NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第14節(リーグ戦)カンファレンスA
2025年4月5日(土)14:00 ヤマハスタジアム (静岡県)
静岡ブルーレヴズ 38-8 三菱重工相模原ダイナボアーズ
40対34から38対8、スコアが示す“強者の勝ち方”。さらなる高みへ、円熟のときを迎える静岡BR

「またやってくれた!」
前半16分のヴァレンス・テファレの80m独走を見て、多くのレヴニスタ(静岡ブルーレヴズのファン)はそう思ったことだろう。これまでも同様のシーンを何度も見てきたからだ。
それまでは三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)の勢いに押されて、苦しい展開が続いていた。それでもチーム一丸の粘り強い守備で耐えていた中、自陣22mライン内で相手キックを確保した味方からパスを受けたテファレが、右サイドから左サイドに流れながら力強いステップとパスフェイント、そしてスピードで見事にラインブレイクし、相手陣内の左サイドまで大きくゲイン。それを起点に右へ展開し、ヴェティ・トゥポウがトライエリア右端に飛び込んでこの試合1本目のトライをゲット。これで試合の流れも大きく変わった。
テファレは、そのシーンだけでなく守備でも大活躍。これまでの試合と同様に1対1の守りで強さを発揮し、危ないところを一人で止めたシーンや相手をタッチラインに押し出すシーンが目立った。さらに後半8分には相模原DBを突き放すトライを決め、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出された。
テファレ本人も、派手なランやトライよりも「ドミネートタックルもありましたし、何回か相手をラインの外に出したタックルもあって、良いディフェンスができたと思います」と守備での貢献に胸を張った。
チームとしても「前半は本当に難しい状況が多かったと思いますが、そこで耐えて前半を乗り切って、後半は常に相手を上回った状態でプレーできたかなと思います」とテファレが振り返ったように、押される時間がありながらも相模原DBをわずか1トライに抑えた我慢強い守備が勝利の大きな原動力となった。

15人全員による堅固な守備をベースに、カウンターアタックで強力な槍となるテファレやマロ・ツイタマがいて、相手のスキを見逃さないクワッガ・スミスやチャールズ・ピウタウといった国際経験豊富な実力者もいる。チームの武器であるスクラムでも相模原DBを終始圧倒した。
前回の相模原DBとの対戦(1月4日)は、点の取り合いになった末に40対34の僅差で勝利した。だが今回は安定感と勝負強さが光る“強者の勝ち方”で完勝。プレーオフトーナメントでの戦いに向けても、3カ月間での大きな成長が最大の収穫となったのではないだろうか。
(前島芳雄)
静岡ブルーレヴズ

静岡ブルーレヴズ
藤井雄一郎監督
「今日は本当に必勝で、前半に少し軽いプレーも見えたんですけども、ハーフタイムでしっかりそこを修正しました。(後半にトライを)4本取れて勝つことができたので、今日は良かったと思います」
──相手のトライを1本だけに抑えた守備に関しては、どんな手ごたえがありますか。
「第3節が同じ相手だったんですけど、そのときはたくさん点を取られた(34点)ので、自分たちがどれだけ成長できたかというところが見えたと思います。トライを取るというよりも取られないほうが雑な試合にならないということも含めて、選手たちのプレーは本当に良かったんじゃないかなと思います」
──プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれたヴァレンス・テファレ選手は、攻守に素晴らしい働きをしましたが、彼は試合を重ねながら成長していますか。
「特に今週はすごく調子が良くて、練習でもかなりコンディションが良いんだろうなという感じだったので、今日はいけるんじゃないかなと思って見ていました。最近、ディフェンスは良かったのですが、アタックのほうがいまひとつでした。ただ、今日はすごく良かったです。チームにフィットして、自分の仕事がしっかり分かってきた感じがしています」
──これでホストゲーム4連勝ですが、その要因についてどう感じていますか。
「先週は負けたんですけど、次がホストゲームだからという若干の安心感もありますし、選手もすごくやりやすいと思います。もちろんサポーターの方にしっかり応援してもらって、前に進めているなと感じています」
──今日はほぼ完璧な試合内容だったと思いますが、プレーオフトーナメントに向けて課題を挙げるとすればどういったところになりますか。
「今日はセットピースも良かったですし、ディフェンスも良かったんですけど、不用意なペナルティで自分たちのエリアに戻らされたりとか、簡単にゲインを許したり、前に出たところでプレーが若干軽くなってしまいました。これはどのチームでも起こり得ることだと思うんですけど、ここからはそういう細かいミスをなくしていかないと上にはいけないと思います。(課題について)今日あえて言うなら、そういう不用意なペナルティや、自分たちがコントロールできるものをしっかりコントロールできなかったところがあったと思います」
静岡ブルーレヴズ
クワッガ・スミス キャプテン
「今日の結果にはすごく満足していて、うれしく思います。三菱重工相模原ダイナボアーズはすごく質の高いチームですので、そのチームに1トライしか与えなかったことを考えれば、自分たちのディフェンスはすごく良かったと思います。アタックに関しては、自分たちのエフォート、頑張りがすごく良かったと思います。チームの選手たちみんなを誇りに思います。前半はノックフォワードや細かいミスもありましたが、後半に掛けてその修正をできたこともすごく良かったと思うので、またその修正すべきところを今後に向けてしっかりと直して、次の試合に向かっていきたいと思っています」
──相手のトライを1本だけに抑えた守備に関しては、どんな手ごたえがありますか。
「今日はディフェンスがすごく良かったと思います。しかし、自分たちの中でもまだ修正していかなければいけない部分もあります。今日の試合ではノットロールアウェイやオフサイドを取られてしまったので、しっかりレビューをしていきたい。ディフェンスというのは試合の中でもすごく重要なものだと思っています。特にこれからプレーオフトーナメントや試合がまた続いていく中で、良いディフェンスをすることがすごく重要になってきます。そこでペナルティを与えてしまうと、そこから相手がキックを蹴って前進させてしまうことになるので、ディフェンスはしっかりと評価しながらも、修正していく部分はしっかり修正していきたいと思っています」
──これでホストゲーム4連勝ですが、その要因についてどう感じていますか。
「いつもこのホストスタジアムでプレーできることをすごくうれしく思います。自分たちにとっても特別な場所だと思いますし、ホストゲームで勝ってしっかりとチームとしての勢いを作れていることもすごくうれしく思います。先週は雨の中で自分たちのスタイルをなかなか見せることができなかったんですけど、この場所で、ファンのみなさんの前でしっかりと自分たちのパフォーマンスを出して勝利できたことはすごくうれしく思っています」
三菱重工相模原ダイナボアーズ

