2025.03.16 NTTリーグワン2024-25 D1 第11節レポート(神戸S 47-5 三重H)

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第11節(交流戦)
2025年3月15日(土)14:30 神戸総合運動公園ユニバー記念競技場 (兵庫県)
コベルコ神戸スティーラーズ 47-5 三重ホンダヒート

圧勝劇を演出した頼もしきランナー。大胆かつ豪快な“赤のマイキー”の無双状態は続く

コベルコ神戸スティーラーズのマイケル・リトル選手

コベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)は15日、本拠地の神戸総合運動公園ユニバー記念競技場で三重ホンダヒートを迎撃。計7トライを奪う猛攻の末、47対5の圧勝を飾り、6位から5位に順位を上げた。

走り、戦い、倒し、奪う――。

一人で何役もこなす活躍ぶりを見せたマイケル・リトル。二つのトライを含めた破格のパフォーマンスでチームの勝利に大きく貢献した。

この日も2トライを上げるなど活躍した

「80分間、プレーできただけで偉いのかな(笑)。(ポジション争いを)生き残れてしっかりプレーできた自分をまず褒めてあげたいなという気持ちです」

殊勝な言葉で振り返った今節の13番だが、その言葉と印象を対にするように、今季のリトルは出場する試合ごとに「今節のプレーヤー・オブ・ザ・マッチはリトルでは?」と感じさせる迫力あるプレーを続けてきた。まさに‟無双”の二文字がピタリとハマるが、その原動力とは何か。

「常に『ベストを尽くす』ことが好調の理由になっているのかなと思います。メンバーから落とされたくないのが本音なんですけどね(笑)。明日(※試合翌日の3月16日)、また練習試合がありますし、そこで自分よりもいいパフォーマンスをしている人がいたら自分を押しのけてメンバーに入ってくるかもしれません。ポジション争いは激しいものですから、とにかく、ベストを尽くすという気持ちでやらせてもらっています」

大胆かつ豪快なプレー、その反面で見せる大らかで優しい心のもちよう。それはプライベートでも同様だ。試合前日の3月14日、自身の32歳のバースデーは家族と一緒に過ごせたよう。「いつもスタンドにいて試合を観に来てくれています。そこにいてくれることによって『頑張らな』となる(笑)。不思議と力は出てきますよね」。その笑顔にはいっぱいの幸福感があった。

「準備から勝つつもりで1週間、1週間、大事に臨むこと。そこは地道にやるしかないところです。それにトップチーム相手にどれだけの試合ができるか、勝っていけるかが上位に食い込んでいくためには必要なことです」

浮かれる様子もなく、勝ってなお次の勝利に視線を向けた‟赤のマイキー”。愛妻家にして子供たちのヒーローは、神戸S自慢の頼もしすぎるランナーだ。

(小野慶太)

コベルコ神戸スティーラーズ

コベルコ神戸スティーラーズのデイブ・レニー ヘッドコーチ(左)、李 承信 共同キャプテン

コベルコ神戸スティーラーズ
デイブ・レニー ヘッドコーチ

「こんにちは。結果に関してはハッピーです。ここ最近、私たちの中でも話していたことですが、前半、後半通じて自分たちの流れがある時間帯が多かったので一貫性をもったパフォーマンスを出せたかなと思います。しっかりといいテリトリーでプレーすることができたと思うので、そこの部分に関して満足しています。アタック、オフロードの部分も素晴らしかったと思います。しっかり前を見ながらチャンスを見つけてのプレーも良かったと思います。ペナルティでノートライになりましたが、一つ目のプレー関しては、素晴らしいトライだなと思いました。そういった形の前を向いた状況でのいいトライも多かったかなと思います。ただ、自分たちが100%のパフォーマンスを出しているかと言えばそうではないと思います。まだまだ成長できる幅はあります。それでも、このタフな大会になっている中でしっかり勝ち点を積み重ねることができたのは良かったと思います」

