2026.05.03NTTリーグワン2025-26 D2 第13節レポート(江東BS 34-26 九州KV)

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第13節
2026年5月2日(土)12:00 江東区夢の島競技場 (東京都)
清水建設江東ブルーシャークス 34-26 九州電力キューデンヴォルテクス

D1昇格は夢ではなく目標。次は自分が“憧れの存在”に

清水建設江東ブルーシャークスの桑田宗一郎選手。「絶好調」とその状態を語る 

終盤戦で頼もしい男が戻ってきた。5年目のスタンドオフ・桑田宗一郎だ。昨季は13試合に出場し、攻撃をけん引した中心選手。しかしその後、プレシーズン中の左足のけがによって戦線を離れた。復帰後のいま、桑田に迷いはない。

「コンディションはもう常に絶好調です」

高校3年以来となる大きなけがだった。焦りもあったはずだ。それでも、「まずはちゃんと治すこと」を最優先にした。S&Cスタッフと二人三脚で筋力トレーニングを管理し、無理に復帰を早めることはしなかった。

「100%、もしくはけがをする前よりいい状態で帰ってこられるように」

その時間は、決して無駄ではなかった。外から練習を見る時間が増えたことで、俯瞰して戦術を理解する視点も養われたという。

「このサインプレーをしたら相手はどう動くのか。そうしたケースを外から見る機会が増えたので、収穫だったと思います」

そしていま、復帰した桑田を突き動かしているのは、「恩返し」の気持ちだ。

「職場の方、家族、友人…、本当にいろいろな人に支えられているんで」

前節にも、東京から大阪まで応援に駆け付けてくれた人がいる。いつも後押ししてくれる人がいる。だからこそ、「試合に出て結果を残したい」と強く思う。その思いは、チームへの愛情とも重なっていく。

「このチームで入替戦に行って、ディビジョン1に行きたい。もう“遠い夢”じゃなくて、手が届く目標だと思うんです」

「遠い夢」だったD1は、いまや現実として視界に入っている。もっとも、桑田自身はまだ満足していない。D1で戦うために必要なのは、技術やフィジカルだけではないと考えている。

「自分に足りないのは、やっぱりリーダーシップかなと思います」

その基準になっているのが、司令塔としてチームを引っ張るビリー・バーンズの存在だ。

「ビリーがいるだけでチームの雰囲気が変わるんです。ああいう言葉を発せるのも、練習も試合も120%で準備しているからだと思います」

実は“チームを引っ張る存在になってほしい”という期待は、仁木啓裕監督兼チームディレクターも口にしていた。キャプテン・安達航洋とともに先頭に立つ存在へ─―。それは、清水建設江東ブルーシャークスがさらに上へ進むために必要なピースでもあるのだ。

そして、桑田にはもう一つ、大きな夢がある。

「僕、小さいころからトップリーグを見てラグビー選手に憧れていたんです。だから今度は、自分が小さい子たちに『ラグビー選手になりたい』って思ってもらえる存在になりたい」

桑田は決して大柄な選手ではない。だからこそ、体の小ささに悩む子供たちへ伝えたいことがある。

「小さくても、やり方次第で戦えるんだぞっていうのを見せたいです」

D1昇格。その先にある、誰かの憧れになる未来。応援してくれる人への恩返しを胸に、帰還した司令塔は走り続ける。

今度は、自分が誰かの夢になるために。

(奥田明日美)

清水建設江東ブルーシャークス

清水建設江東ブルーシャークスの仁木啓裕監督兼チームディレクター(左)、安達航洋キャプテン

清水建設江東ブルーシャークス
仁木啓裕監督兼チームディレクター

「初めに、本日の試合開催にあたり、多くの方々にご尽力いただきましたことに感謝申し上げます。天候にも恵まれ、このような試合を行うことができました。本当にありがとうございました。ロッカールームでも話しましたが、九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)にはこれまで何度も悔しい思いをさせられてきました。入替戦(2022-23シーズン D2/D3入替戦)で下(ディビジョン3)に落とされ、昨季は最後のロスタイムで(追い付かれ)引き分けになりました。そうした悔しさを経て、今日ここにいます。その中で今季、九州KVから2勝でき、チームとして本当に成長を実感できたと思っています。九州KVも仕事とラグビーを100%両立されているチームだと思っていますので、われわれにとって道しるべであり、目標として歩んできました。まず、その相手に二つ勝てたことは、チームとして非常に大きいと感じています。本日はありがとうございました」

