NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1(リーグ戦) 第1節 カンファレンスA
2022年12月17日(土) 14:40 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 (埼玉県)
埼玉パナソニックワイルドナイツ 22-19 東芝ブレイブルーパス東京
さすが王者。開幕戦で見せた“ワイルドナイツ劇場”
12月17日に開催されたNTTジャパンラグビー リーグワン2022-23開幕戦で、連覇を狙う埼玉パナソニックワイルドナイツが東芝ブレイブルーパス東京に22対19で勝利して白星発進となった。10,557人の観客が見守ったオープニングゲームは、名門対決にふさわしい白熱の攻防戦となった。
序盤、準備してきたプランを実践したのは東芝ブレイブルーパス東京だった。ブレイクダウンで優位に立つ東芝ブレイブルーパス東京は、接点で気迫をみなぎらせてゲームの主導権を奪う。トム・テイラーの正確無比なペナルティーゴールで先制すると、前半11分にはリーチ マイケルがトライを奪って加点。さらにトム・テイラーのペナルティーゴールで13対0とリードを広げた。
波乱の予感も漂ったが、王者・埼玉パナソニックワイルドナイツに焦りはなかった。前半20分に、小山大輝からのオフロードパスを受けてフリーになった布巻峻介が内側を突いてトライを奪った。7対16で迎えた前半終了間際には、小山のパスを左サイドライン際で受けて1対1の局面を迎えた坂手淳史がパワーで押し込んで点差を詰める。コンバージョンキックは決まらなかったものの、12対16で前半を終えた。
こうなれば埼玉パナソニックワイルドナイツのゲームだった。昨季、終盤の猛攻で幾度の逆転劇を演じたチームが主導権を奪い返すと、じわじわと陣地を稼いでいく。後半12分には、「ラスボス」の異名をもつ堀江翔太がピッチに立ち、前線にパワーを補充する。
この日、最もスタジアムが沸いたのは後半15分。ケガの長期離脱からの復帰戦となった松田力也が、ディフェンスラインのギャップを見つけると一気にトップギアへ入れてトライルートを駆け抜けた。チームメートのセレブレーションを受けた松田は、コンバージョンキックも確実に決めて逆転劇の立役者となった。
「サインプレーの中で自分の前が空いたと思って、自分の判断で勝負した。みんながつないでくれた中で、最後に自分がトライできた」(松田)
だが、東芝ブレイブルーパス東京も粘りを見せた。後半20分にトム・テイラーがペナルティーゴールを決めて19対19のイーブンへ持ち込む。しかし、埼玉パナソニックワイルドナイツは慌てなかった。松田に代わって途中出場した山沢拓也が後半31分にペナルティーゴールを決めて22対19で競り勝ってみせた。
堀江は「昨季もこういうゲームが多かった。こういうゲームになるだろうなと予想していて、後半にうまく修正ができた。開幕直前に代表組が戻ってきて数週間での調整になったが、よくできたと思う」と振り返った。
開幕戦で“ワイルドナイツ劇場”を披露した。まだチーム状態は万全ではないが、それでも勝ち切るのは強さの証。「チームとしてはまだ1試合目。勝ったことで次に進める。今後とも1試合1試合、自分たちのラグビーを進化させて、成長していきたい」(坂手)。連覇へ向けて最高のスタートを切った。
(伊藤寿学)
埼玉パナソニックワイルドナイツ
埼玉パナソニックワイルドナイツ
ロビー・ディーンズ監督
「開幕戦で、またみなさんにお会いできて大変うれしく思います。リーグワンに興味を持っていただいて誠にありがとうございます。再びリーグが始まったという印象です。今日の試合を見ていただいてご理解いただけたと思うのですが、リーグはどの試合もタフだということです。これからもタフな道のりですが頑張っていきたいと思います。
ラグビーの話のことは、実際にプレーした選手たちに任せたい。自分たちの規律のところが少し乱れていたと感じるゲームでした。来月また熊谷スポーツ文化公園ラグビー場に戻ってくることを楽しみにしています」
埼玉パナソニックワイルドナイツ
坂手淳史キャプテン(フッカー)
「開幕戦で1万人を超えるファンの方にお越しいただき、熊谷スポーツ文化公園ラグビー場で試合ができてうれしかったです。ゲーム内容としてはペナルティーが多かったのですが、東芝ブレイブルーパス東京さんのプレッシャーの強さによるものが大きかった。細かいミスもあったし、つながっていればトライになったシーンもあるので、修正していきたいと思います。チームとしてはまだ1試合目。勝ったことで次に進める。今後とも1試合1試合、自分たちのラグビーを進化させて、成長していきたいと思います」
──ワールドカップイヤーに向かうリーグワンが開幕したが?
「リーグワンの成長は大事です。チームで優勝は目指すべきものなので、選手が追求していく。テストマッチで通用した部分と、しなかった部分があって、このままでは戦えない。自分が成長すればチームも良くなっていくので、みんなで成長していきたい」
──サッカー日本代表を見て。
「強豪に勝つには、我慢の時間がある中で、耐えながらチャンスを決めていく必要があります。サッカーの日本は強いメンタリティーを持っていた。サッカーが頑張ったことでサッカー熱が高まりましたし、スポーツの力はあると思うし、僕たちも良い結果を届けて、良い影響を起こしたいと思います」
埼玉パナソニックワイルドナイツ
ディラン・ライリー選手(センター)
「試合の良かった点は、最初の試合なので次の試合を楽しみにしている。長いシーズンなので1試合1試合で良くなっていきたい。再び、熊谷スポーツ文化公園ラグビー場でプレーできてうれしい。次戦も楽しみにしています」
──日本代表での経験について。
「代表は良い経験になりました。戻ってきてからは、チームでのつながりは課題です。宮崎キャンプの短い期間で作ってきたので、これからもっと良くなっていく」
東芝ブレイブルーパス東京
東芝ブレイブルーパス東京
トッド・ブラックアダー ヘッドコーチ
「まずは開幕戦を無事にプレーできたことをうれしく思います。自分たちにとっては素晴らしいチャレンジの日でした。前半に自分たちのプレーができていたという印象です。後半に、プレッシャーを積み上げ過ぎた。自分たちのミスの数が多過ぎました。ペナルティーの部分で規律が足りなかった。ただ自分たちのプレーについては誇りに思います。よくできた部分が増えていると思います。今日のチームの出来には満足しています。ここから学んで次の試合につなげていきたいと思います」
──フォワードが若い選手だった。今日の評価を?
「若手のフロントローが良い活躍をしてくれた。プレーシーズンを重ねて、良いチームになってきた。しっかりと準備できて信用して送り出した。すごく誇りに思います」
東芝ブレイブルーパス東京
小川高廣 共同キャプテン(スクラムハーフ)
「一人ひとりが自分、チームを信じて戦った。次につながる良い試合だった。課題としては、自分たちのミスや規律で、自分たちで苦しめてしまった。試合に入るときに良い準備ができていて、自分たちは自信を持って臨めていた。また修正して次に勝利を勝ち取れるようにチームとしてやっていきたい」
──手応えと悔しさ、どちらのほうが大きいか?
「今日は悔しさのほうが大きい、自分は勝てると思っていた」
──ペナルティーによって流れが変わった。
「練習から、ペナルティーが一番多いチーム、チャンピオンになるためにはペナルティーを少なくしなければいけない。ワイルドナイツは昨季のチャンピオンでディシプリンがあるチームで、そこで上回らなければいけない」