──ソロモネ・フナキ選手が初先発し、上村樹輝選手がリーグワンデビューをしました。二人の起用の意図や評価について教えてください。

「彼らだけではなくほかのアーリーエントリーの選手もそうなんですけど、しっかりとどういうふうに成長できるか、関われる機会が長い時間ありました。『1月にチームに参加したときにそこから準備を始めるのではなく、ポジション争いに最初から参加できる状態で来てほしい』と話した上で準備してもらいました。この二人がメンバーに入ってもらっていることに関して自分はとてもハッピーです。

フナキに関してはアグレッシブさもあり、スティール(ジャッカル)やタックル後の存在感も出せる選手です。ただ、まだまだ学んでいる途中の選手だとも思っています。上村についてですが、有能な選手です。パスキックのスキルも高いですし、ラックに到達するスピードも速いです。二人がメンバーに選ばれていることは自分にとってはハッピーです。チームの中でポジション争い、競争意識を作っていきたいこともあり、自分たちのノンメンバーのことを『サラマンダーズ』と呼んでいますが、そのサラマンダーズの中でいいパフォーマンスをした選手に対しては、しっかりとチャンスを与えていきたいと思っているので、そういう形で二人がチャンスを得られて良かったです。明日に関しても三重ホンダヒートさんとの『サラマンダーズマッチ』があるので、そこでもまた新しい選手にいいパフォーマンスを出してもらえればと。彼らにとっても自分たちに対してアピールするいいチャンスになると思います」

──二人がさらにチームに重要な存在になっていくために求めていきたいことを教えてください。

「取り組む姿勢に関しては二人とも素晴らしいものをもっていて、ハードワークする準備もできています。学ぶ姿勢もすでに高いものをもっていますが、自分たちは幸運なことにチームにいる人間もいい人間が多く、ベテランの選手たちも時間を割きながら知識の部分や経験をシェアしようとしてくれています。ただ、一番大事なのは結局、パフォーマンスだと思います。パフォーマンスを出せないと、いいプレーヤーにはなっていけないと思うので。今日の試合に関して二人はいいインパクトを残したとは思っています」

コベルコ神戸スティーラーズ
李承信 共同キャプテン

「今日のテーマとしてまず試合の入り、スタートのところでいいスタートを切って自分たちのモメンタム、相手に何も与えないというテーマがありました。過去数試合はフィニッシュのところで相手にまた流れを与えて自分たちが負けるという教訓から、『80分間とおして相手を圧倒し続ける』というテーマがあって、スコアを見ても本当にそこは成長できたと思います。仕留め切れるチャンスや自分たちが作ったチャンスを、オフロードのミスや状況判断のところで相手にまたチャンスを与えてしまったところがあるので、自分たちが相手を圧倒できるシーンがある中でスコアを取り切れなかったところは今後さらに成長させていくべきところかなと思います」

──自身のトライシーンは、1対1のディフェンスをはじいてそのあとのタックルも相手を引きずってという感じでしたが、フィジカル面の手ごたえは感じていますか。

「そこまで何かを変えたというのはないですけど、あのプレーは(前節の)埼玉パナソニックワイルドナイツ戦でもまったく同じシチュエーションがあって、相手ディフェンスがどう動いてくるのか学びました。スクラムハーフと1対1ができる中で、スクラムのところから相手が流れたら自分は1対1で勝負をしようと思っていたので、思い切ってプレーできたのも良かったですし、足の調子もコンディションも上がってきたので、そこは自分の強みをどんどん出せていけていると思います」

──けがをしているときは「ピッチ外から客観的に試合を見ていた」と話していました。いまどのように生かされていますか。

「けが前は10番でプレーすることが多かったのですが、いまは12番やアウトサイドでプレーすることが多い中で、よりどういうコミュニケーションが必要か、特にキックスペース、エッジのスペース、ショートサイドのスペースのところをどれだけ自分がオーガナイズできるかを考えています。試合中や日々の練習の中で、しっかり映像を見ながら学べているので、そこはもっともっと成長していけたらと思います」

