2024.04.07NTTリーグワン2023-24 D3 第12節レポート(SA広島 43-22 中国RR)

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン3 第12節
2024年4月6日(土)14:30 Balcom BMW Stadium (広島県)
マツダスカイアクティブズ広島 vs 中国電力レッドレグリオンズ

“全員”で達成した観客動員数計1万人。
最高のライバル関係が広島にはある

マツダスカイアクティブズ広島は連敗で低迷後、この広島ダービー最終戦で勝利。入場者数でも見事に目標を達成した

1勝1敗で迎えた今季最後の広島ダービー。ホストのマツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)が中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)に43対22で勝利し、今季の広島ダービー3試合を2勝1敗で制した。

SA広島は前節、大敗を喫して3連敗。さらに、同節で中国RRが首位の日野レッドドルフィンズと引き分けという好ゲームをしていたため、「このままでは勝てないという危機感があって、そこで火がつきました」と中居智昭ヘッドコーチは振り返る。

「3連敗して自分たちが思うようなプレーをできていなかったので、『もう一度、チームで一つになろう』と話して取り組んできました。(中国RR戦は)その一体感があって、どんなことが起こってもみんながチームのために動いてくれました」

一丸となったのは選手だけではなかった。「支えてくれる方々の気持ちもしっかりインプットして、全員が一つになって戦えた」(中居ヘッドコーチ)。声援で後押しした観客たち、試合会場の設営や集客に携わったスタッフたちの思いも一つになった結果だった。

SA広島と中国RRは共同で『HIROSHIMA UN1OOOON!(ヒロシマユニオン)』というプロジェクトを立ち上げ、今季の広島ダービー3試合で合計1万人の観客動員数を記録することに挑んだ。中国RRがホストゲームだった先の2試合で計5,075人の観客動員を記録。SA広島は最後の1試合で4,925人以上の集客という大仕事を託された。

プロジェクトを担当したSA広島の大田和成チームディレクターは、「キーワードは『総力戦』。イベント事業を運営するスタッフも含む全員でチームや選手たちを後押しした」と試合を盛り上げるために奔走した。「(周知に)SNSとかも使いましたが、プロジェクトのチームがいろいろなところを一つひとつ回って、いろいろなところに頭を下げてきたのがやっぱり大きかったですね」。

試合当日は見立てを上回る4,944人が入り、スタジアムは大いに盛り上がった。3戦合計で10,019人の観客動員数を記録してプロジェクトの目標を見事に達成。大田チームディレクターは「ラグビーの試合でこんなに観客が入るのかという驚きでいっぱいでした」と充実の笑みをこぼし、「こんなふうに団結して、みんながつながり合って広島を盛り上げられるところがラグビーらしくていいですね」と続けた。

広島のラグビー界を引っ張ってきたSA広島がグラウンド内外で貫禄を見せつけた。その背中を中国RRは追いかける。

岩戸博和ヘッドコーチは、「SA広島さんは非常に伝統のあるチーム。簡単に勝たせてもらえなかったので、まだまだ足りない部分や学びが多い試合でした」と、リスペクトを示しつつ悔しさをにじませた。

中国RRは直近2試合で強敵相手に善戦したが、その流れを広島ダービーにはつなげられなかった。エドワード・カークは「チームとして、前節の試合で少し満足してしまったところがあった」と指摘。それでも、今季は試合ごとに成長してきた手ごたえもある。「また取り組むべきことを、この試合から学ぶ必要がある」とエドワード・カークも言うように、この経験もまた次へとつないでいくだけだ。

今季もグラウンド内で熱い3試合を繰り広げたSA広島と中国RR。グラウンド外では団結して観客動員数1万人という大きな目標を達成した。良きライバル関係が広島にある。今後も両チームは切磋琢磨しながらラグビー界を盛り上げていく。

(湊昂大)


