NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2 第10節
2024年3月31日(日)14:30 ヤンマースタジアム長居 (大阪府)
レッドハリケーンズ大阪 14-30 九州電力キューデンヴォルテクス
“初勝利”に導いたのは正確無比な6本のキック。
決着は、5月5日の今季最終戦で
3月31日(日)、ヤンマースタジアム長居で行われたディビジョン2第10節では、ホストのレッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)が、第9節でNECグリーンロケッツ東葛に8,682人へと更新されていたD2最多入場者数を9,171人に塗り替えた。
多くの観客が歓声を上げたRH大阪と九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)の対戦は、後半にスコアを重ねた九州KVが30対14で勝利。この勝利で勝ち点4を積んだ九州KVは勝ち点12でRH大阪に並んだが、勝利数ではRH大阪が上回ったため、リーグ戦はRH大阪が4位通過、九州KVが5位通過として、4~6位順位決定戦に臨むことが決まった。
九州KVは、昨季から今季にかけて4試合あったRH大阪戦で、いずれも拮抗したゲームを展開したものの4戦すべてにおいて敗れていた。昨季に鹿児島で行われたD3第8節を除いた3試合では、試合終盤に逆転され、辛酸を嘗めている。
この日の前半も、これまでと同じように白熱したシーソーゲームを繰り広げ、互いに2トライ2ゴール。その中、萩原蓮がペナルティゴールを決めた九州KVが3点をリードして折り返した。後半は、互いの集中力の高い守備によって両チームともがトライを奪えない時間が続く中、九州KVは萩原の2本のペナルティゴールで6点を重ねる。後半20分のゴール成功時点では、まだ1トライ1ゴールで逆転できる6点差だったが、後半36分に2本目を成功し、1トライ1ゴールでは逆転できない9点差に広げ、勝利を大きく手繰り寄せた。
シーズン序盤は「準備のところでうまくできていなかった」ことで6割ほどに止まっていたキック成功率だったが、この日は「1週間で良い準備ができていたので、自信はあった」と話した萩原。チームとしても「良い準備はできていた」ので勝利できると考えていたというが、逆転されるかもしれないことへの意識は「少しはあった」という。「とにかく得点を重ね、チームを良い方向にもっていきたいと思っていた」とおり、3本のコンバージョンキックと3本のペナルティキックをすべて成功。勝利に大きく貢献した萩原には、この日のプレーヤー・オブ・ザ・マッチが授与されている。
昨季から繰り広げてきた九州KVとRH大阪の熱き戦いは、今季の戦績で見れば、まだ1勝1敗。5月5日(日)、ヤンマースタジアム長居にて行われるD2の順位決定戦第3節で、決着を付ける。
(前田カオリ)
レッドハリケーンズ大阪
レッドハリケーンズ大阪
マット・コベイン ヘッドコーチ
「九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)さん、勝利おめでとうございます。本当に良い試合になって、九州KVさんが最後に取り切ったことが彼らの勝利につながったと感じています。私たちもチャンスは多く作りましたが、取り切ることができませんでした。そこは課題だと感じています。特にセットピースのところで押されてしまったので、次はしっかりと対策を講じて、準備したいと考えています。前半はチャンスを作れましたが、後半はチャンスを作ることがあまりできませんでした。ディフェンスに関しては、我慢強く止めることができたことは本当に良かったと感じていますし、自分たちがどのようなチームなのかを示すことはできたと思っています。もう一度戦術を見直し、順位決定戦に向けて準備していきます」
──リーグ戦を4位で終えたことで、順位決定戦の2試合はホストエリアで行えます。3週間後の試合に向け、どのように準備されますか?
