022』にオーストラリアのクイーンズランド・レッズの一員として来日。埼玉パナソニックワイルドナイツ、クボタスピアーズ船橋・東京ベイと対戦した。
「その経験もあって日本のラグビーがどういうものなのか、少し理解がありました。あとはツアー後も日本に残って友人と観光しましたが、とても楽しかったという思い出があります」
取材時には記者に自ら握手を求めるなどナイスガイぶりがにじんでおり、日本人選手たちとも積極的にコミュニケーションを取っている。さらに、まだ23歳ながらグラウンドにおいては随所でリーダーシップを発揮するなどその存在は目立ったものになっている。
「日本でラグビーができる機会があるのは素晴らしいこと。このチャンスをつかみ取っていきたい。このチームの目標であるディビジョン2残留と将来的なD1昇格を成し遂げたい」
新たに加わった若きリーダーがチームを高みへと導いていく。
(杉山文宣)