2025.03.31NTTリーグワン2024-25 D2 第10節レポート(花園L 33-5 日野RD)

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン2 第10節
2025年3月29日(土)14:30 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)
花園近鉄ライナーズ 33-5 日野レッドドルフィンズ

チームの充実ぶりを物語る、不動のレギュラーではなかった男たちの躍動

先発での出場機会が増えていくか。花園近鉄ライナーズの左プロップ、岡本慎太郎選手

花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)が日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)を33対5で下して、今季初の“ホストゲーム連勝”を飾った。

「私たちのフォワードの強み、ストレングスの強みを生かしていこうという話でゲームをしました」と向井昭吾ヘッドコーチが試合後に明かしたプランどおりの80分間だった。

前半28分にラインアウトモールからトライをゲットした松田一真がプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれたが、この日の花園Lの強さを象徴したのが試合の流れを決定付けた前半40分のスクラムトライの場面だった。トライライン近くのスクラムで日野RDを圧倒し、アキラ・イオアネがチーム3つ目のトライを決めて、突き放した。

フロントローの中心としてスクラムを支える松田が「愚直なプレーで絶対にサボることがない。信頼できる人です」と絶賛したのが、左隣でプレーする岡本慎太郎である。

静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)から今季、花園Lに移籍してきた岡本は開幕から出場機会はつかみ続けていたが、レギュラーという立ち位置には遠かった。第9節の日本製鉄釜石シーウェイブス戦(以下、釜石SW)で当初、1番で先発する予定だった田中健太が負傷したことで急きょ、出番を得た岡本は今季2試合目の先発で躍動。攻守に貢献したことが日野RD戦での先発につながった。

帝京大学時代からスクラムには強いこだわりを持つ岡本。「静岡BRのスクラムとは違っているので、そこにコミットするのが大変でした」と移籍1年目ならではの難しさを口にしたが、変わらなかったモノは自らの信念である。

「僕がスタートだろうが、リザーブだろうが自分がやるべきことは変わりませんし、自分のプレースタイルも変わらないんです」と岡本は言う。岡本の忠実なプレーのすごみについて、松田が再び証言してくれた。

「あの人は僕の隣にいて、どれだけキツくてもラクなほうに体が流れない。それは横にいて感じます」

かつて“スクラムの近鉄”と呼ばれたチームの伝統は、いまでも確かに受け継がれている。

松田が岡本を絶賛するのと同様に、岡本も「POTM(プレーヤー・オブ・ザ・マッチ)を取った松田がよくコミュニケーションを取ってくれるので、僕は自分のことに集中できるというやりやすさがありました」と信頼を寄せる。

好選手が多い花園Lのフロントローだが、必ずしも不動のレギュラーではなかった男たちの躍動がチームの充実ぶりを物語っている。

(下薗昌記)

花園近鉄ライナーズ

花園近鉄ライナーズの向井昭吾ヘッドコーチ(左)、パトリック・タファ キャプテン

花園近鉄ライナーズ
向井昭吾ヘッドコーチ

「今日はありがとうございました。何とか連勝することができました。今日は対戦相手を見て、私たちのフォワードの強み、ストレングスの強みを生かしていこうという話でゲームをしましたけれども、あまりにもスローペースなゲーム展開でした。なかなか点は入りませんでしたけども、そのぶん、相手にも得点は取らせないという、みんなのワークレートも高くて、私の思ったようなゲームができたかなと思います。(試合の)キーはやっぱりスクラムで、相手に流れがいきそうなときにペナルティを取ってくれたフォワードのところが非常に今日は良かったと思います。これから一つブレイク(休養)してまた次のゲームでは必ず得点を重ねて私たちのポジションを一つずつ上げていきたいなと思っています」

──ここのところ試合のたびに失点が減ってきて、向井ヘッドコーチが考えている失点の少ない戦いができていますが、その要因をどう見ていますか。

「タックル後に人数が重なれば、重なるほどペナルティは増えるんですよね。そこの見極めがだんだん、良くなってきて、タックルをしたら一人だけしか入らないで、次のディフェンスに構えています。基本的にラグビーは立ってプレーするので、立ったプレーヤーが多くなってきたところが、失点が少なくなった要因だと思います」

──上位対決が残っていますが、今後に向けての課題があれば教えてください。

「先ほどキャプテンも話をしてくれましたけども、ディフェンスについては安定してきたというところと、アタックについてはラインアウトからのモールの継続が今日も何回かできないところがありましたので、アタックにおいてボールを継続して3フェーズ、4フェーズを重ねた中でしっかりスペースを作ってトライが生まれたシーンがあったと思いますけれども、ああいうシーンまでしっかりもっていけるようにしていかないといけない。入替戦まで行ったときに、もっともっとプレッシャーが掛かるような場面が起こってくるので、ブレイクダウンの厳しさに関してはもっと高めていきたいなと思います」

