2026.04.30[江東BS]目立たなくていい、届けばいい。鉄人が示す120%の献身

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第13節
2026年5月2日(土)12:00 江東区夢の島競技場 (東京都)
清水建設江東ブルーシャークス vs 九州電力キューデンヴォルテクス

清水建設江東ブルーシャークス(D2)

連続出場を継続中、清水建設江東ブルーシャークスの李優河選手

前節で首位・花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)との対戦を制し、D1/D2入替戦進出への望みをつないだ清水建設江東ブルーシャークス(以下、江東BS)。残り2試合、自力での進出こそかなわないが、『勝って天命を待つ』という綱渡りの状況でもチームの士気は衰えていない。むしろ、上位のチームをなぎ倒した自信が、いまの彼らを突き動かしている。

昨シーズンから今季に掛けて、すべての試合でスターティングメンバーとして名を連ねる二人の“鉄人”がいる。背番号1の野村三四郎、そして背番号3の李優河。ハードな接触が繰り返されるフロントローにおいて、これは驚異的だ。今季からバイスキャプテンを務め、象徴的な『屋台骨』として発信する野村に対し、李は多くを語らない。だが、寡黙な職人が秘める内なる情熱は、誰よりも熱くグラウンドに投影されている。

「D1/D2入替戦進出を目標にしている以上、昨季(7位)以上のことをやらなければならない」。その決意は、具体的な肉体改造として表れた。昨季110㎏前後だった体重を、115㎏まで増量。フロントローとしての厚みを増しながらも、江東BSのアナリストのデータによれば、彼の持ち味であるワークレート(仕事量)は一切落ちていないという。スクラムで支えながら、次のプレーへと動き続ける献身性は、今季のチームが掲げるフィジカルの強化を体現している。

その李が、今季「より一層、身が入る」と語る理由がもう一つある。キャプテン安達航洋の存在だ。二人は社業においても同じ部署に所属する営業マンである。社会に欠かせないインフラ系の基礎を支える営業部署で、李は誰よりも近くで安達の苦労を見てきた。「あいつが大変なのを知っているから、自分はプレーで頑張るしかない」。後輩キャプテンが背負う重圧を、同じ職場の先輩として、そしてスクラムを支えるプロップとして分かち合う。言葉ではなく、体を張ってその背中を支えること。それが李の選んだ貢献のスタイルだ。

僅差の試合が多く、チーム全体が思うように力を出し切れない状況を経験する中で、李は一つの考えに至った。

「自分では100%やっているつもりでも、傍から見れば80%にしか見えないこともある。だから120%やる。そうして初めて、周りに100%の熱量が伝わる」。ストイックに自分を追い込むその姿勢は、自分が目立つことには興味がない性格、そして「ラグビーはエゴイストがやるスポーツではない」という信念に根ざしている。ただ、チームが勝ったときの喜び、特に花園Lのような上位チームを相手に下馬評をひっくり返した瞬間の高揚感が、彼を突き動かす。

次戦もまた、負けられない戦いが待っている。派手なトライシーンの影で、誰よりも早く起き上がり、誰よりも低く当たり、キャプテンを、そしてチームを支え続ける背番号3。李優河が示す「120%の献身」が、江東BSをさらなる高みへと押し上げるはずだ。自分を消してチームを生かす鉄人の、真骨頂がここにある。

(奥田明日美)

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