2024.04.26NTTリーグワン2023-24 D2 4〜6位 順位決定戦 第2節 九州KV vs 釜石SW-見どころ
NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2 4〜6位 順位決定戦 第2節
2024年4月28日(日)12:00 東平尾公園博多の森陸上競技場 (福岡県)
九州電力キューデンヴォルテクス vs 日本製鉄釜石シーウェイブス
九州電力キューデンヴォルテクス(D2)
九州ラグビー界のトップランナー。
山田章仁が胸に抱く情熱の炎
4月28日、九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)がディビジョン2 4〜6位 順位決定戦の初戦を迎える。D2の6位が参戦することになる今季のD2/D3入替戦だが、九州KVはこの戦いに回るつもりはない。今季の“ホストゲーム最終戦”となる今節、支えてくれたファンに勝利を届ける。
脳震盪の影響で約1カ月ぶりの出場となった前節のレッドハリケーンズ大阪戦(以下、RH大阪)、山田章仁は逆転のトライを奪う活躍でフル出場。千両役者ぶりを発揮した。
「RH大阪戦でもそうでしたが、試合の終盤でもしっかりスプリントできている。80分出るのは当たり前。昨季はインパクトメンバーとしてチームを支えるという役割でしたけど、80分やれる自信はありました。それを形にできたのも今季の序盤からいまにかけてなので、また一つ、自分への自信が深まりました」
また、自身の成長だけでなくチームの成長にも確かな手ごたえを感じている。
「D2では一番成長しているチームではないかなと思っています。前節の勝ち方がすごく良かった。いろいろな試合を見てきた僕の経験からですけど、力がついてきたチームの試合運びだったかなと思っています」
チームの成長に負けじと年齢を重ねても山田章仁は常に成長を追い求めてきた。先発出場が増えた今季、安定したパフォーマンスの背景には不断の努力、その濃密さがうかがい知れる。
シーズン終盤に差し掛かり、戦いの場から去ることを選択する者たちの名前も聞こえるようになってきた。山田章仁も堀江翔太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)や田中史朗(NECグリーンロケッツ東葛)といった戦友たちが引退を選択したことに思いを馳せることもあった。
それでも、山田章仁はまだ走り続ける。
「プロ野球もJリーグも開幕して九州のスポーツファンの目がそちらに行きがちですが、今季ホストゲーム最終戦ということで注目してもらいたい。福岡、九州のスポーツファンのみなさんにラグビーの熱が届くようにしたいですね」
誰もが認める九州ラグビー界のトップランナー、その情熱の炎は衰える気配を見せない。
(杉山文宣)
日本製鉄釜石シーウェイブス(D2)
試合前の円陣は「日本語でみんなに伝えたい」。
勝負の一戦へ、サム・ヘンウッドが抱く強い責任感
日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)は4月28日、運命の日を迎える。ディビジョン2 4〜6位 順位決定戦 第2節。東平尾公園博多の森陸上競技場で12時にキックオフする九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)戦は、釜石SWにとってD2残留をかけた一戦となる。
順位決定戦 第1節で釜石SWはレッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)に18対21で敗れた。今季は6位のチームのみ入替戦に臨むが、勝ち点1を得ている釜石SWは今節、相手にボーナスポイントを与えずに勝利すれば残留が確定する。
「RH大阪戦では大事な場面でのミスが多かった。最大の敵は自分たちのようだった。マインドセットをしっかり整えて九州KV戦に臨みたい。チームとしてはまずは勝つこと、そしてボーナスポイントを与えないこと。これができれば、残留できると思っています」
今節に向けての意気込みを話してくれたサム・ヘンウッドは、リーグ戦で唯一の勝利を挙げた第8節の九州KV戦でプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出される活躍を見せるなど、今節もチームをけん引する役割が期待される。
バイスキャプテンのサム・ヘンウッドは、今節も含めて4試合連続でゲームキャプテンを務めている。試合前は円陣を組み、チームメートを鼓舞するが「日本語でみんなに伝えたい」との思いから、試合の数日前、通訳に話し方を教えてもらい、暗記して準備したものを発信。強い責任感と思いを秘める選手でもある。
一方、ラグビー以外の時間は「ラグビーより大変」と笑うパパ業に励んでいる。特に負けた試合から帰ったあとに見る、6カ月の愛娘・スカイちゃんの笑顔や寝顔が何よりの元気の源だ。そして元ラグビー選手の妻は「コーチよりも辛口な言葉で背中を押してくれる」と笑う。
そんな家族の支えを受けながら、いよいよ目の前に迫った勝負の一戦。釜石SWにとってこの上なく大事な“3.11”の前日に挙げた1勝。サム・ヘンウッドはチームメートとともにその再現を目指し、一丸となって九州KVとの大一番に挑む。
(髙橋拓磨)