2024.05.03NTTリーグワン2023-24 D2 4〜6位 順位決定戦 第3節 RH大阪 vs 九州KV-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2 4〜6位 順位決定戦 第3節
2024年5月5日(日)14:30 ヤンマースタジアム長居 (大阪府)
レッドハリケーンズ大阪 vs 九州電力キューデンヴォルテクス

レッドハリケーンズ大阪(D2)

50キャップの節目を迎えるキャプテンが示す
積み重ねてきたもの。大阪で今季最後の赤い旋風を

「今季のベストゲームをしたい」。レッドハリケーンズ大阪の杉下暢キャプテン

5月5日(日)、ヤンマースタジアム長居で、ディビジョン2 4〜6位順位決定戦第3節を戦うレッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)。第1節で日本製鉄釜石シーウェイブスに勝利しているRH大阪は、第2節の結果を受け、D2残留が確定した。入替戦がないRH大阪にとっては、これが今季最後の試合となる。

今節で対戦する九州電力キューデンヴォルテクスもまた、順位決定戦第2節で勝利し、D2残留が確定している。重大な事柄が決まるわけではないこの試合にあるのは、シンプルに、勝つか負けるか、ということのみ。キャプテンの杉下暢は、「(勝敗の)半分以上は、気持ちで決まると思っている」と、左胸を力強く叩いた。

RH大阪の今季は、厳しい結果も少なくなかった。それでも試合後の会見では、事実と課題を受け止めつつ、必ずポジティブな発言で終え、チームを前向きかつ力強く率いてきたキャプテンの杉下が、この試合で50キャップを迎える。ジャパンラグビー トップリーグ時代、RH大阪はトップチャレンジリーグやトップウェストに属していた時期もあったため、キャップ数にカウントされていない試合も多くある。この節目を前に、「長く時間が掛かったな」と振り返った。

立命館大学を卒業後にNTTドコモレッドハリケーンズ(当時)に加入してからは、さまざまな国籍のヘッドコーチから指導を受けてきた。「1年目のヘッドコーチは日本(下沖正博)、そのあと2年間は南アフリカ(ダヴィ・セロン)、その次の2年はニュージーランド(マイケル・ブリューワー)、その次の2年はまた南アフリカ(ヨハン・アッカーマン)。そしてこの2年はオーストラリア(マット・コベイン)。国によってもラグビーのスタイルが違うことを学んできた」という杉下。「自分の思考をマイナーチェンジしながら、吸収してきた」ことが、自身の成長につながったと感じているという。

キャプテンを務めてきたこの2年に関しては、マット・コベイン ヘッドコーチの指揮するラグビーの「試合全体を通じてスマートに戦おうというところが好きだと感じていた」。この試合で「今季のベストゲームをしたい」という意志は、順位決定戦第1節の試合後から変わらない。この2年で『アイズアップ』、『アップテンポ』を軸にして、チームとして積み重ねてきたもの、自身が50キャップを迎えるまで積み重ねてきたものを発揮し、ホストエリア大阪市で今季最後の赤い旋風を巻き起こしたい。

(前田カオリ)

九州電力キューデンヴォルテクス(D2)

確かな成長を支えた監督とヘッドコーチ代行。
二人三脚のシーズンを今季ベストで締めくくる

二人三脚で駆け抜けてきた。九州電力キューデンヴォルテクスの今村友基ヘッドコーチ代行(左)と、村上龍寛監督

ディビジョン2 4~6位 順位決定戦第2節で快勝し、D2残留を決めた九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)は、今季最終戦となるレッドハリケーンズ大阪とのビジターゲームに臨む。

今季のチームを両輪となって動かしてきたのが村上龍寛監督と今村友基ヘッドコーチ代行の二人だ。今季開幕前、急きょ、ヘッドコーチ代行に就任することになった今村ヘッドコーチ代行を村上監督は一番近い場所でサポートしてきた。

「彼(今村ヘッドコーチ代行)の仕事はチームに戦術を落とし込むこと。その仕事に集中してもらうためにそれ以外のところは自分が引き受ける。それがチームの成長に一番の形だと思いました。この立場になってお互い1年目ですけど、彼も僕のことを助けてくれましたし、二人三脚のような形でやってこれたと思います」(村上監督)

そんな村上監督の存在は今村ヘッドコーチ代行の大きな助けとなっていた。

「マメさん(村上監督)は僕のプレッシャーを全部、引き取ってくれました。『監督…』とは呼んだことはないですが(笑)、マメさんがいなかったら僕はこんなに好きにやれなかったと思います。(企業チームなので)会社との間に立つことも多かったのですが、そういった苦労を一切、見せなかった。ラグビーに集中させてもらったので本当に感謝しています」(今村ヘッドコーチ代行)

そんな二人の存在に引っ張られるように九州KVは確かな成長を遂げた。ただ、今季残された試合はあと一つ。その事実を今村ヘッドコーチ代行は「すごく寂しい」と話す。それだけ選手たちの成長を感じているからこそ、ここで今季の区切りを迎えなければならないことへの複雑な思いが胸中に去来する。

「選手たちには本当にチャレンジしてほしい。先週の試合(D2 4~6位 順位決定戦第2節)までの1週間は本当に良いトレーニングができました。残留は決まりましたけど、それ以上のモノを選手たちが求めることが大事だと思います。やってくれると信じています」(今村ヘッドコーチ代行)

その思いは村上監督も同じだった。

「選手たちには今季やってきたことをすべて出し切ってほしいし、今週はシーズンの中で一番良い練習をしたい。最終戦のパフォーマンスが今季の成長の証になると思うので、選手たちには出し切ってほしい」(村上監督)

残留は決めたが、まだ1試合、成長するための舞台が用意されている。今季ベストの九州KVを見せ、最高の形で今季を締めくくりたい。

(杉山文宣)


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