NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第6節
2025年2月16日(日)12:00 太田市運動公園陸上競技場 (群馬県)
ヤクルトレビンズ戸田 vs ルリーロ福岡
ルリーロ福岡(D3)

リーグワン初参戦のルリーロ福岡(以下、LR福岡)は、1巡目の対戦を終えて5連敗。それでも豊田将万ヘッドコーチは「収穫しかなかった」と前向きに語る。特に明確になった課題がフィジカルコンタクトだ。タックルや接点での攻防はもちろん、規律を守る重要性もあらためて浮き彫りになった。
ただ、規律の徹底は簡単ではない。72名の大所帯のチームには、リーグワン経験者もいれば、大学・高校を卒業したばかりの選手もいる。当然、実力や経験にばらつきがあり、試合に出る選手とそうでない選手ではモチベーションも異なる。
そんなチームの空気を変えたのが、今季から加入した香川凛人だった。宗像サニックスブルースからオーストラリアのクラブへ渡ったが、アキレス腱断裂の大けがを負い帰国。一時は引退を考えたものの、再起をかけLR福岡に加わった。そして第5節で復帰し、完全復活を遂げた。
香川は厳しくも率直に言い放った。「楽しくラグビーをしたいのはみんなと同じ。ただ、『楽しい』というのは『勝つこと』。やるべきことをやれよと言いました。試合に出る、出ないでメンタルが左右されるなら、やりたくないなら練習に来なくていい。ここにいる以上はやるべきことをやれよ、と」。この言葉が、チームの意識を変えた。課題となる部分をクリアできなければ試合に出られない──。このルールが、ついにチームのスタンダードとなった。
香川は10番と12番をこなせる選手だが、「ポジションにはこだわらない。12番でプレーするときは10番の仕事をもう一人できる選手がグラウンドにいるイメージ」と語る。今節では「キックパスやボールを動かすプレーなど、今までの12番ではできなかったプレーをしていきたい」と意欲を見せる。
現在、5連敗中のLR福岡には、ミスへの過敏な反応やプレーに対する積極性の欠如が見られる。しかし、香川は「チームで戦うこと」の重要性を強調し、プレースタイルの幅を広げることで勝利への道を切り拓こうとしている。
香川の言葉とプレーには、ラグビーを「楽しむ」ことの本質がにじみ出ている。それは単なる娯楽ではなく、「勝つこと」を目指す中で生まれる充実感だ。次の試合では、その信念を体現するプレーを見せてくれるだろう。香川の活躍が、LR福岡に勝利をもたらす第一歩となるかもしれない。
(柚野真也)