2024.03.04NTTリーグワン2023-24 D1 第8節レポート(静岡BR 19-45 埼玉WK)

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(交流戦)第8節
2024年3月2日(土)14:00 ヤマハスタジアム (静岡県)
静岡ブルーレヴズ 19-45 埼玉パナソニックワイルドナイツ

レジェンドの姿を刺激に。
静岡BRの巻き返しが始まる

日本代表が目標という静岡ブルーレヴズのマロ・ツイタマ選手

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1 第8節は、浮上のきっかけをつかみたい静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)が、ここまで7連勝中で首位に立つ埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)を、ホームのヤマハスタジアムに迎える構図に。思い返せば、昨季の第15節、リーグワン開幕から公式戦30連勝(不戦敗を除き無敗)を続けていた埼玉WKに、初めて土をつけたのが静岡BRだった。

この試合でも埼玉WKの連勝を止めることができるか。ファンの期待が高まる中、静岡BRが先制する。しかし、埼玉WKの冷静な試合運びとともに、次第に形勢は逆転し、80分を知らせるホーンが鳴ったときには19対45と大差がついた。昨季までキャプテンを務めていた大戸裕矢は、「セットピースへの対策もされていたが、それでも上回るくらいじゃないと、レヴズ(静岡BR)のペースにならない」と、声を振り絞った。

ただ、試合に敗れはしたものの、もしかしたら、会場に足を運んだファンの心はつかめたかもしれない。試合前に行われた、『YAMAHA RUGBY FOOTBALL CLUB 創立40周年記念マッチsupported by 株式会社ミクニ」のことだ。ヤマハ発動機ジュビロ(静岡BRの前身)OBとワイルドナイツOBの一戦には、両チームのレジェンドたちが、当時のジャージーに身を包んで、現役時代を彷彿させるようなプレーを繰り広げた。

自らも記念マッチニ出場した、静岡BRのクラブ・リレーションズ・オフィサー(CRO)五郎丸歩氏

今回の企画の発案者で、静岡BRのクラブ・リレーションズ・オフィサー(CRO)を務める五郎丸歩さんもレジェンドの一人として参戦。ペナルティゴールなど4度訪れたキックの場面では、おなじみの“五郎丸ポーズ”を披露し、最後には自身のキックで劇的な逆転勝利を手繰り寄せるという、相変わらずの千両役者ぶりで、観客を大いに沸かせた。

この日、2トライを挙げてD1のトライランキングトップに躍り出たマロ・ツイタマは、「日本代表でプレーするという目標がある。そのために、いまはこのチームでの役割をしっかり遂行していきたい。自分が模範となり、一番前でチームを引っ張っていきたい」と、前を向く。レジェンドたちの姿に刺激を受けて、静岡BRの巻き返しが始まる。

(有働文子/Rugby Cafe)

静岡ブルーレヴズ

静岡ブルーレヴズの藤井雄一郎監督(右)、庄司拓馬バイスキャプテン

静岡ブルーレヴズ
藤井雄一郎監督

「おそらくいまの埼玉パナソニックワイルドナイツは、日本代表とやってもいい勝負すると思います。身長も高いし、世界で活躍する外国籍選手もたくさんいる。その中で、自分たちのプライドを出して戦おうとして、ベースはよくやれたと思います。最後まであきらめることなく戦えたのは次につながります」

──自分たちの強みであるセットピースの今日の評価はどうですか?

「前節で1番(の選手)に脳震盪があって、今日の試合は出られなかった。そういう意味では(スクラムは)イーブンに組めたらいいと思っていたので、合格点じゃないかなと。(初先発の)山下憲太に関しては、タックルやボールキャリーでもしっかり準備できていたので、非常に楽しみな選手になっていくと思います」

──前節の三菱重工相模原ダイナボアーズ戦から、どういう点を改善しましたか?

「ウチはコンスタントに安定した力を出せるチームだと思っていて、前回の試合のときに、初めてああいう(崩れたような)状態になりました。今回の相手はおそらくいま、リーグワンで一番強いチームなので、しっかりプライドを持って80分間戦おうという話をしました。そのマインドセットの部分が前節と違う部分だと思います。技術面よりは、マインドセットの部分を話しました」

静岡ブルーレヴズ
庄司拓馬バイスキャプテン

「自分たちもしっかりプライドをもって戦っている中で、もちろん勝つという目標に向かってはいたのですが、前半は風下で我慢できるところもありました。しかし、後半は点差を広げられる結果になりました。ただ、これで下を向くことなく、気持ちを切らさずにやっていきたいと思います」

──実際にプレーした中で、特にセットピースの感触はどうでしたか?

「プレーしている中で(相手に)対策されて、すぐにトライされたり、自分たちのやりたい形でやらせてもらえなかったりというところはありましたが、スクラムに関しては、自分たちのスタイルを曲げずに、80分間組み続けました。ラインアウトに関しては、相手の身長が高いこともあって、かなり取られた場面もあるので修正していかないといけないと思っています」

埼玉パナソニックワイルドナイツ

埼玉パナソニックワイルドナイツのロビー・ディーンズ監督(右)、堀江翔太ゲームキャプテン

埼玉パナソニックワイルドナイツ
ロビー・ディーンズ監督

「素晴らしい試合だった。このような試合環境でプレーできることは、本当に素晴らしい。ラグビーの内容は、堀江(翔太)選手にお任せしますが(笑)、チームとしては、静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)のホームで、ボーナスポイントを取って勝利できたことをうれしく思います」

──堀江翔太選手を初先発させた狙いを教えてください。

「スクラムが、この試合の重要事項だと感じていたのでコンビネーションの観点(からです)。クレイグ・ミラーとヴァル アサエリ愛とのコンビネーションというのも背景にあります。通常、この3人は試合を終わらせるための役割で登場してきているが、稲垣啓太のコンディションや、試合の入りの部分から相手にプレッシャーを与えるという観点から(堀江の先発を)判断しました」

──昨季は、前半をビハインドで折り返す試合が多かったが、チームの状況に違いはありますか?

「毎試合、学んでいこうという話をしています。ゲームコントロールやマネジメントの部分は、昨季よりも良くなっていると思います。今日は、集中力を切らさず、常に冷静にプレーできていました。自分たちのうまくいかない時間帯、トライを取られた場面、ペナルティのアドバンテージを相手に与えてしまったところもあったが、それでも集中力を切らさずにできました」

埼玉パナソニックワイルドナイツ
堀江翔太ゲームキャプテン

「この試合に向けて、(相手は)スクラム、ラインアウト、ラインアウトからのモールなどのセットピースからプレッシャーを掛けてくるから、そこをフォワードで、自分たちもプレッシャーを掛け返そうということで準備してきて、それが今日の試合に出たと思います。強風の中でパスカットやボールがうまく取れないところも、バックスはよく対応していたので良かったです。非常にリズム良くできたと思います」

──昨季は静岡BRに連勝を止められた。今回はどのあたりを意識しましたか?

「昨季はスクラムで負けてしまい、リズムを止められてしまったので、特に(スクラムの)前(の3人)、ミルジー(クレイグ・ミラーの愛称)とアサ(ヴァル アサエリ愛の愛称)には話をして、1週間掛けて準備していました」

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