NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第6節
2025年2月15日(土)13:00 Balcom BMW Stadium (広島県)
マツダスカイアクティブズ広島 22-26 中国電力レッドレグリオンズ
「自分のためではなく、チームのために全力で」。献身のエドワード・カーク、50試合出場達成
エドワード・カークが愛する日本の地でトップリーグ時代を含むリーグ戦通算50試合出場を達成した。
「50キャップ達成を誇りに思う。個人的なマイルストーンだったけど、ライバルに勝ったことがチームにとって大きな意味がある。僕はいつも自分のことではなくチームのことを考えてきた。だから、みんなが喜んでいるのがうれしいよ」
中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)は2月15日のディビジョン3第6節でマツダスカイアクティブズ広島に26対22で勝利。今季2度目の“広島ダービー”を制し、カークの記念すべき試合を白星で飾った。
33歳の元サンウルブズキャプテンは、2017年にキヤノンイーグルス(現・横浜キヤノンイーグルス)に加入し、8月に当時のジャパンラグビー トップリーグで初出場を果たした。2019年には右ひざに大けがを負い、コロナ禍の影響もあって2年間も試合から遠ざかったが、苦しい時期も乗り越えて日本で戦い続けてきた。2021年には中国RRに活躍の場を移し、4シーズン目で50キャップ到達の試合を迎えた。
「フィールドに出るときは、少しだけ心の中で『ここまで頑張ってきた』と思っていた。特に大けがからの復帰にどれだけ努力したかを思うと、少し誇らしく思う自分もいる。ちょっと興奮していたけど、フィールドに立った瞬間に頭の中はチームのために自分の仕事をするだけだと切り替わっていた」
節目の試合はプライドを懸けた“広島ダービー”。中国RRとしては完敗を喫した開幕戦のリベンジと3試合ぶりの勝利に燃える試合でもあった。開幕5連勝の快進撃を見せるライバルに対し、「止めるのは俺たちだ」とチーム一丸となり、白熱したゲームで4点差を守り切って勝利をつかんだ。
「今日はウォームアップのときからチームのパッションやエナジーがすごかった」と話したカークは、自身もいつもどおりの気迫あるプレーで戦った。ただ、後半39分には不当なプレーによるイエローカードで一時退出。最後はフィールド外の椅子に座って、「少し緊張していたけど、このチームなら勝てるという自信があった」と仲間を信じて見守った。
日本でのデビューから約8年で迎えた50試合出場の節目。フィールドでは常にカークらしい姿勢を示してきた。それは今後も変わらない。すべてはチームのために、体を張って戦い続ける。
「今日は自分のためではなく、チームのための勝利だ。僕としてはフィールドに出るまでは少し違ったけど、試合が始まればいつもと変わらなかった。最初の試合であろうと、50試合であろうと、100試合であろうと、1000試合であろうと、僕は自分の全力のパフォーマンスを出すだけ。それはいつだって同じだ」
(湊昂大)
マツダスカイアクティブズ広島
マツダスカイアクティブズ広島
ダミアン・カラウナ ヘッドコーチ
「まずは中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)さんにおめでとうという気持ちを持っていて、勝利するためのパッションとコントロールがあったと思います。今日はわれわれのセットピースがうまくできませんでしたし、レフリーの判定基準に適応することができませんでした。そういったところを月曜日から改善しないといけないし、今日の試合からいろいろと学ばないといけないと思います」
マツダスカイアクティブズ広島
芦田朋輝キャプテン
「本日はありがとうございました。今日の試合は本当に中国RRさんの勢いとパッションの部分で終始圧倒された試合だったと思います。特にセットピースでは、スクラム、ラインアウトともに自分たちがやりたいこと、準備してきたことができず、特にモールの部分は完全に中国RRさんのペースだったと思います。あとはブレイクダウンのところで、なかなか自分たちのプレーを継続することができず、プレッシャーで圧倒されてしまったのが今回の結果につながったと思います」
──今季初黒星ですが、どう受け止めていますか?
「最初の5試合で連勝できて、自分たちの中ではかなりいい準備をしてきたつもりでしたが、そこで油断がどこかにあったのかなと思います。この負けを次に生かすことで、残りの試合の結果につながると思います。この負けをしっかり糧にして次に挑みたいと思います」
──今日の試合は3,888人の観客数でした。今季のSA広島のホストゲームは開幕から段々と観客数が増えていますが、そういった中でプレーできることをどう受け止めていますか?
