2024.04.29NTTリーグワン2023-24 D2 4〜6位 順位決定戦 第2節レポート(九州KV 42-32 釜石SW)

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2 4〜6位 順位決定戦 第2節
2024年4月28日(日)12:00 東平尾公園博多の森陸上競技場 (福岡県)
九州電力キューデンヴォルテクス 42-32 日本製鉄釜石シーウェイブス

『NEXT LEVEL』を追い求めてきた成果。
鎌田慎平が重要な試合に出場した価値

九州電力キューデンヴォルテクスの鎌田慎平選手。18番で今季ようやくの初出場を果たした

ディビジョン2 4〜6位順位決定戦第2節。九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)は、日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)に42対32で勝利。九州KVは今季最後のホストゲームでD2残留を確定させ、対する釜石SWは6位でD2/D3入替戦に回ることが決まった。

D2に昇格して臨むシーズン、九州KVは『NEXT LEVEL』をスローガンにスタンダードの向上に努めてきた。この試合でも若い選手たちが躍動して結果を残せば、38歳の山田章仁は「終盤でもスプリントできるでしょ」と2試合連続のフル出場に笑顔で胸を張った。

『NEXT LEVEL』を感じさせた試合で今季初のメンバー入りと出場を果たしたのが鎌田慎平だった。昨季はシーズンをとおして試合に絡んだが、今季は新戦力の加入や自身のひざのけがの影響もあり、スタンドから試合を眺める日々が続いた。

「ひざのけがもあったぶん、逆に自分にしっかりフォーカスすることができました。自分のウィークな部分を強化するための時間にすることができましたし、そのための時間だとポジティブに捉えていました」

もちろん、『NEXT LEVEL』を掲げるチームにおいて、全員がその言葉を意識したことで競争が激しくなっていた事実もある。

「尾池(亨允)さんや新卒の竹部(力)くん、上杉(太郎)くんとプロップにも新しい選手たちが加わって人数も増えました。チームにとっても好循環ですし、チームも自分もレベルを上げることができるとポジティブに捉えていました」

試合に出られないということはチームの競争が激しくなったということ。歓迎すべきことであり、自分自身はグラウンドに立つためにレベルを上げるしかない。だからこそ、鎌田のような立ち位置の選手が重要な試合で出場したことには価値がある。

「普段の練習から手を抜いていたらレベルアップもできないし、評価にもつながらない。まだ、満足はできないですけど日々の積み重ねをやってきて良かったなと思います」

鎌田がこの試合で出場したという事実は『NEXT LEVEL』を追い求めてきたチームの確かな成果だった。

(杉山文宣)

九州電力キューデンヴォルテクス

九州電力キューデンヴォルテクスの今村友基ヘッドコーチ代行(左)、ウォーカー アレックス拓也キャプテン

九州電力キューデンヴォルテクス
今村友基ヘッドコーチ代行

「まずは本日、素晴らしいグラウンドを準備していただいた、試合開催のためにご尽力いただいた方々に感謝を申し上げます。

そして、たくさんのCharger(ファンの呼称)の方々の前で勝利を届けることができたことにチームとして達成感があります。ただ、チームの求めるスタンダードという点では本当に反省すべきところがたくさんありました。来週、もう1試合ありますので、そこで良い終わり方ができるように(したい)。まずは今日、勝ったことをみんなで喜んでいいと思いますが、休み明けからしっかりと最後の試合に向けて良い準備をして、良い終わり方ができるようにしたいと思います」

──「NEXT LEVEL」を今季は掲げていましたが、今日の試合でも若い選手たちの活躍がありました。新たな力の台頭という点については今季、どのような手ごたえがありますか?

「ディビジョン3からD2に昇格して、本当にチャレンジングな1年になることはシーズンのスタートから覚悟していました。そんな中で(前任の)ヘッドコーチが退任になるなど、いろいろあったんですが、若い選手もそうですが、ウォーカー アレックス拓也を中心にリーダー陣に助けられたシーズンでした。何より、リーダー陣が本当に成長したなと感じています。まだまだ伸びシロはあると思いますし、今日の試合を見ていただいても分かるように良い部分はたくさんあったんですが、要所を締めるという部分ではまだまだなところもあります。そこは成長できる部分だと思いますので、最後の試合に向けて、もう一度、成長し続けるということをチーム全員で意識しながら試合までの期間を過ごしていきたいと思います」

九州電力キューデンヴォルテクス
ウォーカー アレックス拓也キャプテン

「まずはこのような素晴らしい試合環境を作ってくださった関係者の皆さま、本当にありがとうございました。

順位決定戦ということでしたが、自分たちは試合のファーストプレーからどんどん前向きに、アグレッシブにいこうと話していました。そこについてはしっかりとできたのかなと思います。ただ、先ほど、(今村友基)ヘッドコーチから話がありましたように反省するところはまだまだありますし、成長できるところもたくさんあります。次の試合では自分たちの持っているもの、この1年間で積み上げてきたものをすべて出せるように練習から全力で一つひとつのプレーに集中して取り組んでいきたいと思っています」

──直近の試合となったレッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)戦はペナルティゴールで着実に加点していきましたが、今日はスクラムを選択する場面がほとんどでした。グラウンド内ではどんな意思統一を図っていたのでしょうか?

