静岡ブルーレヴズ(D1 カンファレンスA)

因縁の相手撃破へ、試合を分ける二つのポイント

クリスマス(12月25日)に開催される静岡ブルーレヴズのホストゲーム開幕戦。迎える相手は、昨季の王者・埼玉パナソニックワイルドナイツだ。昨季に初めてIAIスタジアム日本平(静岡市清水区)で開催したホストゲームにおいて、わずか1点差で逆転負けした因縁の相手である。

開幕戦でトヨタヴェルブリッツに惜敗した静岡ブルーレヴズとしては、2連敗は何としても避けたいところ。相手は先週の東芝ブレイブルーパス東京戦でも逆転勝ちしており、相手の勝負強さは承知しているが、「良い練習と試合の対策はできている。勝利することを信じて疑わずに戦う」と堀川隆延ヘッドコーチは強い決意を見せる。

そこで昨季の悔しい負け方を踏まえて、埼玉パナソニックワイルドナイツに勝つためのポイントを昨季のキャプテンである大戸裕矢に聞いた。

「前回(の対戦)は、僕たちが規律を乱してミスや反則が出たシーンでスコアを重ねられてしまいました。それは前節のトヨタヴェルブリッツ戦でもありましたし、自陣でペナルティーを与えると3点を取られてしまうので、まずそこをしっかり修正しないといけません」

埼玉パナソニックワイルドナイツには日本代表クラスのキッカーがそろっている。自陣でペナルティーを取られるのは禁物だ。そしてもう一つ、大戸が強調するポイントがある。

「フォワード同士の戦いで優位性をどれだけ作れるか。前回は僕たちがスクラムペナルティー(スクラム時の反則)を取ることもできていたんですが、もっともっとそこで優位性を作っていくのが僕たちのスタイルだと思うので、そこにも注目してほしいです」

堀川ヘッドコーチも、「先週(トヨタヴェルブリッツ戦)は自分たちの強みであるスクラム、ラインアウトモールなどで主導権を取れなかった。今週はそこを修正したので、あとは自分たちのスタイルを徹底して絶え間なくやり続ける。それに尽きると思います」と同様のテーマを口にする。

今節はヤマハスタジアムに非常に多くのファンが詰めかけると予想されている。大戸が挙げた二つのポイントにも注目しつつ、「いつも応援してくれている静岡の皆さんに、勝利という形でクリスマスプレゼントを贈りたいと思います!」(大戸)という言葉を信じて、スタンドを青く染めながら全力の応援を続けてほしい。

(前島芳雄)

大戸裕矢選手(ラインアウトジャンパー)


埼玉パナソニックワイルドナイツ(D1 カンファレンスA)

高まる連係面。王者に慢心はまったくなし

埼玉パナソニックワイルドナイツが12月25日、ヤマハスタジアム(磐田)で静岡ブルーレヴズと対戦する。開幕戦で東芝ブレイブルーパス東京に勝利したチームは、勢いに乗って連勝を目指す。午後2時半キックオフだ。

開幕戦では相手にリードを許す展開になったものの、布巻峻介、坂手淳史キャプテン、松田力也にトライが生まれて逆転勝利を収めた。昨季の王者の風格を漂わせた戦いは見事だった。

だが、すべてが良かったわけではない。復帰戦でトライを決めた松田が「開幕戦はプレッシャーを受けて、厳しいゲームになった。細かいミスなどがあったのでチームとして課題点を修正して次へ臨んでいく」と話したように、選手たちに慢心はまったくない。

東芝ブレイブルーパス東京戦で3トライを決めた埼玉パナソニックワイルドナイツだが、トライゲッターのウイング、センター、フルバックに得点者はなかった。開幕戦で先発したスクラムハーフの小山大輝は「ブレイクダウンで相手の圧力に押されて、効果的に展開できなかった」と振り返る。それはチームの伸びしろと言い換えられるだろう。日本代表組のチーム合流から約2週間で、チームは未完成。試合を重ねながら進化していく。

20日のトレーニングでは、15対15の実戦形式でコンビネーションを入念に確認した。日本代表のセンター、ディラン・ライリーが鋭いランニングを見せるなど手ごたえは十分だ。松田は、ダミアン・デアレンデらと連係の細部を確認。チームのコンビネーションは確実に高まる。そうすることで、マリカ・コロインベテ、ダミアン・デアレンデらタレントの活躍にもつながる。

開幕戦から先発5選手を入れ替えてビジターゲームに乗り込むことになった。平野翔平、リアム・ミッチェル、ラクラン・ボーシェー、内田啓介、竹山晃暉が入り、開幕連勝へ向けて闘志を高める。分厚い選手層に裏付けされたし烈なチーム内競争が、チームをさらに強くしていく。

今節は、序盤の攻防が焦点の一つだ。開幕戦では立ち上がりにリズムがつかめずにトライを許した埼玉パナソニックワイルドナイツに対して、静岡ブルーレヴズはキックオフ直後にマロ・ツイタマが相手キックをチャージしてそのままトライを奪っている。相手の動きを把握しながら、主導権を手繰り寄せられるか。その上で、スクラム、ラインアウトといったセットピースで優位に立ってゲームを進めたい。

ゲーム内容とは直接関係はないが、堀江翔太の「短パン」にも注目だ。開幕戦後の会見で、テレビ局記者から「短パンの大きさがこれまで違うようですが?」と質問されて、「いままでは3XLだったが、開幕戦は4XLを履いてしまった(笑)。いつもと違うなと感じていた。次戦はサイズを合わせて、動きやすくします」と笑顔で明かした。途中出場が濃厚な堀江の迫力のプレーと、短パンのフィット具合も見どころとなる。

一戦必勝。埼玉パナソニックワイルドナイツは、静岡ブルーレヴズ戦だけに照準を合わせて勝利をつかみ取る。

(伊藤寿学)

松田力也選手(中央)、坂手淳史キャプテン(右)。ふたりの奥に布巻峻介選手



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