マツダスカイアクティブズ広島

マツダスカイアクティブズ広島の中居智昭ヘッドコーチ(左)、﨑口銀二朗キャプテン

マツダスカイアクティブズ広島
中居智昭ヘッドコーチ

「本日はたくさんのお客さんに入っていただき、たくさんの関係者の方々にこの場を用意していただいたことを感謝いたします。ありがとうございました。試合は、ライバルである中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)さんを相手にいいプレーを重ねて勝つという選手たちの気持ちだけではなく、バックアップしている選手やスタッフを含めた全員の気持ちが乗ったゲームだったと思います。試合の流れとしては、先に中国RRさんにいいアタックをされましたが、自分たちのスイッチをもう一度入れ直して、しっかりと前に出ながらプレーすることで相手にプレッシャーを掛け続けながら最後まで試合を引き締めることができたと思います」

──前節で清水建設江東ブルーシャークス(以下、江東BS)に17対71と大敗した中で臨んだ『広島ダービー』でしたが、試合の入りで意識したことを教えてください。

「練習のときから一つひとつのプレーを大切にしながら、支えてくださっている周りの方々の気持ちもしっかりインプットして、全員が一つになって戦うというところ。そこがチームとして一番成長できたところだと思います」

──今季の『広島ダービー』は2勝1敗でした。あらためて中国RRとのライバル関係をどう捉えていますか?

「3試合はどれも素晴らしい内容でした。中国RRさんも気迫のこもったプレーをしていて、ゲーム内容が素晴らしかったので、すごくリスペクトしながら今日の試合に向けて準備してきました。そういったライバルがいるからこそ、自分たちが強くなれるので、今日の試合も最後の最後まで互いが鎬を削り、レベルの高いプレーを出した結果だと思います。ライバルチームが広島にあり、リーグワンというレベルの高い舞台で切磋琢磨できる環境なので、これからもいいライバル関係を続けていきたいと思います」

──5,000人近く(4,944人)の観客が入ったスタジアムで試合ができたことへの感想を教えてください。

「試合においてチームの波がある中で、相手の流れのときにしっかりお客さんが声援を送って支えてくれました。前半にトライセーブのシーンがありましたが、そういった応援の声が力になったなと感じました」

マツダスカイアクティブズ広島
﨑口銀二朗キャプテン

「前節の江東BS戦での大敗を受けて、この1週間は勝つために、チーム全員が一つにまとまって、言い訳をせずにひたむきにプレーすることにフォーカスしてやってきました。キックオフ後にトライを取られましたが、いつものように崩れることなく、勝つことにフォーカスを置き、そこに一人ひとりが気持ちでコミットしてブレることなく80分間戦えました。その結果が今日の勝ちにつながったと思います。これからも80分間、勝つことにこだわってやっていきたいと思います」

──前節で大敗して臨んだ『広島ダービー』でしたが、試合の入りで意識したことを教えてください。

「中国RRさんは気持ちの入ったプレーをしてくると分かっていたので、そこを上回るぐらいの気迫でいこうと話をしました。少し簡単にトライを取られましたが、そこで(気持ちが)切れることなく、次のプレーで持ち返そうという思いを体現できたので、崩れることなく逆転の流れを作れたと思います」

──今季の『広島ダービー』は2勝1敗でした。あらためて中国RRとのライバル関係をどう捉えていますか?

「お互いの気持ちが入る試合ですし、お客さんがたくさん来てくれた中で自分たちがプレーできることに喜びを感じました。いい試合ができていますが、もっと高いレベルの試合を広島のみなさんに見せられるように頑張っていきたいと思います」

──5,000人近く(4,944人)の観客が入ったスタジアムでプレーした感想を教えてください。

「歓声が上がったり、良かったプレーに拍手が起こったりして、プレーしていてもうれしかったですし、いいプレーで盛り上がってくれるのは、お客さんが入ってこそなので、次も見に来たいと思ってくれるような試合をもっとやっていきたいと思います」

中国電力レッドレグリオンズ

中国電力レッドレグリオンズの岩戸博和ヘッドコーチ(右)、西川太郎 共同キャプテン

中国電力レッドレグリオンズ
岩戸博和ヘッドコーチ

「マツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)の皆さま、リーグ関係者の皆さま、ありがとうございました。非常にたくさんのお客さんが来てくれて、本当に幸せなステージでラグビーができましたし、われわれのモチベーションが上がるような環境を作っていただいて非常に感謝しています。試合はスコアのとおり、完敗でした。SA広島さんの勢いのあるアタックに対し、われわれが受けに回る時間が非常に多かったと思います。アグレッシブにアタックしてくるSA広島さんの勢いを止め切れず、気持ちの部分でもSA広島さんのほうが常に上回っていたと思うので、何もやらせてもらえなかったというのが今日の試合の印象です。今季最後の『広島ダービー』で勝って終わりたかったのですが、まだ2試合残っていますし、『常に成長していこう』、『まだ終わっていないぞ』とミーティングで選手に伝えたので、次に向けて準備していきたいと思います」

──受けに回ってしまった状況をひっくり返すためには何が必要だったのでしょうか?

