NTT ジャパンラグビー リーグワン 2023-24 プレーオフトーナメント決勝
2024年5月26日(日)15:05 国立競技場 (東京都)
埼玉パナソニックワイルドナイツ vs 東芝ブレイブルーパス東京
埼玉パナソニックワイルドナイツ(D1 カンファレンスB)
考えてきたのは「一戦ごとの成長」。
その先に『王座奪還』があると信じて
昨年5月、埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)はプレーオフトーナメント決勝でクボタスピアーズ船橋・東京ベイに敗れてリーグワン2連覇を逃した。試合後、坂手淳史キャプテンは「来年、またここに戻ってくる」と話して国立競技場をあとにした。あれから1年、チームは再び決勝の舞台に戻ってきた。
今季のテーマは『王座奪還』。埼玉WKは開幕から連勝街道を突っ走った。簡単なゲームは1試合もなかったが、リーグ戦の結果は16戦全勝。坂手は「今季は誰がゲームに出ても“埼玉WKのラグビー”を体現できた。チームの進化が結果につながっている」と俯瞰した。
プレーオフトーナメント準決勝・横浜キヤノンイーグルス戦は、これまでと比べても極めて難しい展開となった。竹山晃暉、ジャック・コーネルセンのトライなどで13対3とリードして前半を終えたものの後半に2トライを奪われて一時は13対17のビハインドに。昨季の決勝を思い起こすようなイヤな流れだった。
だが、個人でもがくのではなく、組織で戦うことで20対17の逆転勝利につなげた。そして決勝の相手は、リーチ マイケル キャプテンが率いる東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)に決まった。埼玉WKはBL東京に対して、2015-2016シーズンのジャパンラグビー トップリーグ順位決定トーナメント LIXIL CUP 2016決勝で勝利して以降、10連勝中(リーグ戦では9連勝中)。しかし、優勝が懸かったプレーオフトーナメントの一発勝負では過去のデータはあまり意味をなさない。
坂手は「BL東京戦はセットピースと、試合での修正力がカギになる。リーチ選手は経験があって大舞台に強い選手。ただ、リーチ選手一人と戦うわけではないので、チームとしてどう戦うかが大切だ」と語った。
この決勝戦は、引退を発表している堀江翔太、内田啓介の国内ラストマッチでもある(注・堀江は6月にイギリスで世界選抜チームであるバーバリアンズの一員としてフィジー戦に臨む)。「最後の試合だが、二人とも勝つために必要な戦力。僕たちも、二人の気持ちに負けないプレーを見せたいと思います」。
『王座奪還』まで“あと1勝”。すべてはファイナルで勝つために戦ってきた。「『王座奪還』は最終目標だが、一戦一戦、自分たちが成長することだけを考えてきた。準決勝の勝利で、また1試合、成長できる時間をもらった。最後の瞬間まで全員で成長していくだけ」。坂手、そして埼玉WKは進化の先にある栄光をつかむために国立競技場のフィールドに立つ。
(伊藤寿学)
東芝ブレイブルーパス東京(D1 カンファレンスA)
「楽しみながら、怖がらずに戦うこと」。
優勝請負人、リッチー・モウンガの矜持
東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)は5月26日、プレーオフトーナメント決勝で埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)と、国立競技場で対戦する。
両チームはレギュラーシーズンでは3月9日の第9節で対戦し、埼玉WKが36対24で勝利を収めている。
運命の決勝を前にしても、リッチー・モウンガは落ち着いていた。今季のBL東京を躍進させた世界最高峰の司令塔は、22日の練習後の取材に穏やかな笑みを浮かべながら対応した。
「このチームに関わっているみんなにとって本当にワクワクする状態です。自分たちにチャンスがあることに感謝しています」
リーグワンで3季連続プレーオフトーナメント決勝進出の埼玉WKに対し、BL東京はジャパンラグビー トップリーグ時代の2015-2016シーズン以来8季ぶりの決勝進出となる。ニュージーランド代表56キャップを誇るリッチー・モウンガは、埼玉WKについて「しっかりコーチングされていて(チームとしての方向性が定まっていて)、決勝戦の経験も豊富で、勝負を決める“Xファクター”もいます。本当に素晴らしいチームです」と敬意を示す。
ただ、リッチー・モウンガはBL東京のチームメートに自信を持っている。
「選手たちは毎週成長しています。佐々木剛は素晴らしい活躍を見せていますし、ワーナー・ディアンズや原田衛もリーダーとして頑張っています。杉山優平はスキルを向上させています。桑山淳生は毎試合どんどん良くなっています。自信を持っている状態でパフォーマンスできているのが素晴らしいです」
ラグビーワールドカップに2大会連続で出場し、スーパーラグビー・パシフィックではクルセイダーズの7連覇に貢献と、数々の大舞台を経験してきたリッチー・モウンガは、BL東京が決勝で勝つために必要なことを問われるとキッパリとこう答えた。
「決勝のプレッシャーがあることは当然分かっていますが、自分たちが楽しみながら、怖がらずに戦うことです。後悔のない状態で試合を終えたいと思います」
(安実剛士)