──後半、崩れなかった要因はどこにありますか。

「まずフォワードがフィジカルでドミネートしてくれたのが大きかったですし、そこで(ブロディ・)レタリックを筆頭にディシプリン、規律のところ、しっかりと絡みに行けるところ、オフサイドラインをしっかり見極めよう、という話が出ていました。過去を見ても規律から乱れがあったので、自分たちは学んで、何をどうすべきかを話せていたので、それが要因なのかなと思います」

三重ホンダヒート

三重ホンダヒートのキアラン・クローリー ヘッドコーチ(左)、パブロ・マテーラ ゲームキャプテン

三重ホンダヒート
キアラン・クローリー ヘッドコーチ

「今日に関しては正直、全然良くなかったですね。前半に関しては自分たちがテリトリーを取れていない中でプレーも全然できなかった部分がありました。タックルでもしっかりアジャストしないといけない場面でアジャストし切れずにトライを簡単に奪われてしまいました。後半に関しても若干、良くはなるかなと見ていましたけど、結局、最後は自分たちの能力を出し切れずに終わったという印象です」

──試合開始前に強い風が吹いていたり、気温が下がったり、環境の変化もあったと思います。後半、風上になるはずだったのに風向きが変わってしまったところもあったと思いますが、そういった影響はありましたか。

「正直に言うと影響はまったく自分たちにとってはなかったと思います。どちらも同じ環境でやっているので。ただ、今日という日にうまく対応したのは相手だったという印象です」

──コベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)に対してどういうゲームプランを考えていましたか。

「今回の試合だけではなく、ほかの試合でもやっぱり相手の分析をしてどこを攻めたいというのがあって。それはチャレンジングなものになりますが、分析の結果からカウンターアタックがとても武器になっているチームという印象があったので、できるだけ自分たちはそういう機会を与えたくないと思って戦っていました。あともう一つ挙げるならフィジカルの部分です。フィジカルで負けていたがゆえに自分たちのしたいプレーを相手にさせてもらえなかったという印象があるので、自分たちはそういうところから(フィジカルなどを)出していかないと次の試合もうまくいかないと思います。神戸Sはとてもいいチームだなと思っていて、プレーオフトーナメントにも入るようなチームだと思っています。一回、けっこうな大差で負けているような試合を見ましたが、ほかのゲームでも勝てたような試合をしていたので、強いチームだなと前々から思っていました」

三重ホンダヒート
パブロ・マテーラ ゲームキャプテン

「正直、相手のアタックが良かったという印象も受けましたけど、キックからすぐにトライを取られた場面があったり、フェーズを重ねてもトライを取られたり、相手がフェーズを重ねたときに自分たちがディフェンスとしてのコネクションを失ってしまったことでミスタックルとかを起こしたりしたことがトライを許すことにつながってしまったと思っています。自分たちの能力からすると今日の試合の内容は、全然良くなかったと思いますけど、相手のアタックも良かったと思います」

──流れに乗れなかった試合だと思いますが、次に生かせるポイントはどういうところでしょうか。

「自分も正直、試合が終わったばかりで残念な気持ちであまり考えられていないのはあるのですが、ミスタックルの数が今季の試合の中でも一番多かったと思います。自分たちのスタンダードはこんなところではないし、もちろん神戸Sがいいアタックをすることは試合前から分かっていました。自分たちは次の試合までに早くミスタックルなどの修正をしたいと思います」

──ヘッドコーチがフィジカルの話をしていましたが、ブレイクダウンで前半、ペナルティが多くなりました。その攻防の印象を教えてください。

「印象としては、自分たちは人数を掛けないと対処できなかった。試合前からキーポイントになると思っていましたが、思ったよりもブレイクダウン周りでプレッシャーを掛けられて、自分たちのアタックの場面でもボールをスローボールにさせられてうまくアタックが機能しなかったのがあります」

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