NTTジャパンラグビー リーグワン2025ー26
プレーオフトーナメント準決勝
2026年5月31日(日)14:05 秩父宮ラグビー場 (東京都)
埼玉パナソニックワイルドナイツ vs クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(D1)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイの木田晴斗選手。今シーズンは2022-23シーズン以来のベストラインブレイカーに再び輝いた3年前とは異なる自分が、いまここにいる。
2022-23シーズン。木田晴斗は、優勝の歓喜の渦の中にいた。クボタスピアーズ船橋・東京ベイが誇る、爆発力を秘めた左ウイング。故障のないフレッシュな肉体はトライを量産し、22年4月に加入したチームの躍進に大きく貢献した。まさに若さと勢いのまま、フィールドを切り裂いていた。
だが、優勝シーズンのあとから、その歯車は次第に狂い始める。時はラグビーワールドカップイヤー。日本代表合宿に招集されるも、けががたび重なり、戦線から離れざるを得なくなった。また、その痛みを引きずったままリーグワンの2023-24シーズンが開幕。本領発揮とはならず、フィールドから離れる時間も長くなっていった。
昨シーズン、プレーオフトーナメントに木田の姿はなかった。チームは11番に根塚洸雅、14番にハラトア・ヴァイレアを据え、決勝まで進出。グラウンドの外から戦いを見つめていた木田は、仲間たちの活躍をうれしく感じる一方、自分がそこに立てていない悔しさも抱いていた。
「でも、リハビリ期間もラグビー人生の一つですから」
木田は、もどかしかった2年間をそう振り返る。ストレスを溜めたところで、早期に復帰できるわけでもない。自分のコンディションさえ整えば、再び高いパフォーマンスを発揮できるという感覚も失ってはいなかった。
昨年10月には日本代表活動中の合宿で再び負傷。それでも木田は、リーグワン開幕を見据え、リハビリに専念する決断を下した。その視界は、あくまで明瞭だった。
そして迎えた今シーズン。けがを知り、痛みを知り、それでもシーズンを戦い抜く術を覚えた木田が、再びピッチを駆け抜けている。いまも痛みとは無関係ではない。だからこそ、行ける場面では勝負し、そうではない場面では引く。その“緩急”を、木田は戦いをとおして身に付けていった。
「逆に言うと、力を抜くことで周りが見えるようになった。柔らかくプレーできた試合も多かったと思います」
昨季は立つことのできなかったプレーオフトーナメントの舞台。レギュラーシーズンを完走し、再び11番を背負ってそこに立てていることに、木田は確かな喜びを感じていた。シーズンをとおして高い再現性をもったパフォーマンスを続け、その結果はベストラインブレイカー賞という形でも示された。
ただ、本人の感覚ではコンディションは「まだ80%ほど」だと言う。相手との間合いや距離感、周囲との連係、キックスキル──。木田は以前よりも多くの武器を手にしている実感を口にした。
残りの「20%」の余白が埋まったときこそ、“シン・木田晴斗”の完成形なのかもしれない。そして、その輪郭は少しずつ見え始めている。
迎えるプレーオフトーナメント準決勝。立ちはだかるのは埼玉パナソニックワイルドナイツ。今季リーグ戦では苦杯をなめた相手だ。
「まずはディフェンスでしっかりプレッシャーを掛けたいですし、ハイパントやキック処理といったウイングとしての役割も遂行したい。その上で、自分のランニングのチャンスがあれば、しっかりトライを取り切りたいです」
痛みを知ったからこそ、たどりつけるステージがある。
(藤本かずまさ)




