三菱重工相模原ダイナボアーズ
グレン・ディレーニー ヘッドコーチ
「私はこのスタジアムに来たのが初めてになるのですが、日本で一番好きなスタジアムと言えるぐらい観客のパッションも素晴らしかったですし、フィールドと観客席が近いので、本当に素晴らしい環境の中で試合ができて光栄に思います。前半は特にフィジカルな試合になって、われわれも何回かチャンスがありましたが、そこで取り切れなかったところが痛かったです。後半は、そのフィジカルでもこちらが少し負けていたところがあったので、前半のようなフィジカルでプレーし続けないといけないのが課題だと思います。ただ、ブルーレヴズもとても良い試合をして、われわれも粘り強さ、努力は良かったですが、課題を修正しないといけないと思います」
──試合の入りは非常に勢いがあって素晴らしかったと思うんですけれども、その中で攻め切れなかった。足りなかったのはどんなところだと感じていますか。
「(カートリー・)アレンゼのところはトライだったと思ったんですが、その前のところでペナルティがあって取り消されてしまいました。自分たちの、小さいところですけど、ミスがあったり、プレッシャーを掛けているけど(ボールを)取り切れなかったところが何回かあったと思います。自分たちもプレッシャーを掛けていたぶん、それを得点に変えないといけなかったと思いますが、それが今日はできなかったのは自分たちのミスもありますけど、ブルーレヴズの素晴らしいディフェンスもあったと思います」
三菱重工相模原ダイナボアーズ
吉田杏ゲームキャプテン
「いま、ヘッドコーチからもありましたとおり、前半は自分たちのハードワークの部分がすごく出た印象があります。フィジカルのバトルで、自分たちが勝っていた部分もありましたけど、最後取り切れなかった部分が課題としてあります。後半はフィジカルのバトルの部分で少し受けに回ってしまった部分もあるので、そこの修正が次の試合に向けて必要だといまは思っています」
──試合の入りは非常に勢いがあって素晴らしかったと思うんですけれども、その中で攻め切れなかった。足りなかったのはどんなところだと感じていますか。
「ヘッドコーチが言われたとおり、小さなミスがありました。ボールを落としたり、テンポなど本当に小さな部分でトライにつなげられなかったと思います。前半をとおしてフィジカルの部分は良かったので、そこで前に出てバックスでトライを取り切るところができなかったのが、大きな課題です。一つひとつのプレーの大切さというのが分かった試合だと思います」
──スクラムの勝負は、振り返ってどう感じていますか。
「試合をとおしてペナルティやプッシュされるなど非常に難しい、厳しい状況だったと思います。その中でアタック、ストラクチャーができなかったのは、バックスに対してフォワードとして申し訳なさがありますし、そこでファイトできなかったのが、自分たちのアタックができなかった要因です」