2025.01.19NTTリーグワン2024-25 D2 第4節レポート(S愛知 42-0 GR東葛)

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第4節
2025年1月18日(土)12:00 ウェーブスタジアム刈谷 (愛知県)
豊田自動織機シャトルズ愛知 42-0 NECグリーンロケッツ東葛

心を入れ替え、自分と向き合った努力の結晶トライ

後半32分から出場した豊田自動織機シャトルズ愛知のプロップ、イエレミア・マタエナ選手

注目の上位対決となった豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)とNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)の一戦は、S愛知が42対0でGR東葛を下し、完封勝利を収めた。

S愛知にとって会心の勝利だった。試合開始から50秒足らずでトライを奪うと、以降も試合を支配し続け、最終的には今季初となる勝ち点5を獲得した。混戦模様のディビジョン2において、昇格を争うライバルからボーナスポイントを得た価値は高い。

完勝の要因は、セットピースの安定と強固なディフェンスの二つ。特にこれまで課題としていたスクラムでは、相手のペナルティを誘発させるなど改善を見せた。プロップで先発出場した高橋信之は「フロントローの3人の頑張りと、バックローの選手の重みで、相手にダメージを与えられた」と好感触を得た様子だった。

その高橋からのバトンを受けて途中出場を果たしたのは、イエレミア・マタエナ。昨季に花園近鉄ライナーズから加入したものの、ここまで公式戦の出場はなく、今節がS愛知でのファーストキャップとなった。

試合に出られない間はさまざまな葛藤があったというマタエナ。当時は徳野洋一ヘッドコーチいわく「ポテンシャルはある選手だけれども、プロフェッショナルとしては未熟だった」。その意識が今季のプレシーズンで変わった。徳野ヘッドコーチは「表向きは『自らの意思で』と言いたいけど、僕に思いっきり怒られたからじゃないですか(笑)」とそのきっかけを明かす。本人も苦笑いをしながら、「もっと練習を重ねてレベルアップしないと、このままではダメだと思った」と気持ちを入れ替え、自分と向き合った。

そんなマタエナの努力を、ラグビーの神様も見守っていたのだろうか。後半38分、トライライン手前でマタエナがボールを受けると、複数選手にタックルをされながらもボールをねじ込み、トライ。すでに試合のすう勢は決まっていたが、この日一番大きな歓喜の輪ができ、チームメートがマタエナを祝福した。

わずかな出場時間ながら、1トライのパフォーマンスをみせた

チーム内の競争に努力を惜しまず挑んでいれば、必ずやリーグワンのグラウンドに立てる。マタエナがそれを証明してくれた一日だった。

(齋藤弦)

豊田自動織機シャトルズ愛知

豊田自動織機シャトルズ愛知の徳野洋一ヘッドコーチ(左)、ジェームズ・ガスケル共同キャプテン

豊田自動織機シャトルズ愛知
徳野洋一ヘッドコーチ

「今季二度目のホストゲームということで、素晴らしい環境とたくさんのファンの方々の前で試合ができたことをうれしく思っております。ありがとうございます。試合の内容につきましては、本当に素晴らしい内容だったかなと思っています。特に無失点で抑えることができたことで、その点はチームの大きな成長を感じられましたし、キャプテンをはじめとするリーダーグループ、そして選手自身が前へ進んだ結果だと思っています。コーチサイドとしては特に大きな変化はなく、選手自身がつかみとった結果ですので、選手たちを称えてあげたいなと思っております。本日はありがとうございました」

──ディフェンス面で良かった点を教えてください。

「まずラインアウトのディフェンスが素晴らしかったです。またスクラムのところでは開幕から苦しんでいた中で、そこでのディフェンスも素晴らしかったです。あとは接点の部分などでしっかりと決断を下しながら、自分たちの速いディフェンスに対して一貫性をもってできたというところが良かったです」

──プレシーズンから取り組んだことが成果として表れたのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?

「そうですね。今日の内容は素晴らしかったと思っていますし、この4試合の中で試合ごとに成長を実感できています。私自身、このぐらいの力があるチームということは誰よりもチームの近くにいる人間として自信をもっている部分があります。徐々にそういった力がリーグ戦の中で発揮できるようになってきました。チームが殻を破りつつあるのかなというところで、これからの成長がさらに楽しみです」

──土居大吾選手がリーグワン初出場、イエレミア・マタエナ選手がチームファーストキャップを獲得しました。

「ファーストキャップを獲得する選手が今季多数いるというのは、このチームが経験を積んで成長してきている証でもありますし、われわれはそこを大切にしていくビジョンがある中で、それが表現できているのはチームとしてとても良いことだと思います。彼ら自身がこの大舞台でパフォーマンスして輝くこと自体が、チームにさらにエネルギーを与えますし、まだデビューしていない選手や23人に入れないメンバーもいるので、そういったメンバーに対しても、誰にでもチャンスがあるという大きなメッセージにもなると思います」

