2025.05.11NTTリーグワン2024-25 D1 第18節レポート(埼玉WK 60-17 東京SG)

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第18節(リーグ戦)カンファレンスB
2025年5月10日(土)14:30 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 (埼玉県)
埼玉パナソニックワイルドナイツ 60-17 東京サントリーサンゴリアス

背番号10とともに背負ってきた責任。今季の得点王は頂点を目指して戦い続ける

埼玉パナソニックワイルドナイツの10番に定着した感のある山沢京平選手

レギュラーシーズン最終戦の主役は山沢京平だった。

坂手淳史キャプテンがリザーブからのスタートとなったため、この日のゲームキャプテンを務めた背番号10を先頭に、選手たちはフィールドに飛び出してきた。レギュラーシーズン最終戦は今季最後のホストゲーム。今季も熊谷スポーツ文化公園ラグビー場では無敗。ファンの存在が、チームの進撃を支えてきた。

試合前に降った雨の影響でスリッピーなグラウンドコンディション。山沢京は瞬時の判断から多彩なキックを敵陣に蹴り込んで相手にプレッシャーを与えると、チームのギアを上げていった。蒼き司令塔のゲームメークによってバリエーション豊富なアタックを展開した埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)は、ダミアン・デアレンデ、リアム・ミッチェルら千両役者が次々とトライを決めていった。

「プレーオフトーナメントに向けてチーム一丸となって進んでいく意味でも良いゲームになった。(背番号10を任された)今季は僕の中で責任に重きを置いてチャレンジしてきた」(山沢京)

埼玉WKはフィジカルで主導権を握ると、じわじわとリードを広げていった。極め付けは後半33分。山沢京が自陣でこぼれ球を奪取すると、サッカーのドリブルのようにボールを操り敵陣へ。そのまま一気に駆け上がり、トライエリアでボールを押さえた。山沢京のセンスと身体能力の高さによって生まれたダイナミックなトライだった。

今季のキックインプレー数はディビジョン1最多で、キックでのゲインメーター数も5,000mを超えた(第17節終了時点)。強靭な右足から繰り出されるキックの安定感は際立っている。この日も2本のペナルティゴール、6本のコンバージョンゴール、そして1トライ。総得点数を209まで伸ばして今季の得点王を確定させた。

「個人的な数字は意識していなかった。チームとして勝ってきた中で、たまたま僕の名前がある。数字よりも、みんなでチームを築き上げることができた喜びのほうが大きい」

ロビー・ディーンズ監督は「ゲームを重ねるにつれて京平のプレーがチームに融合していった。技術はもちろん試合をどのようにファシリテート(円滑に進めること)していくか、コーディネートしていくかの部分で成長したと感じる」と称えた。

埼玉WKは首位の東芝ブレイブルーパス東京と勝ち点で並ぶリーグ2位でプレーオフトーナメント進出を決めた(勝利数の差で埼玉WKが2位)。5月25日のプレーオフトーナメント準決勝では、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ対東京サントリーサンゴリアスの勝者と対戦する。

「プレーオフトーナメントでも責任感をもってプレーするだけ。今季もずっと支えてくれたファンの方々と一緒に笑顔で終われるように一戦一戦に集中していきたい」

今季、新たに背番号10で躍動した山沢京の戦いは、プレーオフトーナメントへと続いていく。

(伊藤寿学)

埼玉パナソニックワイルドナイツ

埼玉パナソニックワイルドナイツのロビー・ディーンズ監督(左)、山沢京平ゲームキャプテン

埼玉パナソニックワイルドナイツ
ロビー・ディーンズ監督

「まずは、今日は満足した結果になりました。昨日はトレーニングマッチをしましたが、それを含めて自分たちとしては満足しています。リーグ戦はすべて終わりましたが、まだプレーオフトーナメントでラグビーができることをとても光栄に思います。

地面に水が溜まっていてコンディションが難しく、チャレンジングになると思っていたのですが、自分たちのラグビーの質の部分が良かったと感じています。

その部分では山沢京平選手には、お祝いの言葉を伝えたいと思います。チームをうまくリードしてくれたと思います。今季は10番としてフルシーズンにわたりプレーしてくれたこともお祝いしたいと思います。今季のここからも非常に楽しみであり、自分たちの準備次第だと感じています。