「これまでゲームタイムの少なかった選手たちに、ゲームタイムを与えられる機会を設けたいと考えています。また、取り切ることができなかったチャンスはどこなのか、課題を明確にしたいと考えています。順位決定戦をホストゲームで行うことはできますが、ホストゲームだから必ず勝てるというわけではありません。グラウンド上でやるべきことを遂行することが大切です」
レッドハリケーンズ大阪
杉下暢キャプテン
「今日のゲームで一番大事にしようとしていたのは、プレーの精度でした。九州KVさんはアタックもディフェンスも我慢強いチームですので、どちらがプレー精度高く遂行できるのかがカギになると思っていました。私たちはディフェンスではしっかり守れていましたし、チャンスを作り出すこともできていましたが、スコアに結び付けることができませんでした。けれど、九州KVさんはしっかりとスコアにつなげてきました。それが、この結果になりました。この試合で敗れはしましたが、リーグ戦の順位は4位で終えることができましたので、(順位決定戦の)2試合をホストエリアで行えます。残りの試合をしっかり勝ち切って、今季を締めくくります」
──今日の観客数は、9,171人。ディビジョン2の最多入場者数を更新しました。
「本当にうれしい記録です。前節でNECグリーンロケッツ東葛さんに記録を更新されていたので、それをまた更新でき、うれしく思っています。1万人を目指していましたが、そこには少し届きませんでした。区民アンバサダーなどの地域に密着する活動は今季だけで終わるのではなく、どんどんレベルアップさせながら継続していきます。より地域に愛される、大阪を代表できるチームになっていきたいです」
九州電力キューデンヴォルテクス
九州電力キューデンヴォルテクス
今村友基ヘッドコーチ代行
「本日は、D2の最多入場者数とのことで、ご尽力いただいた関係者のみなさまに厚く御礼を申し上げます。試合前からこのような(相手のホストゲーム感の強い)雰囲気になるであろうことは選手も話していましたし、その中でもしっかりとチャレンジすること、自信を持ってプレーをすることは伝えていました。それを本当に選手たちが体現してくれたゲームになりましたし、最後に勝ち切ることができ、チームとして本当に良かったと感じています。出た課題はたくさんありますが、ポジティブに次の順位決定戦につなげていきます」
──「出た課題」について、具体的にどのような部分を順位決定戦に向けて修正していきたいと考えていますか?
「前半は特にペナルティが多かったので、『なぜ、ペナルティになったのか』というところです。ディフェンスのところで相手に勢いを持たせてしまって下がる中で、オフサイドになること、ブレイクダウンで我慢し切れずにペナルティになることがありました。チームとして武器にしたい部分なので、もう一度レビューし、自分たちの武器をしっかり磨き上げていきたいと考えています」
九州電力キューデンヴォルテクス
ウォーカー アレックス拓也キャプテン
「試合を開催するにあたってご尽力いただきました関係者のみなさま、ありがとうございます。D3の昨季から、通算4戦で全敗していたレッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)さんが相手でしたが、『今回はしっかり勝ちにいこう』と僕たちの中で意思統一をして、ディテールやプロセスを大切にしようと話していました。それがある程度実行できた試合になったという印象はあります。もちろん反省点もいろいろありますし、改善しなければいけないところもありますが、勝って反省できるということはすごくいいこと。この勢いをしっかり次へとつなげて、順位決定戦に向けて準備していきたいと思っております」
──この試合で大事にした「細かいディテール」は、どういった部分でしょうか?
「ブレイクダウンのところ、キャリアーに対して2枚で作るところのディテールなどです。そうしたところを疎かにしてしまうと、RH大阪さんはフィジカルも強いチームですので、ブレイクダウンに対してどんどんプレッシャーを掛けられてしまうことは分かっていたので、そこで『しっかり顔を上げて守り切ろう』、『我慢すれば、絶対にチャンスは来る』と話し、この試合に向けた1週間で取り組んできました」
──終盤に相手のアタックを防ぐ、良いジャッカルの貢献もありました。
「ジャッカルではチームに貢献できるというふうに思っているので、そこでチームに勢いを与えるようなプレーができたことは良かったですし、次ももちろんそのような貢献はしたいです。けれど、それ以前にチームの仲間が体を張ってくれていたから、僕に良いシーンが回ってきただけのことです。みんなが堅いディフェンスをしてくれていたから、チームが勝利でき、その中でのそのシーンで勝利をしたというふうに思っています」