──攻め込んだときに自らのペナルティから攻め込まれる場面が何回かありましたが、その要因をどう考えていますか。

「キャリアーの持ち込み方だと思うんですよね。ボールがなかなか出ないところについて、そこでペナルティが起こるのはキャリアーがやっぱり7割か8割(原因がある)。キャリアーのコンタクトが悪くて、相手に懐に入られて上を向いてしまって、自分たちの形のボールの出し方ができないことや、あとはサポートが遅くなることもあります。(原因は)キャリアーが8割、あとのプレーヤーが2割というような形だと思っています。上で(試合を)見ているとキャリアーはうまくやっているけど、サポートがやっぱり遅いところがあって、そのへんの厳しさというか、精度をもっと高めていきたいと思います」

花園近鉄ライナーズ
パトリック・タファ キャプテン

「まずは80分間をとおしてタフな試合が続きました。先ほどヘッドコーチが言ったように前半はスローな立ち上がりとなってしまいました。しかし、フォワードがしっかりとゲームで仕事をできたことが勝ちにつながったんだと思います。セットピースもしっかりとやっていこうという話で今週は取り組んできて、そこからフォワードでモメンタムを作ることができました。そして、インパクトを試合で出すことができました。規律のところもうまくいったと思いますし、アタックに関しては引き続き安定したアタックをやっていきたいと思っています」

日野レッドドルフィンズ

日野レッドドルフィンズの苑田右二ヘッドコーチ(左)、中鹿 駿バイスキャプテン

日野レッドドルフィンズ
苑田右二ヘッドコーチ

「本日は、ラグビーの聖地である花園ラグビー場という素晴らしい環境の中でラグビーできたことについて、また準備していただいた皆さまに感謝を申し上げます。試合のほうは、前半から規律の部分でペナルティが重なったり、セットピースでのミスが起きたり、チャンスのところで少しエラーが起きて花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)さんにチャンスを与えてしまって、われわれが意図したゲームにならなかったのが敗因になったと思います。今日の試合の中で起きたことをしっかりと明確にして、それを改善して次の九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)戦ではさらに成長した形で試合に臨めるように準備していきたいと思います」

──試合前のプランはどのようなものだったのでしょうか。

「大きなフォワードの選手が多い花園Lさんはディフェンスに特長があって、そこで立ち遅れている中で、われわれが攻撃的にスペースにアタックしていきたかったんですけども、コンタクトエリアのところで人が持ち上げられたり、ちょっとスローダウンさせられる場面が多くて、そのプレッシャーの中でちょっと急いでしまってミスが起きたというような場面がありました。そのへんでもう少しテンポよくボールを動かせて、フィニッシュできていればわれわれのチャンスが多かったのかなと思います。後半の初めにトライを取ったように、そして後半の最後のほうのアタックのイメージでボールを動かしたかったんですけど、うまくテンポを遅らされる場面があったので、ちょっとうまくいかなかったところがあったと思います」

──前回の対戦ではディフェンスが前に出ていた印象だったのですが、今日はそれができなかったということでしょうか。

「そうですね、80分間をとおしていい場面もあったんですけども、80分間をとおしてできなかったところもありました。われわれのプランを遂行できなかったということだと思います」

──今日は石本拓巳選手がリーグワン初出場・初先発でしたが、起用の意図と評価を教えて下さい。

「チームとしてアグレッシブにプレーしたいという部分も含めて、新たな勢いのある力を入れることで、チームの勢いが増すというふうに思いました。その期待どおりに彼は自分の強みのスピードを生かして何度もチャンスメーク、アタックをしていた場面がありました。今日、フィニッシャーで入ったメンバーたちもチームを勢い付けてくれていました。そういうメンバーたちがいることでチームに競争が生まれて、さらにチームが成長していくと思うので、新たな力というのはチームにとって非常に大きかったと思います」

日野レッドドルフィンズ
中鹿駿バイスキャプテン

「今日は大学生のとき以来、花園で試合ができたことを本当にうれしく思います。今日は、いいスティールとかいいディフェンスから、相手のミスを誘えて流れが来そうなところがあったんですけども、そこでつかみ切れず、そのあとにミスを繰り返してしまって、トライを取り切れなかった、フィニッシュし切れなかったところが一番の敗因と思っています。ほかにもやっぱりセットピースで、ラインアウトは良かったんですけど、スクラムで差がありました。再来週には九州KVとの試合があるので今回の試合を糧にさらに成長したいと思います」

──先ほどスクラムの差があったと話をされました。スクラムトライも取られましたが、花園Lのスクラムについての印象を聞かせてください。

「やっぱり、ヒットしたあとに重さが来るなという印象でした。自分たちのスクラムはヒットからいいインパクトで、いいスクラムを組めるんですけど、ヒットしたあと、あちらの重さが伝わって来て、(こちらの重さが)乗り切らなかったというように感じました」


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