シーズン中盤はすごく困難なところがあったのですが、(負傷していた)選手たちが終盤に掛けて戻ってきてグラウンドで時間を費やしてくれたことで、自分たちにとっては良い状態になったと感じています。これからに向けて、とてもエキサイティングに感じています。(負傷交替した)稲垣啓太選手については心配なところがありますが、状態を確認していきたいと思います」

──昨季、一昨季とリーグ戦では1位でしたが、今季はプレーオフトーナメントへリーグ2位での進出となりました。この点についてはどうお考えでしょうか。

「2位で(レギュラーシーズンを)終えたことについては特に意識していません。プレーオフトーナメントに進出することを目的として戦ってきました。リーグ戦が終わって自分たちは新たなスタートラインに立ったので、そこからさらにプレーオフトーナメントを進んでいく権利を勝ち取っていかなければいけないと思います。

リーグ戦の中で、うまくできたところは自分たちのモノとして継続していって、プレーオフトーナメントでは自分たちを止めるような計画を(対戦相手は)立ててくると思いますが、自分たちができることを認知して、それを発揮できれば、自分たちの自信につながるので良いと思います。

過去に1位で通過したことはすでに過去なので、新たな気持ちで引き締めていきたいと思っています」

埼玉パナソニックワイルドナイツ
山沢京平ゲームキャプテン

「昨日の練習試合から、結果としてとても良い状態で進み、今日の最終戦が終われたのは良かったですし、ファンのみなさんと分かち合えたことも良かったと思います。プレーオフトーナメントに向けてチーム一丸となって進んでいく意味でも、良い1日になりました」

──リーグ戦を終えて、10番としてやれたという手ごたえはありますか。

「やれたかどうかは正直、プレーオフトーナメントも残っていますし、分からないですが、僕の中では責任感をもって、責任に重きを置いてチャレンジしようと思っていました。責任感を大事にしてプレーをしてきました」

──プレーオフトーナメントはどのように戦っていきますか。

「プレーオフトーナメントはリーグ戦とは違った戦いになると思いますが、僕たちのラグビーは変わらないです。試合によってターゲットは変わってくると思いますが、大元は変わらないので、自分たちのラグビーを突き詰めていきたいと思います」

東京サントリーサンゴリアス

東京サントリーサンゴリアスの小野晃征ヘッドコーチ、堀越康介キャプテン

東京サントリーサンゴリアス
小野晃征ヘッドコーチ

「ワイルドナイツ、サンゴリアスの関係者、ファンの皆さま、今日は応援ありがとうございました。今日は、シンプルにフィジカルの部分で負けたと思っています。そこをしっかりと修正して、来週のプレーオフトーナメント準々決勝へ向けて直さないと、同じ結果になります。そこの部分をチームとして切り替えてやっていきたいと思います」

──プレーオフトーナメント準々決勝の相手はクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)になります。

「S東京ベイさんに関しては強いセットピースと大きなフォワードでゲームを組み立ててくると思うので、セットピースで戦えるように準備をしたいです。あとは、フィジカルの部分で一歩でも前へ出る、止めるというマインドで1週間を準備していきたいと思います」

東京サントリーサンゴリアス
堀越康介キャプテン

「本日はありがとうございました。開始からフィジカルの部分で負けてしまって、相手の思うようなラグビーになってしまったのかなと思います。その要因としては、マインドセットの部分もあると思うのですが、今日の負けを教訓にして、前へ進むしかない。1週間、全員で良い準備をしていきたいと思います」

──今日の試合についてはどう振り返っていますか。

「僕たちとしてはベストなブレイクダウンで、自分たちのテンポでアタックをして、我慢して、何フェーズを掛けてもトライラインを越えるというイメージをもって臨んだのですが、ブレイクダウンのところで圧力を受けて球出しが遅れましたし、ボールがこぼれてターンオーバーを受けてしまいました。自分たちはブレイクダウンが生命線なので、そこで圧力を受けてしまったと思います」

──リーグ戦を終えてプレーオフトーナメントへ向かいますが、ファンへメッセージをお願いします。

「リーグ戦は序盤になかなか勝てずにタフなシーズンだったのですが、勝っても負けても応援してくれて、次への原動力になりました。応援の力がすごく伝わったシーズンになりました。プレーオフトーナメントに向けて、一戦一戦を戦って、(決勝の舞台である)国立競技場でファンの方々と喜びたいと思います」

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