「ディフェンスの部分で言えば、もっと前に出られるシーンがあったと思います。SA広島さんにいいランナーがいる中で、『ゲインはされるけど(そのあとで)止めよう』というマインドが先にあって、前に出るチャレンジの部分ができていなかったという印象でした。前節の日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)戦では、前に出てブレイクダウンやコリジョンのところでファイトできていましたが、(今節までに)あまり時間がなかった中でそういった部分の落とし込みができていなかったのは僕の反省点です。アタックではウチもいい選手がいるので、いいランナーに早くボールを持たせてあげたかったとは思いました」

──今季の『広島ダービー』は1勝2敗でした。あらためてSA広島とのライバル関係をどう捉えていますか?

「リーグワンというステージに広島の2チームがいて、切磋琢磨しながら、チームが強くなるために、相手に勝つためにどうすればいいのかを考えながら、お互いにラグビーを盛り上げるために頑張っています。SA広島さんは非常に伝統のあるチームですし、われわれが簡単に勝たせてもらえなかったことを考えると、まだまだ足りない部分や学びが多い試合でした。とはいえ、この1勝2敗という結果を今後、ひっくり返せないわけではないと思っているので、やっぱりチャレンジし続けていきたいですし、次は勝ちたいです」

──5,000人近く(4,944人)の観客が入り、広島ダービー3戦合計1万人動員のプロジェクトも達成しました。

「SNSを見ても『初めて観戦したけど、非常に面白かった』っていうお客さんもいたので、こういった形でどんどん盛り上げていって、多くの方に見に来ていただけたら、選手たちもモチベーションが上がりますし、見られている意識も高まると思います。もっといいプレーを見せて喜んでもらえる試合を増やしていきたいですし、まだまだ盛り上げていきたいです」

中国電力レッドレグリオンズ
西川太郎共同キャプテン

「SA広島の皆さま、リーグ関係者の皆さま、そして今日応援に駆け付けてくれたたくさんのラグビーファンの皆さま、ありがとうございました。前節の日野RD戦で自分たちのラグビーができ、そこから1週間いい準備をして、いいマインドを持ってこの試合に臨みました。ですが、それを上回るSA広島さんの気迫あるアタックに対して、自分たちが受けに回った部分があり、アタックのプレッシャーに負けてこちらがペナルティをたくさんしてしまったのが敗因でした。本当に勝ちたかったですし、本当に悔しい気持ちでいっぱいで、なかなか言葉で表すことが難しいです。でも、あと(リーグ戦は)2試合残っているので、またいい準備をして切り替えてやっていきたいです」

──今季の広島ダービーは1勝2敗でした。あらためてSA広島とのライバル関係をどう捉えていますか?

「お互いの練習場も近いですし、同じ大学から広島に来た仲間もいるので、そういった意味でもすごく意識するところはあります。SA広島さんに負けないように頑張ろうと思う部分もありますし、もちろん向こうも多少は意識していると思います。昨季も1勝2敗、今季も1勝2敗で負け越しが続いています。SA広島さんがディビジョン2に上がる可能性があるのでまだ分からないですが、もし来季も『広島ダービー』があれば、またチーム同士でしっかり盛り上げて、お客さんに喜んでもらえるような試合をして、次は勝ちたいです」

──5,000人近く(4,944人)の観客が入り、広島ダービー3戦合計1万人動員のプロジェクトも達成しました。

「やっぱりお客さんがたくさん入ったスタジアムで試合ができるのはプレーヤーとしてすごく幸せなことなので、本当にありがたいです。もちろん初めて見に来た人も多数いたと思うので、今日は悔しい試合でしたが、次はもっといい試合をして、またラグビーを見に行きたいなと思ってもらえるような試合をしていきたいです」

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