2025.05.29[浦安DR]喧噪をよそに取り戻した“無の境地”。「集大成」の一戦に飯沼蓮は泰然自若で臨む
NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
D1/D2入替戦[D1 12位 vs D2 1位]第2戦
2025年5月31日(土)12:00 柏の葉公園総合競技場 (千葉県)
浦安D-Rocks vs 豊田自動織機シャトルズ愛知
浦安D-Rocks(D1)

浦安D-Rocksがディビジョン1残留を懸けて、今季最後のゲームに挑む。柏の葉公園総合競技場でD2王者の豊田自動織機シャトルズ愛知と対戦する。
大一番を前に、その表情は凛としていた。
昨季に引き続き、D1に昇格した今季もチームは飯沼蓮がキャプテンでスタートした。ただ、2月23日の第9節からとある変化が起きた。
ゲームキャプテンの交代。
この試合から飯沼はゲームキャプテンを離れ、以降、藤村琉士や金廉、田村煕といった選手たちが交代でその任を務めるようになった。
飯沼本人からすれば、決してネガティブなものではなく、グレイグ・レイドロー ヘッドコーチと話し合った末の、前向きな決断であった。ところが、想像以上に周りは騒ぎ、根拠のない憶測も飛び交った。そういった声が、本人の耳に直接入ってきたこともあったという。
「パフォーマンスを重視した上での決断で、別に試合中はゲームキャプテンのときとやっていることは変わっていないです。だから、『何をそんなに言うことがあるんだろう』と思うこともありました。自分としては、キャプテンをやったままパフォーマンスが悪いよりも、少し自由になってパフォーマンスが良くなったほうが、チームにいい影響を与えられると思っていたし、それができたと思います。自分にとっては本当にいい決断でした」
解き放たれたことで、飯沼は久しぶりの感覚を取り戻す。高校時代以来、“無心”でプレーできるようにもなっていた。
「今まではいろいろなことを考え過ぎていたけど、いまは自然体でそのときの直感でプレーできています。“どうしていいプレーができたのか分かっていない”みたいな感覚のときが自分は一番良くて、いまはやっとその感覚が戻ってきた感じです。“無意識に任せる”とでもいうんですかね」
1年前、悲願のD1昇格をつかんだ歓喜の中心に飯沼はいた。プレッシャーから解放され、喜びと安堵が入り混じった涙をチームメートと流した光景を鮮明に覚えている。
「昨季のことはめっちゃ思い出しますよ。1年前はもっとみんな緊張していたし、自分は(入替戦の期間の)2週間はずっとドキドキでした。寝られないし、常にそのことが頭をよぎるし。先週の敗戦であらためていろいろと学ばせてもらい、今週は昨季と同じようなピリピリした雰囲気で1週間を過ごせました。だから大丈夫です」
来季もD1で戦うための「集大成」と、この試合を位置付けた。まさにビッグゲーム。飯沼はそのキックオフをリラックスした状態で待っている。
(須賀大輔)