「試合前は自分たちの強みであるキックを生かすこととディフェンスをしっかりと機能させる自信がありましたので、『ショットで(得点を)重ねていこう』と話をしていました。ただ、実際に試合に入ってみるとセットピース、スクラムやモールで相手に通用しているという実感がありましたので、これならどんどん得点を重ねることで相手にプレッシャーを掛けていこうと僕やトム・テイラー、ショーン・ロビンソンが試合中のトークで決めていったという形でした」

──今季は人生で初めてのキャプテンに就任しました。D2残留という責任を果たすことができましたが、心境はいかがでしょうか?

「もちろん、素直にうれしいです。D2残留が決定したということで、来季も自分たちがしっかりと成長できる、レベルの高い環境でプレーできることをうれしく思います。達成感もありますが、まだシーズンは終わっていないので、来週1週間しっかり準備をして、RH大阪戦にフォーカスしたいと思います。そこが終わったときに初めて、喜べるというか安心できるのかなと思っています。うれしいですけど、もう1試合頑張ろうという気持ちです」

日本製鉄釜石シーウェイブス

日本製鉄釜石シーウェイブスの須田康夫ヘッドコーチ(左)、サム・ヘンウッド バイスキャプテン

日本製鉄釜石シーウェイブス
須田康夫ヘッドコーチ

「本日の素晴らしい環境でゲームができたことを光栄に思っております。結論から言いますと、やっぱりホストスタジアムで試合ができるのは素晴らしいことだなと感じました。たくさんの九州のファンのみなさんのご声援が素晴らしいなと感じるところもありましたし、移動という部分についてのアドバンテージも相手に見せつけられてしまったかなと感じています。

日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)としましては、少し試合の中でドタバタしてしまう部分がありました。最初は我慢ができて競った試合内容ができていたんですが、途中から我慢比べに負けてしまい、相手に流れを渡してしまいました。そういったところが試合の第3クォーター(後半開始から20分まで)くらいから影響してきたかなと感じています。最後はそのまま流れを変えられずにシンビンも出してしまい、負けてしまいました。終わったことはしょうがないので、入替戦に気持ちを切り替えて修正していきたいなと思います」

──レギュラーシーズンの全日程が終了し、6位という結果になりました。総括と入替戦に向けての意気込みをお願いします。

「レギュラーシーズンは、われわれにとってはタフな結果になってしまいました。シーズンでの勝利は九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)さんとの前回対戦での1勝のみでした。釜石SW単体での話をさせていただきますと、比較した数字を並べると分かると思いますが、昨季よりもスコアやレベルで良くなっている部分は非常に多くなっています。D2のレベルが上がっている中で九州KVさんやRH大阪さんといったチームと切磋琢磨することができて、われわれとしてもレベルが上がったと思います。このディビジョンのレベルではチームとしての我慢比べができないと、この先がないのかなと感じたレギュラーシーズンだったと思います。

次はD3との入替戦になりますが、もちろん、絶対に勝たなければならない試合です。われわれが今季、手に入れた自信もありますので、それを前面に出して勝利したいと思っています」

日本製鉄釜石シーウェイブス
サム・ヘンウッド バイスキャプテン

「とても蒸し暑い気候で釜石とは大きく違いましたが、言い訳はできません。試合については大事なときにミスが多過ぎたと感じていますし、それによって相手のプレッシャーを受ける展開になってしまいました。相手陣の22mラインの内側に入ったときにそこでの我慢比べで負けてしまっていたし、ミスも多かった。それによって自分たちにプレッシャーが掛かる展開になってしまいました」

──レギュラーシーズンの全日程が終了し、6位という結果になりました。総括と入替戦に向けての意気込みをお願いします。

「今日、勝つつもりでここに来ましたので、先のこと(入替戦)はあまり考えていませんでした。負けてしまいましたが、この先の3週間、また仲間と一緒にいられることをうれしく思います。(須田康夫ヘッドコーチの)繰り返しになりますが、入替戦ではしっかり結果を出したいと思っています。今日は残念な結果でしたが、まだ仲間たちと一緒に過ごすことができることへのうれしい気持ちもあります」


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