2026.01.09[LR福岡]「無名からもう一度」。楕円球への情熱で切り拓く競技人生と、その生き様に込める覚悟

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン3 第3節
2026年1月11日(日)13:00 久留米総合スポーツセンター陸上競技場 (福岡県)
ルリーロ福岡 vs クリタウォーターガッシュ昭島

ルリーロ福岡(D3)

ここまで進んできた、これからどこまで進むのか、ルリーロ福岡の藤倉大介選手

ルリーロ福岡(以下、LR福岡)の『地域密着』を語るとき、グラウンドや働き方だけでなく、洗濯場の風景までもが象徴になる。リーグワン参入前、公式戦で使ったジャージーやビブスはスタッフが手洗いしていた。洗濯機では汚れが落ちず、風呂場が茶色になるほどの作業を2シーズン。勝負の舞台へ上がるほど、裏方の負担も増える。そんな現実を、クラブは抱えていた。

転機は、うきは市に工場を構えるクリーニング会社との出会いだった。協賛のきっかけは「いま、手洗いなんですよね」という何気ない会話。紹介を受けて訪ねると、相手は即座に「ぜひサポートします」と応じ、試合で使うアイテムを一括で洗う体制が整った。後藤悠太ゼネラルマネージャーは「正直、すごくラクになりました」と率直に言う。支援は“物”だけで終わらない。選手の雇用も視野に入れ、今年からその職場で働き始めたのが藤倉大介である。

180cm、123kg。スクラムの局面で相手と正面衝突できる体の大きさや強さが、まず目を引く。國學院大學栃木高校で力を磨き、U19日本代表候補にも名を連ねた。大東文化大学へ進学し、ラグビーを続けたが、卒業時にプロの扉はすぐには開かなかった。だからこそ、藤倉は遠回りを選ぶ。大学卒業式の翌日、スーツケースとリュック、所持金数万円で宮崎へ。家も知り合いもない土地で、スポーツ教室の指導をしながら社会人クラブで鍛え続けた。「安定より冒険」。その1年で、敵を作るより味方を増やす大切さを学び、礼儀や気配りを叩き直され、人間としても角が取れていった。

LR福岡での現在地を、藤倉は「無名から、もう一度」と表現する。今季、開幕戦から途中出場ながらリーグワンの舞台に立ち、デビュー戦で白星を手にした。その瞬間の喜びは、「ラグビー人生で3本の指に入る」という。昨季のLR福岡は、内容では互角に渡り合いながらも、勝利に届かない試合が続いたチームだった。だからこそ、出場時間はわずか10分ほどでも、ノーサイドの笛が鳴った瞬間、思わず跳びはねるほど感情があふれた。藤倉は、その1勝が持つ重みを、誰よりも強くかみ締めている。

後藤GMは、藤倉を「明るくてポジティブ。愛されるキャラクター」と評しつつ、選手としては「スクラムが最大の強み。フィールド(プレー)はあと一歩、二歩」と伸びシロも明確にする。藤倉自身も目標を隠さない。通過点だった初キャップの次は、3番を背負って先発すること。そして、短い出場時間でも存在を示す。「見てほしいのはスクラム」。派手に押し、派手にぶつかり、派手に勝ち切る。その覚悟が、LR福岡の今季をさらに前へ押し出していく。

(柚野真也)

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