「私たち選手ができることは、見に来てくださるファンの方々に勝利を届けることで、それが大切だと思っています。やはり最初の5試合で勝利したことで、見ていただける機会が増えてきたと思うので、しっかりこの試合を反省して、次に生かして、より良いラグビーを、よりアグレッシブなSA広島らしいラグビーを見せていきたいと思います」
中国電力レッドレグリオンズ
中国電力レッドレグリオンズ
岩戸博和ヘッドコーチ
「まずはマツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)のみなさん、リーグ関係者のみなさん、ありがとうございます。たくさんのお客さんの前で試合ができ、選手のモチベーションも非常に高い中で試合ができて幸せな時間でした。ゲームの総括としては、いま勢いのあるSA広島さんのアタックをどう止めるかというところにフォーカスしてきました。ディフェンスのところはしっかりやってくれると信じていましたし、試合のフェーズの中でのディフェンスも評価できると思います。一方でアタックでは、アタックタイムを長くしていくところをしっかり体現してくれてはいましたが、(トライを)取り切れないところがあったので、そこは次の試合に向けて修正していきたいと思います。ただ、総じて80分間、しっかり選手たちがプライドをもって戦って、首位のSA広島さん相手に勝利したこと、僕自身もうれしく思っています」
──開幕5連勝中だったSA広島とのダービーマッチで勝利しました。率直な気持ちを教えてください。
「どうやってSA広島さんのアタックを止めようかといろいろと考えた2週間でした。相手のメンバーに関係なく、僕らのできることをしっかりやって勝てたのは素直にうれしいですし、自信にもなりました。(1巡目の対戦が終わり)第2クールの1試合目で本当にいい入りができましたし、ここから後退することがないように、ここから上がっていくストーリーを作っていきたいと思います」
──前半の終盤は敵陣でアタックし続け、最後にトライを取り切って同点に追い付きました。そのシーンを振り返ってください。
「何回かラインアウトのチャンスを得て、3本ぐらいモールで取れなかったと記憶しています。そこでキャプテンがショットで(ペナルティゴールを)狙うか、(タッチラインに蹴って)ラインアウトでいくかで難しい選択を迫られたと思いますが、4本目でしっかり取り切ってくれました。紙一重でしたが、あそこで取り切れたので、非常にいいスコアで後半に入れたと思います」
──試合の最後はエドワード・カーク選手がイエローカードを提示されて一人少ない中で4点差を守る展開でしたが、どう見ていましたか?
「僕の印象では結構早い段階でマイボールになったと思いました。今までのSA広島さんとの試合だと、43〜44分ぐらいまで攻められて、自分たちが守り続けないといけないケースになると思っていました。我慢するディフェンスは得意ですが、いまのSA広島さんは攻め始めると本当に強いです。いろいろな要因があってマイボールにはなったと思いますが、早い段階でわれわれにボールが転がってきて本当にほっとしました」
中国電力レッドレグリオンズ
西川太郎 共同キャプテン
「今日はSA広島のみなさん、リーグ関係者のみなさん、ありがとうございました。今回のゲームに挑むにあたって、開幕戦でやられたぶんをしっかり返せるように、『SA広島を止めるのは俺らだ』と思って試合に臨みました。アタックではブレイクダウンのところでしっかり剥がして、ディフェンスでは相手の強いキャリーに対してダブルタックルというところをフォーカスして取り組んできました。概ね80分間それができたと思いますが、チャンスで取り切れないところ、前半にミスで何度かもったいないところもありました。今回はそれが致命傷にはならなかったですが、そこは修正していかないといけないと思います。まだ3連戦あるので、またチーム一丸となって練習できるように頑張ります」
──開幕5連勝中だったSA広島とのダービーマッチで勝利しました。率直な気持ちを教えてください。
「率直にうれしいです。開幕戦であの点差(26対61)で負けて、すごく悔しかったですし、あの時のチーム状態よりいまは絶対にレベルアップしていて、やっていることを出せばいけると話してきました。できたところもありますし、また精度を上げていかないといけないと思います」
──前半の終盤は敵陣でアタックし続けて最後にトライを取り切って同点に追い付きました。そのシーンを振り返ってください。
「正直、ショットを選ぼうかなと思いました。相手の5番(アンドリュー・デビッドソン)のプレッシャーがすごくて、自分たちのミスが続いていたので、ショットにいこうかなと思っていましたが、フォワード陣みんなが『モールに行こう』という顔をしていたのでラインアウトを選びました。最後はモールではない形でトライを取りましたが、一つの引き出しを出せたと思います。(トライを決めた)岩永(健太郎)は1対1だったら、ほぼトライを取ってくれると思っていました。(トライを取る前に)モールを3回やった中で、前に相手の選手はいるけど、コンタクトプレーが強い岩永ならいけると思ったので、最後はそのオプションを選択しました」