NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第4節(リーグ戦)カンファレンスB
2026年1月11日(日)12:00 三重交通G スポーツの杜 鈴鹿 (三重県)
三重ホンダヒート vs クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(D1)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイのハラトア・ヴァイレア選手。「ウイングでもセンターでも、自分の強みであるハイボール、コンタクトを生かすだけ」母国のトンガを離れて日本にやってきたのは15歳のとき。日本体育大学柏高校卒業後は日本体育大学に進み、2022年にクボタスピアーズ船橋・東京ベイに入団。リーグワンでの出場試合数は、次の三重ホンダヒート戦でちょうど50を数える。ここまでの道のりを、ハラトア・ヴァイレアは「とても短かった」と語る。
「いつ50キャップを取れるかを意識していたわけじゃなくて、ただ試合を続けてきただけです。気づいたら、そこに50キャップがありました」
肌感覚として短く感じられたのは、おそらくフィールドの内外で濃い時間を過ごしてきたからだろう。その濃度は、この2年ほどでさらに高まっている。
それまではセンターで起用されることが多かったものの、昨季はウイングとして覚醒。バズーカ砲のような飛距離を誇るゴールキックも冴えわたり、主力のポジションを確固たるものとした。
しかし、ヴァイレアは「ウイングでもセンターでも、自分の強みであるハイボール、コンタクトを生かすだけ」と静かに語る。昨季の経験を、無理に意味づけしようとはしない。
昨年は日本代表に初招集された。高校時代から桜のジャージーには漠然とした憧れを抱いていたものの、「呼ばれたこと」で満足するつもりはなかった。JAPAN XVとして出場したマオリ・オールブラックス戦では大敗を喫し、悔しさが残った。その経験を受け、フィジカルとワークレートの修正にフォーカス。続く日本代表初キャップとなったウェールズ代表戦では、逆転トライを決めた。悔しさが次の一歩につながった、とヴァイレアは振り返る。
こうした出来事を、彼は“物語”として語らない。ポジション遍歴を自身の成長物語に変換することもない。こちらが「代表活動で得たものは?」と尋ねると、彼は「うーん……」と少し考え込み、言葉を探すような間を置いた。
ヴァイレア自身が口にしていない意味を、第三者が美談として強引に足してしまえば、おそらくそこには本人の感覚とのズレが生じる。昨季の覚醒も、日本代表での時間も、それらは“転機”ではなく、淡々と積み重ねてきた歩みの延長線上にある。
今季は開幕からセンターとして出場。「ウイングで活躍したことで、いまのセンターに生かされていることはありますか?」と問うと、彼は「ないです」と苦笑して、「いつもどおり、やるだけ」と答えた。
ただ、「いつもどおり」ではないことが、一つだけある。それは、応援してくれる人たちが増えたこと。ヴァイレアが日本で戦い続ける理由の一つに、母国トンガの家族の存在がある。日本代表で初キャップを獲得したときも、家族は喜んでくれたという。この日本で声援を送ってくれるオレンジアーミーも、彼にとっては家族に近い存在だ。
「応援してくれる人たちの存在も、自分の力になっています。家族のため、そして応援してくれる人たちのために頑張りたい。声援を送ってくれる人たちを家族みたいに大事にしないと、自分のパフォーマンスも良くならないと思っています」
物語を盛らず、意味づけもし過ぎず、それでも確かに積み上がっている。その途中に、50キャップがある。
(藤本かずまさ)



