豊田自動織機シャトルズ愛知
ジェームズ・ガスケル 共同キャプテン

「第2節のレッドハリケーンズ大阪戦から、後半の戦い方はすごく成長したと感じます。試合全体をマネジメントしていくところが成長を感じたところです。前節からの成長としても、フロントローの頑張りや80分間ハードワークできたところは選手たちを誇りに思います」

──ラインアウトでの安定感が光りました。どんなところを意識しましたか。

「相手には背の高い選手や強い選手がいるので、スピード感やディテールにこだわることにフォーカスしていました。ディフェンスであればしっかり相手にプレッシャーを与えて、ボールをスティール(ジャッカル)することを意識してきました。プレシーズンでハードに頑張ってきたところが出たかなと思います」

──逆転負けを喫した前々節の経験から、後半に向けて選手たちにどんな言葉を掛けましたか。

「非常にシンプルです。『われわれは40分で終わるチームなのか、80分間プレーし続けるチームなのか』というのを伝えました」

NECグリーンロケッツ東葛

NECグリーンロケッツ東葛のウェイン・ピヴァック ヘッドコーチ(左)、マリティノ・ネマニ バイスキャプテン

NECグリーンロケッツ東葛
ウェイン・ピヴァック ヘッドコーチ

「非常に残念に思っています。どんなレベルのラグビーでも、こういった負け方をするのはとても残念なことです。自分たちのゲームを今日はできなかったなと思っていて、特に前半ですが、相手にチャンスを与えてしまったなと思っています。チャンスをしっかりモノにしたのが豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)さんでした。特別なことをしたわけではないと思っていますが、良いチームというのはそういったチャンスをしっかりモノにできるチームだと思っています。後半はスコアを追う形でのスタートでしたので、どうして前半はああいったパフォーマンスになってしまったのかを考えていきます。

ビジターでの試合でこういった良くない結果というのは今節で2試合目なので、この傾向を早くひっくり返さないといけないと思っています。今日のパフォーマンスより絶対にわれわれは良いチームだと思っていますし、しっかりレビューをして、次の試合に向けてハードワークをし続けます。

最後に、S愛知さんのパフォーマンスが素晴らしかったという言葉を残したいと思います。本当に一貫性のあるパフォーマンスを80分続けたと思いました」

──前半は得意としているアタックを出せなかった印象です。どういったことが要因だとお考えですか。

「前半を見ていくと、ポゼッションのスタッツはわれわれが55%、テリトリー獲得が75%程度だったと記憶しています。これがどういうことかというと、優位な状況でボールを持って、エリアを取ることもできていましたが、やはりエラーが多すぎたと思っています。要因としては、ラインアウトでのエラーやターンオーバー、ハンドリングミスによってボールを失ってしまう、そういったエラーの多さが要因だったと思っています。そのエラーの多さを相手がうまく利用して、スコアにつなげられてしまいました。課題としては、ボールをしっかり見切って、規律を正すことかなと思っています」

NECグリーンロケッツ東葛
マリティノ・ネマニ バイスキャプテン

「これがスポーツだなという感想です。勝つときもあれば、負けるときもあるし、引き分けるときもあります。本日に関してはS愛知のほうが上回っていたと思います。規律をもって戦ってきたのがS愛知で、一歩遅れを取っていたのがわれわれだったという印象です。もちろんS愛知さんが勝利に値すると思います」

──こういった敗戦から何を学び、再び立ち上がるためにはどんなことが大切ですか。

「私たちは小さいスコッドですから、しっかりと基礎的な部分にまずは立ち返る必要があると思っています。犯したミスから学ぶということ、ブレイクダウンで強度を高めていくこと。規律やハンドリングエラーを含めた、全体的なミスから学ぶということが大事だと思います。

日本で過ごした今までのキャリアの中で、今季が一番激戦のシーズンになってきていて、試合の準備やゲーム中の姿勢が少しでも崩れると、どんなチームにも負ける可能性があるし、逆にどんなチームにも勝つ可能性があると思っています。課題を知って、学んで、より良いチームになることにフォーカスしていきます」

──ウェイン・ピヴァック ヘッドコーチがおっしゃっていたように、ビジターゲームで苦戦を強いられています。選手目線ではホストゲームと違いを感じるところはありますか。

「大事だと思うところは、移動をして試合に臨むということで、家族やいつも周りにあるものから離れるので、メンタルを正して試合に向かうところが非常にカギになってくると思います。しっかりと同じ態度、同じ気持ちで、一貫性をもってプレーすることが大事だと思います」

試合詳細

見どころ・試合レポート一覧