──これまで悔しい思いをしてきた相手という九州KVですが、勝たなければならない場面で結果を出せたことに、チームとしてどのような成長を感じていますか。

「ラグビーは誰か一人が頑張っても成り立つスポーツではありません。これまでの悔しい思いは、スタッフも選手も含めてチーム全員が認識していました。九州KVには勝たなければいけない。この2試合は、われわれとして勝つしかない試合でした。仮に入替戦があったとしても、なかったとしても、この2試合を取るか取らないかで、来季へ踏み出す一歩の重みが変わってくると思っていました。その悔しい思いを全員で共有しながら、『絶対に勝つ』という気持ちで選手、スタッフが一丸となれたことが大きかったと思います」

清水建設江東ブルーシャークス
安達航洋キャプテン

「初めに、この試合にご尽力いただいた関係者の皆さまに感謝申し上げます。九州KVは4連勝してこの試合に臨んできたということで、非常に勢いがあることはチームとしても認識していました。その勢いに負けないよう、こちらから仕掛けて先制パンチを打とうと話していました。

なんとか先制することはできましたが、暑さもあり、シーズン終盤ということもあって、両チームとも体力的に厳しい場面が多く、拮抗した時間帯が続きました。その中で最終的に勝ち切れたことで、チームが目標としている入替戦出場の可能性をつなげられたことは良かったと思います。ただ、残り1試合ありますし、反省すべき点も多くあります。もう1週間準備する時間がありますので、チームでもう一度改善点を話し合い、良い準備をして、最後に良い形でシーズンを終えられるように頑張りたいと思います。本日はありがとうございました」

──試合後の円陣で「入替戦があってもなくても、最後までブルーシャークスらしい試合をしよう」という言葉がありました。最後はどのような試合をしたいですか。

「この試合に向けた準備について、チームとして最高の準備ができたかと言われると、そうではなかったと思っています。もう一度、今季の集大成として、チームで一番良いパフォーマンスを出したいです。そのために、月曜日からの練習一つひとつで、今季で一番良い準備を積み上げて、最後に良い形で終わりたい。そういう意味であの言葉を伝えました」

九州電力キューデンヴォルテクス

九州電力キューデンヴォルテクスの今村友基ヘッドコーチ(右)、古城隼人キャプテン

九州電力キューデンヴォルテクス
今村友基ヘッドコーチ

「初めに、会場準備を含め本試合開催にご尽力いただいた関係者の皆さまに御礼申し上げます。天候にも恵まれ、素晴らしい環境でラグビーができました。

試合については、まず清水建設江東ブルーシャークス(以下、江東BS)が非常に素晴らしいラグビーをされたと思っています。その中でも、自分たちにも勝てるチャンスは十分にあった試合でした。ただ、前半の規律の部分や、自分たちでボールを失ってしまった場面など、ここ4試合に勝利してきた勢いはありましたが、細かな精度の部分で上回れなかったと感じています。そこには江東BSの強いプレッシャーが大きく影響していたと思います。あらためて今季取り組んできたラグビーを見つめ直し、自分たちの強みをもう一度信じて、最終戦へ向けて準備していきたいと思います。良いシーズンで終えたいと思います。本日はありがとうございました」

──この試合に向けて強調してきたことは何ですか。

「自分たちの強みであるディフェンスを軸に準備してきました。しっかりと相手にプレッシャーを掛けてボールを奪い、敵陣では我慢強くアタックを継続してトライを取り切ることにフォーカスしていました。ただ今日は、ディフェンスの場面で相手にモメンタムを取られてしまい、そのプレッシャーから自分たちがペナルティを犯し、自陣に釘付けにされる場面が多くなってしまいました。チャンスエリアでも相手のディフェンスは非常に堅く、我慢して継続できればトライを取れる場面もあったと思いますが、そこで我慢し切れなかったことが悔やまれる部分です」

九州電力キューデンヴォルテクス
古城隼人キャプテン

「本日は試合開催にあたり、さまざまな準備をしていただきありがとうございました。率直な感想としては、これまで自分たちができていたことを、80分間をとおして出し切れなかった場面が多かったと感じています。今週は『精度を高く、小さなバトルに勝っていこう』というテーマで1週間準備してきましたが、ディテールの部分で江東BSからプレッシャーを受け、自分たちのラグビーを十分に出せなかったことが敗因だったと思います。まだ1試合残っているので、もう一度自分たちの最大限の準備をして臨みたいと思います」

──ピッチ上で選手たちに掛けていた言葉はどういうものでしょうか。

「自分たちはディフェンスから流れを作るチームなので、まずはディフェンスの細かな部分をしっかりやろうと話していました。スコアされた場面でも、まずはしっかりチェイスしてディフェンスを続けること、そしてマイボールになったら自分たちのアタックをしようという声掛けをしていました」

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