2024.04.04NTTリーグワン2023-24 第12節 SA広島 vs 中国RR-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン3 第12節
2024年4月6日(土)14:30 Balcom BMW Stadium (広島県)
マツダスカイアクティブズ広島 vs 中国電力レッドレグリオンズ

マツダスカイアクティブズ広島(D3)

輪になって全員で歌い、気持ちを一つに。
チーム愛をもって、いざ『広島ダービー』へ

3月は3戦3敗だったマツダスカイアクティブズ広島

今季最後の『広島ダービー』に向けた準備を始めた4月2日、ミーティングを終えてグラウンドに出てきたマツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)の選手、コーチ、スタッフは、全員で輪になり部歌を歌ってトレーニングをスタートさせた。

そして濃密な1時間半のトレーニングを終えたあと、中居智昭ヘッドコーチは語った。

「チームが苦しんでいる状況の中で、少しでもエネルギーを上げていきたい。『もっとチームの一体感を出そう!』『チーム愛をもってやろう!』ということで部歌を歌って練習を始めました。みんなでしっかりと手をつないで前に進んでダービーに向かっていきたい」

SA広島は苦しんでいる。3月は3戦3敗で終わっており、前節の清水建設江東ブルーシャークス戦は17対71の大差で敗れた。そうしたチーム状況にあるからこそ気持ちを一つにすることから始めており、選手たちの気持ちを駆り立てる役割を担うコーチ陣も、熱く燃えている。

『広島ダービー』の歴史を紡いできたチームのOBでもある長岡智之フォワードコーチと三好啓太バックスコーチは、この一戦に懸ける思いを口にしてくれた。

「自分が入社した年に初めてダービーに負けたんです。だから人一倍、ダービーには特別な思いがある。絶対に負けないという気持ちで戦ってきましたけど、中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)さんも本当に力を付けてきて、いつもどちらに転ぶか分からない試合になっている。今季も1勝1敗。決着をつけたいと思います」(長岡コーチ)

中国電力レッドレグリオンズとは「今季も1勝1敗。決着をつけたいと思います」と長岡コーチ

「中国RRさんには絶対に負けたくないですけど、相手もそういう気持ちを剥き出しにして戦ってきてくれる。それがうれしくて、その気持ちに応えるためにも闘志を剥き出しにしてプライドを持って戦わないといけないと思ってやってきました。それはコーチになってからも変わらないです」(三好コーチ)

「絶対に負けたくないですけど、相手もそういう気持ちを剥き出しにして戦ってきてくれる」と三好コーチ

フォワード陣は今季、新旧の力が融合してきた。長岡コーチは「若手が伸びてくる中でベテランも持ち味を発揮してくれて、シーズン終盤になってそれぞれの良さが出てきている」と話す。バックス陣はけが人も多く苦しい時期もあったが、三好コーチは「スクラムからの一次攻撃を磨いてきて、すごくレベルは上がってきている」と頷いた。

6日の14時30分にキックオフする『広島ダービー』。“マツダのプライド”をもって、全員で積み上げてきたことを思いきりぶつけていく。

(寺田弘幸)

中国電力レッドレグリオンズ(D3)

負傷した先輩のぶんまで。
“挑戦心”で臨む、雌雄を決する広島ダービー

中国電力レッドレグリオンズの河口駿選手。「僕は『成功すればいいプレー』みたいなところに挑戦していく」

中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)は今節、ライバルのマツダスカイアクティブズ広島とのプライドを懸けたダービーマッチ第3戦に臨む。

「個人的には僕がチームで一番アタックがいいと思っている。トライの起点になるプレーをして勝てたらベストですね」

そう意気込むのは河口駿。中国RRの“違いを生む男”である。勝つしかない『広島ダービー』でスタメン入りし、持ち前のアタックセンスで違いを見せつける。

河口が今季出場したのはここまで3試合のみ。もどかしいシーズンを過ごしていたが、会社の人事異動を機に新たなサポートを得たことで気持ちは前向きになった。

「新しい職場は結構ラグビーを応援してくれて、毎回試合にも来てくれる。せっかく応援してくれているのに、僕がくさっていたらいけないし、出場できないのもイヤなので、頑張らないといけない」

前節の日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)戦でスタメンに復帰し、強敵相手の引き分けに貢献。今節も引き続きナンバーエイトで先発出場する。これまでプレー時間が少なかったぶん、強い責任感を持ってグラウンドに立つ。

「僕がメンバーに入ったら誰かが外れるので、生半可な気持ちでプレーしていたら、出られない選手の気持ちが無駄になる。だから、出場するからにはベストを尽さないといけない」

今季の『広島ダービー』は2試合とも接戦の末に1勝1敗。どちらの試合もメンバー外だった河口は、白黒つける第3戦で出番がきた。ボールを持てば、創造性や嗅覚を生かし、攻撃で違いを生む。その源は「挑戦心」だ。

「状況を判断しながら最善のプレーを選択するのが僕の持ち味。ほかの選手はミスを恐れて手堅いプレーをしがちだけど、僕は『成功すればいいプレー』みたいなところに挑戦していく」

先輩への思いも背負って戦う。帝京大学時代からの先輩である松永浩平が前節の日野RD戦で負傷。今節の先発候補だったが、無念の離脱となった。そのぶん、2年後輩の河口が「浩平さんの魂を入れてプレーする」と力を込める。

「僕の持ち味のアタックを出しながら、浩平さんみたいに走って、タックルして、ジャッカルして、できるプレーを全部したい。けがをした悔しさがあると思うので、浩平さんのためにも勝ちを届けたい」

『広島ダービー』の決着をつける第3戦。前の2試合とは「僕が出ていたから違った」。そう言えるように、河口は勝利のためにベストを尽くす。

(湊昂大)

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