2024.04.05NTTリーグワン2023-24 第12節 埼玉WK vs 相模原DB-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(リーグ戦)第12節 カンファレンスB
2024年4月6日(土)14:30 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 (埼玉県)
埼玉パナソニックワイルドナイツ vs 三菱重工相模原ダイナボアーズ

埼玉パナソニックワイルドナイツ(D1 カンファレンスB)

フォア・ザ・チームのファンタジスタが
勝利への魔法をかける

今節も兄弟そろって出場予定メンバー入り。埼玉パナソニックワイルドナイツ兄の山沢拓也選手(右)と弟の山沢京平選手

埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)が4月6日のNTTジャパンラグビー リーグワン2023-24ディビジョン1 第12節のホストゲームで三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)と対戦する。埼玉WKは開幕から破竹の11連勝で首位を独走。シーズン終盤へ向けて団結するチームは、今節の結果によっては4位以内が確定しプレーオフトーナメント進出が決定する。

「ファンタジスタ」の異名を持つ地元・熊谷市出身の山沢拓也が、相模原DB戦へ静かに闘志をみなぎらせている。今季は第6節から第9節まで欠場が続き、第10節で交代出場し、戦列にカムバック。前節には第5節以来の先発復帰を果たし、2トライを決めるなど復活をアピールした。

「まだベストではないですが、ベストに近づけるように準備をしています。試合に出ていない時間は、出られない悔しさというよりも、ラグビーができない寂しさがありました。試合に戻れたことで充実しているし、また楽しくラグビーができています」

拓也が戦列から離れている間、弟の京平が兄の代役を務めるかのように台頭。兄譲りのファンタスティックなプレーを見せていた。そして、復帰後には、兄弟でそろってピッチに立ち、阿吽の呼吸のプレーでスタンドを沸かせた。

「京平のプレーを見ていて、自分も早く体を動かしたいと思ったし、一緒にプレーしたいと思いました。(京平の動きやアイデアが分かる?)いや、独特なので分からないです、お互いさまですが(笑)。プレースタイル的にも似ていると思うので同じイメージを共有しやすいと思います」

今節、拓也はフルバックとして先発出場するが、正確なプレーに加えてファンタスティックなプレーに期待が懸かる。昨季の第10節では、トライ、ゴール、ペナルティゴール、ドロップゴールと全種類の得点を決めてリーグワン初の“フルハウス”を達成した。

「自分のプレーよりもチームの勝利のためにプレーした結果です。このチームでプレーするには、チームに求められる役割を果たすことが大前提。その先のプラスアルファで個人として、どれだけできるかが大切だと思います」

今節は、12連勝を懸けて相模原DBを迎える。攻撃力を秘める相手をいかに食い止めることができるか。拓也はバックスリーとしての責務を担う。

「チームとして勝ち続けている中で、もっと成長するために戦っていく。プレーオフトーナメントなど先を見るのではなく一戦一戦、目の前のゲームに向かっていく。相模原DBは蹴ってくることもあるので、自分のところでのキック処理などの役割も大事になります。自分の戦うエリアをしっかりと考えながらプレーしていきたい」

拓也のイマジネーションがチームを勝利に導く。シーズン終盤を迎えて迫力を増す埼玉WKは、決して止まらない。

(伊藤寿学)

三菱重工相模原ダイナボアーズ(D1 カンファレンスB)

祖父の言葉を胸に進化を続けるベテランが
ラストスパートを加速させる

「光の入らない場所、“ダークエリア”にも頭を突っ込まなければいけないのがフォワードの役割」と語る、三菱重工相模原ダイナボアーズのリンディ 真ダニエル選手

“くの字の鼻”がハードワークの証。三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)の粘り強いディフェンスを10シーズン、100キャップ超に渡って支えるリンディ 真ダニエル。今季のクラブスローガン『心燃える瞬間を』の言葉をグラウンドで体現するセカンドローだ。

「光の入らない場所、“ダークエリア”にも頭を突っ込まなければいけないのがフォワードの役割。自分の体を犠牲にしてモールやラックに思い切り入るのが仕事ですから。試合が終わったあと、何かが自分の体に起きていないと、自分の役割を果たせていないというくらいの気持ちでプレーしています」

今季は全試合に出場。4年前に日本国籍を取得した36歳のベテランは、たゆまぬラグビーへの情熱の源泉をこう明かす。

「『始まったときよりも終わったときのほうが、良くなっていることが大事』という祖父の言葉を私のラグビー人生でも大切にしています。チーム向上のために全力を尽くし、自身のさらなる成長のための努力を惜しまないこと。そして、“より良くなった場所”から去ることが私の仕事です」

進化が速い現代ラグビーについていくために必要な“自分自身の進化”もモチベーションを保つ秘訣と付け加えた。

バイウィークのため、チームは前節を終えたあとの1週間を休息に充てた。リンディはコンディショニングに気を付けつつ、楽しみにしていた桜の花見には早かったが、家族と過ごしてリフレッシュしたという。

次は、敵地での埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)戦となる。前回の対戦は21対81の完敗。そこで明らかになった、強敵に対するマインドセットという宿題に、今回どう答えるか。

リンディは「埼玉WKはいいチームだとみんなが分かっています。ただ、リスペクトすることと、相手を格上と見なすことは違います。今週は、ゲームプランどおりに自分たちの役割を遂行することに集中し、練習してきました。いいパフォーマンスを見せたいと思います」と意気込む。

ハートに火を付けるイノシシ軍団が、レギュラーシーズン残り5試合の扉を開く。ラストスパートを見逃すな。

(宮本隆介)

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